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夜明け前、すれ違う人の中で

アラームよりも少し早く目が覚める。
暗闇の中であまりにも眩しすぎる携帯の画面に5時20分と表示されていた。
二度寝しようかと思ったけど、窓の外から見える街が朝を始めようとしていたから外に出てみることにした。

年々勢いを増していく真夏日。日中の冷めやらぬ熱をアスファルトが抱えているから朝方でもこの季節は蒸し暑い。

まだ日が登る前の街にもポツポツと人がいる。

コンビニで倒れて眠る大学生くらいの男
千鳥足で2人並んで帰る女達
ベンチにうずくまる人

きっと朝まで飲んで今から帰路につき、家で寝て起きた頃には二日酔いに襲われる人たちだろう。それとは正反対にランニングをする人、犬の散歩をする人も同じ時間を歩いている。

朝方の人間と夜型の人間の中間地点で、彼らは同じ時間、同じ道を歩いている。普段絶対に関わらない生活軸で生きる人たちだから、性格も考え方も全く違うだろう。
そんな人達が同じ時間を共にしているのだ。

朝を知らせる太陽から逃げるように帰る人と、その太陽を全身で迎え入れるように動き始める人。

一人一人にドラマがあるんだと、ふと思う。
ここにいる人たちは人生のどのシーンなのだろうか。
どん底か、人生の絶頂期か。
それとも今が頑張り時だと正念場に立っている時だろうか。
本人たちしか知らない、それぞれのドラマがきっとある。

車窓から登る朝日が綺麗だった。
僕は今、人生のどのシーンなんだろうか。

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