送料を出すのなら~2023年1月に読んだ本から
読んだ本を忘れないため、毎月、読んだ本の中から 印象に残った本 を 記事にしている。
1月は、2冊。
1 さいはての彼女 原田マハ
起業して、成功をおさめた涼香。しかし、秘書が会社を去るという。失意の涼香は、沖縄で優雅にすごそうと 旅に出るが、たどりついたのは、なぜか 北海道の女満別空港。そこで出会ったのは、ハーレーを愛する一人の女性。彼女について旅をするうちに涼香は・・。
(「さいはての彼女」)
涼香、ハグ、志保、道代、4人の女性の4つの物語。
ハーレーを愛すナギ、なんて魅力的なんだろう。(「さいはての彼女」)
やっぱり「ハグとナガラ」は素敵。もう一度読み直したい。(「旅をあきらめた友と、その母への手紙」)
夫に「いってらっしゃい」と告げられなかったことを後悔している道代が切ない。(「風を止めないで」)
と、みんなおもしろい話だったのだが、私には3話目「冬空のクレーン」がとても心にささった。
なぜだろう?
ああ、そうか。
志保が「自分がいなくても 会社はまわる」と認めざるを得なくなったときの、さびしさや絶望感に反応したんだと思う。
40代後半ぐらいだったろうか。私も、「自分は、仕事ができない。役にたたない、何も知らない(ちゃんと勉強してこなかった)」と思っていた時期があった。そのころの気持ちを思いだしたのだと思う。
本を読むと、時々こうして、すっかり忘れていた記憶がよみがえってくることがある。それもまた 読書の楽しみの一つ。
2 宙ごはん 町田そのこ
宙は、小学校に入学する時、育ててくれた「ママ」と離れ、産んでくれた「お母さん」と暮らすようになる。
でも、お母さんは思い描いていたような人ではなく、宙をいつもほうりっぱなしだった。
そこを救ってくれたのが、料理人の佐伯。宙は佐伯から料理を教えてもらうようになる。
その料理は、やがて・・・。
読書会で教えてもらった一冊。
宙はもちろん「ママ」である 風海、「お母さん」である 花野、そして、やっちゃんに 遠宮君に 雅美に ヒロムと たくさんの登場人物の 性格や抱えているものが ていねいにえがかれていて、ひとりひとりが、ちゃんと お話の中で生きている という印象を持った。
悲しいことや つらいことも けっこう起こるが、素敵な結末となっているので、あたたかい気持ちで読み終わることができた。
それにしても「ママ」が、宙の思っていた人と全く違ったのには、けっこう驚いた。しばらく離れていたからというのを考慮しても、幼いころの印象というのは、その人のわずかな一面しか見られないからなのか。
また、「謝罪は暴力」という新しい視点を与えてくれた本でもあった。
NHK「趣味どきっ!」で「本の道しるべ」の新シリーズを放送していた。(2022年12月~2023年1月 全8回)
前回の「本の道しるべ」シリーズでは、ゲストの方たちの自宅の本棚、本屋さん訪問、矢部太郎さんの好きな本などに喜んでいた私。
(こちらの記事に書きました。)
今回もまず、角田光代さんの「天井までの本棚」に、うっとり。
こんな家に遊びに行きたい! いや、違った。住みたい!
( NHK本の道しるべ (1)角田光代 )
絵本作家の堀川理万子さんは、「古書道」の師匠に「送料を出すお金があるなら それで本を買いなさい」と、たたき込まれたという。で、購入した たくさんの古本を持ち帰るのに ショルダーバッグ状にした風呂敷を使っていた。
おしゃれ! でも、重そう(笑)
(NHK本の道しるべ (6)堀川理万子)
録画は消さず、何度も見返している。その度に、新しい本を発見して喜んでいる私であった。
読んでいただき ありがとうございました。