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つらさを認める~2022年3月に読んだ本から

読んだ本を忘れないため、毎月、読んだ本の中から 印象に残った本 を 記事にしている。

3月に読んだ本の中から、印象に残った本3冊。

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1 緑金書房午睡譚 篠田真由美

父が渡英したため、16才の比奈子は 亡き母の親戚の緑朗が営む古書店に 住むことになった。
高校を休んでいる比奈子は 食事作りや お店の手伝いをする。一緒に住んでいるはずの祖母には会えない、2階や地下など、行けない部屋はある、なによりも猫がしゃべる?? などたくさんの不思議に遭遇する。そして、事件に・・。

篠田真由美さんは ミステリー作家だと思っていたが、こういうファンタジーも 書かれていたのね。

比奈子は、日記に8つの「緑金書房の謎」を記す。「ああ、やっぱりこういう風に書き出すことは、思考を整理するには有効なんだなあ」などと思いながら読む。

ネコがしゃべったり、突然、不思議な少女が現れたり、と思いもよらぬことが次々に起こるが、違和感なく すんなりと読めてしまった。

読書会で この本を教えてくれた友達🐱が、「私たちの年代には いいと思う」と言っていたが、納得。なぜか「なつかしさ」を感じるストーリーだった。

ナルニアが 何度も出てくる。昔 おもしろくて一気読みしたはずなのに、中身を全く覚えていない本。やっぱり読み直したい。
「真夏の夜の夢」(シェイクスピア)が出てくる場面では、頭の中は、ガラスの仮面 ~屋外劇場で、マヤがパックを演じる場面~ だった。


2  花屋さんが言うことには 山本幸久

ブラック会社をやめ、ひょんなことから花屋でバイトすることになった紀久子。
店主の外島李多とじまりた、従業員の元高校の国語教師の光代と 農大の研究助手の羽賀。花好きの 6才の男の子蘭君。毎月お花を届ける お茶の先生の馬淵。たくさんの人と花にかこまれて 仕事を覚えていく紀久子。
そんな中、夢だったグラフィックデザイナーへの道が見えてくる。

まず、カバーの絵が、春を待ちこがれている 今の私の気持ちにぴったりだった。(カバーをとった表紙もGOOD!「なるほど こうきたか」)

8つの章のタイトルは花の名前。「泰山木」→「前途洋々」など、花言葉がとても効果的。
時々出てくる俳句や短歌も味わい深いし、スナックの名前が「つれなのふりや」とは、洒落ているなあ。

紀久子が、花屋のショップカードを作ったことから、夢だったグラフィックデザイナーの仕事に つながりそうになっていくところが好き。

お菓子のパッケージデザインのコンペに通った(と思われる)し、「偶然」出会った伊福部とのその後も知りたいので、続編希望!


3 残照の頂 続・山女日記 湊かなえ

立山・剱岳、武奈ヶ岳・安達太良山・・・・ これまでの人生と これからの人生に 思いをはせながら 山を登る女たち。頂で見える景色は 未来へとつながる。
山女日記の第2弾。

最初は淡々としていた話が、だんだん、抱えていた問題・謎・できごとが、明らかになり、ラストに向かって盛り上がり、主人公は明日への力を得る。さすが湊かなえさん、上手い!

通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。大変だったと 口に出せばいい。そして そこを乗り越えた自分を 素直にねぎらえばいい。そこから、次の目的地を探せばいい。

実に 心にささった一節。
「自分の弱さを認めることは、大切だったんだ・・・」と、しばし自分のこれまでの人生を振り返ってしまった。

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スノーダンプ(除雪道具)を かたづけた。
雪山が小さくなって 車の視界が開けた。
福寿草が もうすぐ咲きそうだ。
白鳥が 頭の上を飛んでいった。

日一日ひいちにちと 春も本番になってきている。
道路に雪がなくなり、隣町の図書館通いを再開できたことがとっても嬉しい。

読んでいただき ありがとうございました。