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僕の見た景色 2 (連続短編小説)

あれは、僕が大学に受かって
ヒラヒラしてた春のことだった。

大阪に住んでいた僕は
めったに行かないのだけれど、
西宮の方で、飲み会があった。

大学が西宮近くだったので
これからよく遊びに行く街だろうと
期待していったが、
当時の阪急西宮は、
何もないターミナル駅だった。

ターミナルといっても、大阪ー神戸間と、
あと、マイナーな単線をつなぐ、
関西ローカルな話なんだけど。

僕は、第一志望の大学に
受かったわけではなく、
少々腐っていたが、
関西では、わりとメジャーな大学
だったので、今後のなりゆきに
多少興味を持っていた。

・・・なんて言い方をすると、
冷めた若造な感じだけれど、
そう、確かに、どこか引いた部分の
ある18歳だった。

待ち合わせは、夜の7時だったので、
駅周辺をウロウロしていたら、
路地裏みたいなところに入ってしまい、
大阪も西宮も似たようなもんだな、
と思った。

と、その時、呼び込みをする子供の
姿が目に入った。

「うまい台湾飯、あるよ~」

まだ、日本語がたどたどしい、
体だけはでかい台湾人の子供だった。

が、彼の目の力は、最初から僕を
惹きつけた。

彼の名は、張志明(チャン・ヂーミン)。
のちに、アキラ、と呼ばれるようになる
少年である。

        続

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