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浅き夢見し 酔いもせず(仮想現実)

年末に、彼と別れた。
 
もう、人に頼るのはいやだったし、
利用されるのもうんざりだった。
 
私の誕生日なんて
そっちのけで、旅に出た彼。
 
うちに置いてあった、
彼の服なんか
全部捨ててしまった。

デリカシーがない!と
怒る私に、彼は、
僕は無神経なんです、
と弁解した。
 
社会でそこそこ上役やってて、
本当に無神経では通用しない。
無神経なフリをされたのだ、と思うと
虚しかった。

そして、恋に恋してる自分に、
今更イタイほど気付いた。
 
彼が好きなんじゃない、
彼に恋してる自分が
好きな自分にゾッとした。
 
私は中学生女子か??

 
そんなとき、ふと、
口をついて出た言葉。

「浅き夢見し 酔いもせず」

解釈はいろいろで、
一番文法的にあっているのは

「酔っ払ってもいないのに、
愚かな夢は見たくないものだ」

と、かなり釣れないものらしい。

 
でも別の解釈もあった。

私が思っていたのとは
少し違うが、

「浅く甘い夢を見ていたものだなぁ、
酔っ払ってもいないのに」

過去を表現する、
なんともしめっぽいつぶやきだ。

でも、水原冬弓の解釈は、こう。

「どっぷりではなく、
ほんのり浅い夢を見て、生きていこう」

せっかく「有為の奥山 今日越えて」
来たのだから、
今後は、夢をあきらめることなく、
でも、ひたり過ぎることなく
いきたいものだと思う。

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