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僕の見た風景 9 (連続短編小説)

アキラは子供の頃から
よくモテた。
女たらしというよりは
人たらしだと、
自認していた。

アキラを好きになるタイプは
二通り。
葉子みたいな年上か、
真逆に、ぐん、と年下か。

特に、同性に「ほぉ・・・」と
思われることが多かった。
僕もその一人で、
アキラにたらされてた
と言えば、そうなのだけど。

アキラが、三流大学を出る頃、
世の中の景色が変わっていた。
今まで英語メインだった世界が
中国、韓国の流れに押されてきた。

当然、中国語のできるアキラの
就職先は引く手あまたである。
単に語学ができるのではなく、
その人たらしが所以の人間力に
大企業の人事担当者も「ほぉ」と
思ったことだろう。

アキラは日本で屈指の商社に
就職し、あれよあれよと
地位を上げていった。
彼の図々しさが、最近、日本人の
若者に見れない器の大きさを感じさせた。

そして、20代半
新しい拠点を築くべく
インドネシアに向けたチームの
サブリーダー的な立場で
現地に移動した。

              続


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