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僕の見た景色 6 (連続短編小説)

大学在学時は、よく、アキラの
店に行った。

店の手伝いをしているのは
アキラだけで、母親もゴウもいない。

「アキラのお母さんは、
何してるんや?」

「土地転がし」

大人びた返事が返ってきて驚いた。

「それに、お母さんなんて言うなや。
かーちゃんでええんや、あんなの」

台湾とは不思議なもので、
一昔前の日本のような感覚がある。

「その・・・かーちゃんは、
日本語で土地を・・・転がしてるんか?」

アキラは、へッと笑った。

「かーちゃんは、日本語しゃべれん。
台湾の金持ちや親戚に、
日本の物件とか売りつけとんねん」

「へー・・・」

アキラは小まめに働く父よりも
大胆な商売をする母に似てるな、と
言ったら、地雷だったらしく、
えらく憤慨していた。

「とーちゃんはまじめに働いてるから
オレ、手伝ってんねん!
かーちゃんみたいなアクドイ奴と
一緒にするな。オレはとーちゃんの
味方や!」

意外と複雑な家庭環境を
垣間見て、僕は苦笑するしかなかった。

                  続

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