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ゴンちゃん点滴の思い出(エッセイ)

以前に、ゴン太という
ワンコを飼っていたお話を
(5/24「ゴン散」)致しましたが、

そのゴンちゃんの点滴を思い出した。

一家で、夏休み、一週間ほど、
旅行に行こうとなった。
(たぶんワタシが中学生くらいのとき)

ゴンは、山の上にある家から
最寄りの駅の獣医さんに
預かってもらうことになった。

もともと、近鉄百貨店の屋上で
1万5千円で売られていたゴンちゃん。
捨て犬ではなかったけど、血統書付きと
いうわけでもなかった。
だからもしかしたら、捨て犬同様の
扱いを受けたことがあったのかもしれない。

一週間して、旅行から戻ると、
獣医から大変です、と連絡あった。

一週間、あの食い意地の張ったゴンが
ご飯を食べず、しかも、今、点滴を
してるというのだ。

大急ぎで、獣医に行くと、
たぶん、人間なら、涙を流して再会を
喜んだであろうゴンちゃんは、
ちぎれるくらい尻尾を振って
立ち上がり、点滴なんてなんのその、
その足で、約30分の山道を
家族と一緒に登って帰った。

あの時の、犬の気持ちを考えると
いまだに、涙があふれる。
どうしても、留守番という概念が
わからない犬は、間違いなく
もう誰も迎えにきてくれないと
思っていたのだろう。

どうして、そんな風に考えるのだろう。

でも、そう思っていて、家族がそろって
迎えにきてくれたときの喜びは、
いかほどだっただろう。

なんだか、とても純粋でわかりやすい感情に
目頭が熱くなる。
年だろうか・・・笑。


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