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「海街dairy」吉田秋生さん(マンガ感想文)(*ネタばれ注意)

青天の霹靂、
と言ったら失礼だろうか。

私は、数多いマンガの中でも、
どうしても手放せないものがある。

吉田秋生さん「バナナ・フィッシュ」
山岸凉子さん「日出処の天子」

である。
この二作は、どんな小説よりも
素晴らしい。

高校生の時分、吉田さんの
「カルフォルニア物語」に
どっぷり浸かった。

まだ未成年の私には
知る由もない、NYの現状を
生々しく教えてくれた。

そして海外へのあこがれ。
・・・半端なく、痺れまくった。

大学生の頃、
「バナナ・フィッシュ」が
流行った。
今でも、Runner を聞くと
ショーターが浮かぶ。

リアルに厳しい
NYマンハッタンのギャングの話に
女子ばかりか男子もハマっていた。

アッシュ・リンクスは、
私にとって最高の人物像だ。
アッシュのミドルネームが
ジェイド(翡翠)だと
ご存知だろうか。

当時、女子大生の間で
自分はどのキャラか、を
言い当てる遊びがあった。

たいていの女の子は英二。
(アッシュに守ってもらいたい)
二番目はアッシュ自身。
少しシャレたところで
ショーターのお姉さんだったが、
私は、なんと、ゴルツィネだった。
そう、アッシュを剥製にして
飾りたかったのだ。

という、ヘンタイ話はさておき。

アッシュのモデルが
当時のリバー・フェニックス、
英二のモデルが野村宏伸だ、
と言われていた。

平和な日本人が
踏み込む余地もないような
緊張感、タフさ、残酷さ、現実感。
アメリカ社会を見事に
描いた吉田秋生さんは
私にとって神様のような存在だった。
(その後、「夜叉」なども
期待を裏切らなかったが、さすがに
マンガ離れする年齢になっていた)

そして、今回の「海街dairy」。
もしかして、広瀬すずをモデルに
したのかもしれない。

鎌倉、という、安全な設定。
幸、佳乃、千佳の三姉妹と
異母妹すずの、平凡といかないでも
「バナナ・フィッシュ」からは
程遠い非冒険感。

三姉妹が20代~30代なので
多少救われたが、
主人公のすずは中学生。
サッカー少年少女の
淡いラブ・ストーリーに
ひっくり返った。

作者が吉田秋生さんでなければ
普通におもしろかった。
大人の心理もうなずけた。

が、なぜ、あの「バナナ・フィッシュ」
の人が、今、このステージなのか。(批判ではなく、純粋な驚き)



かつて、超☆少女マンガ家だった
故・あさぎり夕さんが
しばらくしてヤオイを書き始めて、
本当はこっちを描きたかった
というパターンもひっくり返ったが、
こちらはハッピー・ターン?
だった。

吉田秋生さん、
もう、アッシュ・リンクスは
いないのですか?








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