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「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子さん(読書感想文)(*ネタばれ注意)

チェスの話。

唇がひっついて
生まれてきた少年。

回送バスの「マスター」
(最期、太りすぎてかわいそう)に
チェスを教えてもらう。

猫のポーンとか、
象のなんとかとか。

壁の中のミイラとか、
小川ワールド炸裂。

「リトル・アヒージョン」という
チェス人形におさまる
大きさにしか成長しないよう、
自分の成長を止めたアヒージョン。

マスターの巨大死や、
象の大きさがショックだった。

途中、妄想のミイラが
少女として現れる。
 
祖父(家具職人)、弟(跡継ぎ)、
祖母、老婆令嬢、
もちろん、マスター、
甘いお菓子、ポーンと
何もかも正しくやさしくキラキラした
人物の美しさを表していて
それを受け止める
アヒージョンもチェス界の
殉教者のように美しい。

老人ホーム「エチュード」で
人形の中で一酸化炭素中毒で
死んだアヒージョン。

神に愛された世界の片隅の人。

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