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【CAP高等学院代表・佐藤裕幸の教育への情熱と挫折④】

 こんにちは。通信制サポート校・CAP高等学院の佐藤です。

 現在、9月入学の生徒募集のために様々な取り組みを始めています。CAP高等学院は、通信制・鹿島学園山北高校のサポート校として2020年の4月に開設しました。ミッションは「高校生と社会の間にある(と勝手に思われている)様々な垣根を壊し、新しい学びのインフラを構築、高校生と社会をつなぐサポート校になる」です。そのためには、CAP生が高校卒業に必要な単位を最速・最適に取得して、そうすることで生じた有効な時間を自分がしたいことに没頭できるようになれることを目指します。

 そこで、代表・佐藤がどのような想いで、通信制高校サポート校を立ち上げたのか、何回かに分けて書いていきたいと思います。今回が4回目です。(なお、ここに記載される内容は、CAP高等学院のFacebook にも投稿されています)

 前勤務校に着任した年の8月に、東北私学初任者研修に参加した。その中でICT教育に関するワークショップがあった。ICTの導入に関しては、参加している学校の間でもかなり格差があり、中高一貫コースのクラスには一人1台のiPadが導入されている前勤務校は、当時進んでいる方で、他の学校の先生から様々な質問が私に向けられた。まだまだ使いこなせているとは言えない状況だったので、満足のいく回答ができなかったことに悔しさを覚えると同時に、もしもっと校内での活用が進んでいれば、他の学校との差別化を図れるのにとも感じた。

  ワークショップ後、先進的に活用されている高校の先生から活用事例の発表があった。正直内容はそれほど覚えていないが、特に大阪を中心に「デジタル教材勉強会」なるものが開催されていると聞き、インターネットで調べてみた。すると、12月に開催されるとの情報があり、参加してみることにした。

  そして12月。参加してみると、これまで見たこともない数多くの活用事例と、参加企業による様々なデジタルツールのポスターセッションがあり、とても興奮した。そして、これほどまでに優れたツールがあるのにもかかわらず、これまで通りの授業をすることは、逆に生徒の学びを阻害することになるのでは?という危機感が芽生えた。翌年3月にもデジタル教材勉強会に参加させてもらい、その際には主宰者の米田謙三先生に、福島でも同じような勉強会を開催したい旨を伝え、協力いただけることとなった。

  翌年度、中高一貫コースの高校1年生の担任をすることになった。中学3年時に教科担任として、1年間一緒に過ごしてきたが、担任発表の際に、クラスの生徒たちから拍手で歓迎されたことは今でも忘れない。 

 前勤務校は、前年度以上にアクティブ・ラーニングを推奨するために、“Find アクティブラーナー”という動画サイトと契約をした。そこには様々な活用事例が紹介されており、時間を見つけて動画を視聴した。しかし、部分的には参考になるものの、自分の中ではなんとなくフィットしない感覚になっていた。その原因を自分なりに考えているうちに、「そもそも取り上げられている先生と私の個性は全く違うし、しかも授業を受けている生徒も全く違う。あまりにも異なる条件のものを真似しようと思っても、うまくいかないのではないか?」と思うようになり、動画の見方を変えようと思うようになっていた。 

 そして、ある時なんとなく“Find アクティブラーナー”をみてみると、毎年開催している基調講演の映像がアップされていた。タイトルは「インターネット時代のラボ教育」。講演者の名前は、“落合陽一”とある。正直、この時まで、落合氏の存在すらわからなかった。ただ、講演のタイトルがすごく気になり、みてみることにした。

  映し出されてびっくりしたのは、落合氏がめちゃくちゃ若かったこと。当時まだ落合氏は28か29歳。しかも童顔でなんとなくやる気がないように見える感じ。正直、「この人が何故?」と思ってしまった。しかし、「自分と同じくらいの年齢の人が偉そうに時代を語るよりも、若い人が教育をどう思っているのか聞いたほうがいいのでは?」という想いになり、まずは、講演を見てみようと思い、そのまま見続けた。

  はっきり言って、途中で語られている内容は理解できないものもかなりあった。しかし、何故落合氏が教育に関心を持つようになったかという動機を聞き、衝撃を受けた。  内容はWIREDと電通とコラボして、平均年齢15歳の子供たちに3日間ワークショップをした時のこと。ハードウェア・ソフトウェア・機械学習・UXについて学ぶものだったが、参加した全員が最終日に作品を完成することができた。しかし、その内容は5年前なら修士論文レベルのもの。つまり、中学生がアクセス可能なインターネットの上から集めてくることができるソースコードと、この人たちが頑張った5年間は同じぐらいということである。

  落合氏は「これはすごい問題です。つまり、インターネットはものすごい下駄を人間に履かせているので、ステート・オブ・ジアートの最先端なものをずっとやり続けないと、もはや使いものになる人材なんて出来ないのですよ。つまり、何を教えても、5年分教えたら9年分時間が戻ってしまうということです。」と語った。  このコメントに、私は本気で危機感を持った。私よりも20歳も年下の人が、ここまでの問題提起をしているのに、これまで私は何を子供たちに伝えてきたのだろうか?  「学校を変えるとか、大人を変えるとか言っている場合ではない。まずは本気で変わらなければいけないのは私自身。今日から変わる!」と心に決めるきっかけとなった。

  そして、私自身が身につけなければいけないのは、授業の仕方ではなく、生徒との向き合い方であり、生徒が学びに向き合えるために様々な学び方を身につけることが重要と考えるようになった。

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