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「ファッションは引き算」の本当の意味

なんだか、世の中明るくない話題ばかりです。が、それに引きずられてばかりでもいけないと思う日々。ただ武力による現状変更には断固反対です。日本も他人事ではないと思うし。ゴルゴ13さんスネークさんイーサンハントさん、ターゲットはクレムリンにありですよ。

 
さて、今さら聞けないシリーズ、今回は「ファッションは引き算」について。これもよく出てきますよね。

英国王室のKate the Duchess of Cambridge(キャサリン妃)は、チェック柄をさまざまなシーンで取り入れています。公務からプライベートまで、シーンに合わせてチェック柄を上手に取り入れるポイントは、地色を生かした引き算のコーディネートテクニックにあります。

https://precious.jp/articles/-/24154

突然のKate the Duchess of Cambridgeにちょっと引っ掛かりましたが、だいたい「ファッションの引き算」というのはお洒落に見せるコーディネートテクニックとして挙げられることが多い、というかほとんどだと思います。

余計なものを引いていく、色やデザインを揃えてシンプルな構成にすることでまとまりを演出する、ごちゃごちゃしない洗練されたスタイリングにする手法。

確かにそれは正しい。
料理と一緒で調味料を足しすぎるとジャンアンシチューのようになって味がおかしくなる。素材を活かして最小限の味付けにするのが良いと思います。なんせかのフレンチの鉄人坂井さんが「肉は焼いて醤油かけて食うのが一番美味い」と言ってたくらいですからね。なぜフレンチの道へ。

シンプルすぎると不安になって、あれこれ足したくなる気持ちも分かります。でもそれをやりだすとキリがなくなるんですよ。やめ時が分からなくなる。そして最初に決めたコーデのポイントが埋もれていってしまう。だから足すより引く方が良く見えると僕も思います。

でも、”ファッションは引き算”がお洒落テクニックという捉えられ方だと「ファッション難しい!」とか「とにかく少なくすれば良いんでしょ」という誤った認識になってしまうケースも多い。ゆえに本当のポイントはテクニック論ではないと考えていて。

本当のポイントは「自分の個性を正しく伝える」のに効果的な考え方です。

個性を正しく伝える重要性

炎上、という言葉がよく聞かれる世の中ですが、意図的に起こしているものは別として「そういうつもりじゃなかった」というのがほとんどの理由だと思うんです。

表現が稚拙だったとか説明不足だったとかそういう意図じゃなかったとか、スピードが重視される世の中でいわゆる誤解が起きやすい環境になってきている。

見た目においてもそうで、勝手なイメージで見られますよね。本当はふんわりしてるのにビジュアルが綺麗めだからイケイケに見られたり実はキレキレなのに天然に見られたり。ビジネスもプライベートも、そこで上手くいかないケースにたくさん関わってきました。見られる側はそれに任せるしかないのでしょうか。

そんなことはなくて、もしギャップを正したいと思うなら修正する方法があります。それが「ファッションの引き算」による印象作りであり、キャラを正しく伝えることです。

自分がどういう人か、どんなキャラかを正しく伝えることが出来れば、発言や行動にも一貫性を持って見てもらえるし、なにより誤解や曲解を受けることが少なくなる。これはストレスを大きく減らすことに繋がるはずです。

人はあなたのどこを見ているのか

SNSだろうとリアルだろうと、まず見るのは顔でしょう。それから全身含めて見るかと思いますが、ここでファッションがごちゃごちゃしていると気が散るんですよね。どこを見ていいか分からなくなってしまう。それより顔にフォーカスが行くとか統一感があるスタイリングの方がスッと入ってくると思う。

楳図かずおさんやDJ kooさんみたいにそれがキャラになるほど昇華されていればいいのだけど、一般的にはそこを目指すものでもないかなと。

なんでも「見どころ」というのがありますよね。この展示会の最大の見どころは〇〇の原画です、とかこの作品の最大の見どころは超人気俳優2人の競演です、とか。それが分かりやすい方が興味を引くし、なるほどそういう趣旨かと納得してもらいやすくなる。

イベントや映画でも、良かれと思ってあれこれ盛り込みすぎた結果失敗、、なんてことが割とあります。内容が豊富であればあるほどいいということはなく、人気俳優が多数出演すれば良い作品になるかというとそうでもないことを我々は知っています。

ポイントは絞って、お客さんがどこにフォーカスすれば良いか定めてあげる方が分かりやすいし、宣伝詐欺にならないし納得感に繋がりやすいですよね。この「見どころ」をファッションで作る手法こそが、引き算のファッションだと考えています。

「自分の見どころ」の見つけ方

表現するためには「自分の見どころ」を見つけてあげなければいけません。まずはそれを考えたことがあるのかどうか。そこからスタートする必要があるのかなと。

簡単に言うと「これが私です!」というポイントは何かということ。

自分の中で一番自信がある部分でもいいし、分かってほしい個性やキャラクターでもいいですね。一番見てほしい、伝えたい部分を抽出してみてください。

スタイルの良さがポイントになるならそれがより分かるコーディネートがいいだろうし、明るさや華やかさがポイントになると思えば明度の高い色味をメインにしてみたり、優しい人柄をポイントにしたいならナチュラルな色味や丸みのあるシルエットを選んだり。

自分の見どころが最も引き立つようにしてあげればいいわけで、そうすると「見どころ」以外は目立たなくていいということになる。上で書いたように盛り込みすぎると良くないので、”結果的に”引き算のファッションになっていく、ということなんです。

ちなみに僕の場合はというと、年の割に童顔なせいで年齢不詳に見られることを最大限に活かそうと、変な生活感が出ないようシンプルにしていることが引き算になっているのかなと。特に強烈なキャラがあるわけではないので、私生活はナゾだが人生楽しそうで仕事は出来るやつ、というイメージが昔からの勝手な理想。エヴァの加持さんみたいになりたいものです。

簡単な引き算のやり方

これはもう客観的に見るのが一番です。

自分の見どころをアピールできると思えるコーデを着込んでみて、それを自撮りでいいので全身が映るように撮影します。

おそらく自分で鏡を見た姿とは違う感想を抱くはずなので、まずその写真をじっくり見て過剰だな、いらないなと思うパーツを外していく。色がちょっと多いなとかこの素材のジャケットじゃないなとかこのアクセサリーだとうるさいなとか色々出てくると思う。

次に理想とする人やイメージのスナップ(出来るだけジャンル最高峰の人)と比べて、同じ作業をします。

引きすぎた、と思ったら戻せばいいし、特に問題はないなという感想でもいい。とにかく客観的に見てみることで現状や匙加減が分かってくるはずです。

あとは実際に会った人やお客さん、SNSでの反応で確認すればいい。そうやって磨かれて、最適なバランスが見つかっていくのかなと。

なんかもう、時代的に盛って盛ってというのがトレンドじゃなくなってきたんですよね。それより本当に必要なものはなにか?必要なものだけでいいんじゃないの?というマインドの人が増えてきてるし、華美にすることより自然体で居ること、歳を重ねていくことが理想であり憧れになってきています。

必然的に、人の印象も上手に引き算されて「見どころ」が見やすい人にフォーカスされることが増えているように思う。もう情報過多の世の中だから、分かりやすく魅力が伝わる人が目に留まりやすいし安心するのですよ。

まとめ

「ファッションは引き算」というのは決してお洒落テクニックにとどまる話ではありません。自分の個性を正しく、分かりやすく伝えるための考え方。誰にでも必要だし、誰でも今からでも簡単に出来ることです。

しっかり見どころにスポットを当てることで、印象のギャップを減らしたり伝えたいことが伝わりやすくなる。それで自分が生きやすくなると思えば、仮にファッションが苦手と思っていても取り組みやすくなるんじゃないかな。

ファッションは人に見せるという側面も大きいけど、結局は自分を生きやすくするためのツールです。自分が満足してこそ、生きやすさを感じてこそ人にも見せたくなるでしょうし。だからまず、自分が気持ちよいと感じられるバランス、組み合わせを見つけてみてほしいなと。

洋服や化粧を盛るというのは、ある種の防衛本能でもあるのかなと思う。自信のなさや外界への恐れに対する守りみたいな。引き算ファッションはそれを取り去っていく=オープンマインドにも繋がっていくので、過剰な鎧を脱ぐ気持ち良さや解放感も得られるかなと思っています。

一時期、SNSを中心に服も化粧も盛りに盛ってホテルのラウンジとかでドヤってた人たち居ましたよね。今どうしてるんだろうか。そんな人たちも、好き〜。お見送り芸人しんいちさんR1優勝おめでとうございます。

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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介


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