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僕が「タイタンの学校」で教えていること

昨年から仰せつかっている「タイタンの学校」(校長・太田光代)でのファッションスタイリング講師。

僕にとってもこれまでと全く違ったジャンルだったし、模索しながらの一年でしたが、続く5期も担当させて頂くこととなりました。まずは感謝。

結構、外部からも新しい試みとして関心が寄せられているとのこと。僕も講師やってるという話をしても「スタイリストがお笑い養成所で何を教えてるの?」とピンと来ない反応をされたりもするので、改めてどんなことをしているのかを少し、お話してみたいと思います。
 

きっと多くの方は「コーディネートのテクニック」を教えているのだろうとお思いかなと想像しますが、去年の講義でいうと割合的には3割いかないくらいでした。

じゃあ何を教えてんの?というと「ファッションと見せ方で仕事や人生をどう有利に進めるか」ということです。

ファッションは趣味や嗜好品ではない

日本では、まだまだファッションというと「趣味やお金持ちの道楽、嗜好品」みたいなイメージが強くあります。好きでやってるんでしょ?という。

実際、受講生にアンケートを取ってみても「何が似合うか分からない」「ファッションが与える印象について考えたことがない」という意見がかなり多かった。完全に”他人事”です。

これは、根本的にはその人の意識の欠如が問題なのではありません。そういう世の中の認識が問題なのだと思っています。そんな、元々ファッションにさして興味やパワーを感じていない人に細かいテクニック的な話をしても「へー。ま、気が向いたら」で終わってしまうでしょう。そういうのは経験済みです。

だから、なんでお笑いの学校でファッションの授業があるのか、業界で見た目がどんな意味合いを持つのか、どんな効果が見込めるのか、そこから伝えることにしました。

芸能の仕事は事務所のパワーバランスで決まってしまうケースも見てきましたが、結局は個人事業主みたいなものです。個人にどれだけのバリューがあって、”使い出”があるかという勝負。そこに価値があれば個人指名で仕事は来る。そんな場面も見てきました。自分で価値を磨き続けていかないとすぐにポシャってしまう世界です。見られる仕事なわけですから、そこには当然見た目も含まれてきます。

認識を変えさせる、というのは手間だしそれなりの手腕が必要なので、みんな世の中に落ちてる小手先のテクニックを紹介してラクをする。でもそんなんじゃファッションに元々興味がある人しか反応しない。そうじゃない人たちを変える、一過性で終わらせないためには根底から変えるしかないと思いました。

仕事の幅を広げる「印象の力」

そして、これは事前のミーティングでも出た話ですが「芸人は面白きゃいいんでしょ」となりがちな認識を変えてほしい、ということ。

どのジャンルでもそうですが「良いものを提供していれば分かってくれるはず」「職人気質の方がカッコいい」という考え方を持っている人は結構多い。

僕も基本的にはそうだし、そんなシブい店を応援したくなります。でも、わざわざ他の可能性を排除する必要はないんじゃないかなとも思う。芸人さんで言えば、ネタは職人気質でも衣装や私服がお洒落、特徴的、ということで損することは何もないわけです。

今はSNSで「〇〇さんの衣装がツボ」とか「〇〇は私服がめちゃお洒落」とか勝手に拡散してくれますからね。当人はどう思うか分からないけど、別にネタから入ろうが見た目から入ろうが、ファンになってくれさえすればいいと思う。まずは「気にしてもらう」ことが大事だろうと。

元々のポテンシャルは生まれ持った部分があるので、自分の理想通りとは限らないしそうそう変えられるものではないでしょう。でも、ファッションで整えること・理想に近づけることは誰でも出来るんですよ。同時にそれは自分のポテンシャルを最大限引き出すことにもなる。

「あの人お洒落だからそういう企画のときに呼びたいね」とかファッション方面のメディアから仕事が来たり、そういう可能性だってあるわけで。例えばフットボールアワー岩尾さんのお洒落好きはネタにもなってるし、例え無名でもそういう「くくり企画」に呼ばれる可能性があることはアメトーークを観ていても明らかです。

正直、同じクオリティだったら地味で冴えない印象の人より、見栄えがいい方・画持ちがいい方を選びたくなるのは否定できません。僕もフリーでやってる以上、そこはかなり意識しています。特にイケメンとかではないし。これは一般人だって関係のない話ではないと思う。

内容や実力はもちろん必要だけど、垢抜けている印象かどうかで違う世界が広がっていくはずです。

人生をより生きやすくするために

もうひとつ意識したのは、今後の人生にも何か活かしてもらえたらいいな、ということでした。

芸人を目指す・続けていく人もいれば、目標を変える人も出てくるわけで。対芸能という対策だけでなく、社会生活でもファッションや見た目を意識していくことで、より生きやすくなる、目標の達成がスムーズになるよということも伝えたいと思いました。

これは新入社員研修でも教えていることですが、見た目の好印象・説得力があった方が圧倒的にラクなのですよ。話はスムーズに進むし仕事でもプラスしかない。わざわざ初期装備の縛りプレイで頑張る必要はないよ、と。プライベートだってそうです。婚活だって見た目にテコ入れすれば7割は上手くいくでしょう。

見た目、というとほとんどが「元がカッコいい、かわいいかどうか」の話になってしまうのだけど、大人の感覚はそうではない。自分の良さや個性にマッチした服装、説得力や余裕を感じさせられるかどうかがポイントです。髪型やメイクも含めて「総合的な印象」なので、元がどうというのはそんなに関係がない。評価が多様化してる社会ですしね。

だからこそ、こういうテクニックを使えば上手くいくよ!という薄っっっすい話ではなく、生きてる限り服とは付き合っていくわけだから、ライフワーク的に考えていってもらいたいと。実際行動してみたら変わった、手応えがあったという体感をしてほしい。体験型の講義にしたくて公開アドバイスをしたりもしました。

それで前回のアドバイスを元に変えてきました!とか実行してきてくれたり皆さんも協力的で、前向きに取り組んでくれたのも嬉しかった。「ふんどしでネタをやろうと思っているのですが、他に何を足したらいいですか?」と聞かれたり簡単なファッションのエピソードトークを話したら「短くまとまっていて面白いですね」とトークスキルを評価されたのは芸人養成所ならではだと思いますが。

一番嬉しかったのは、受講生からも評判が良かったという講評を頂いたこと。みんなにイジられながら笑いを取りにいった甲斐がありました。そこじゃなくて、ファッションのことを楽しく伝えることを目標にしていたので少しは伝わっていたのかなって。

見た人に馴染んでると言われる一枚

ただ、内容は毎期変えていくし、今期は方向性もよりシビアになっていくかも知れません。衣装とかにどこまで介入するかというのは永遠のテーマのように思うし。そして改めて、これまでになかったファッションを授業に組み込むという決断をして、ご指名くださったタイタンの学校さま、太田光代校長には感謝しかありません。元々お笑いが大好きでライブなんかも観に行っていたので、この仕事はある意味運命だったのかな、なんて思っています。

4期生からは6組が事務所預かりになったそうです。やっぱり肩入れして応援したくなりますよね。お馴染みの番組に出てくる日も近い、はず。頑張れー!

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個人の方や企業様より、ファッションスタイリングを含めた見せ方やブランディングのご相談を日々承っています。何かお手伝い出来ることがあるかも知れません。「タイタンの学校(校長・太田光代)」でのファッション講師などスピーカーとしての活動や専門家としてのコメント・執筆なども。まずはフォームからご相談、お問い合わせ頂ければ幸いです。

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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介



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神崎裕介(ひろゆき)/日本一ファッションを言語化するスタイリスト
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