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「いい雰囲気」を纏うためには

先週から話題になっていることと言えば、木下都議の謝罪会見ファッション、ではなくこの件かなと。ええ、あのワンピースや装飾品はなかったと思いますよスタイリストとして。そんなこと言ってたら急に辞職してびっくりしましたけど。それは置いといて、

最近色々な家電ジャンルを増やしていたバルミューダですが、まさかスマホを出すとはと思った方も多かったのではないでしょうか。全て曲線で形取られたデザインや経年で手触りが馴染む素材感など「らしい」個性が出ています。

しかしまぁ否定的な見解が出ること出ること。
「スペックが悪すぎる」とか「他社と比べてこんなの売れるわけない」みたいな意見が専門家を含めほとんどのような気がする。僕は細かいスペックに詳しくないのですが、スマホとして見た場合、それが正当な評価なのかも知れません。

でもきっと、バルミューダの社長さんはそういう専門家の批判は想定内というか、気にしてないんだろうなと。多分「スマホとしての機能評価」でそういう評価になるということは織り込み済みだったんじゃないかと思うんです。

それは家電も一緒で、機能面では色々言われることもあるブランドでありながらこれだけ売れているという事実。もちろん最低限、名前通りの働きはしてもらわないとダメなんですが、”実用性”基準でものを作ってないということなんですよね。

バルミューダが売れる理由

さんざん分析されてきてることですが、やはり大きな理由は「雰囲気がいい」からでしょう。

僕も実機を見に行ったりしますが、確かにこれを部屋に置いたら雰囲気が良くなりそうな気がする、そういうオーラを纏っている。で、実際置いてみると素敵な空間になる。ある意味”その雰囲気”を買っていると言ってもいいでしょう。顧問スタイリストをしている工務店さんにもバルミューダコーナーがあるのですが、やっぱりカッコいい。好みはあるでしょうから自由意見でいいのですが、個人的にはそんな印象を持っています。

そのあたり、コンセプトはファッション寄りなんじゃないかと思っていて。

ファッションも機能性とか着心地が良いことは重要な要素なのだけど、それだけじゃないんです。やっぱり見た瞬間に心が躍って着たくなる、着ると気分が上がるというアイテムであることも求めたいと考えています。そして雰囲気がいいブランド、独特の雰囲気を纏ったブランドほど高額でニッチになっていく。

だから、バルミューダを一般の家電という視点で評価すること自体が無意味なのかも知れません。薄利多売を目指してないし、分かる人に刺さってくれたらいいと思っているのだから。今回のスマホだってそういう設計でしょう。一世一代の大博打じゃないので会社が傾くなんてことはあり得ません。

”印象力”で得られること

そういう戦略を可能にしているのは固定ファン作りもさることながら、「お洒落家電といえばバルミューダ」と世間に思わせている印象力だろうと思います。

デザイン家電のヒット商品のいくつかで、世間一般のイメージが”お洒落な家電を作る会社”という認識になった。その後はよほどヒドいものを作らない限りイメージは崩れないので、メディアからもそういうポジションに置いてもらえます。これは大きいでしょう。

これがミキモトなら「パールといえば」、ルブタンなら「一度は履いてみるべき靴といえば」になるわけですが、そういうイメージを獲得出来ているのは強いと思うんです。宣伝しなくても勝手にイメージが広がって、特別にファンではない”なんとなく層”が憧れてくれるから。一度そういうイメージを作ってしまえば大きなアドバンテージになります。

そのイメージを獲得するためには、やっぱりデザイン・ファッションの力は無視できないと思うんです。で、それはそういうジャンル以外の企業にこそ必要だと思う。他がやってないから。

生み出すプロダクトのセンスの良さだったり働く人たちがお洒落であるとか、関連する要素をしっかりポジティブなイメージで認識してもらえれば、勝手に「あそこがやることなら間違いないだろう」「きっと深く考えているに違いない」と好意的に見てもらえるようになる=疑われなくなる。いちいち説明しなくてよくなるというのはすごく強いポイントでしょう。これまでも企業やインテリアショップのイメージ作りなどに関わってきて、その効果は大きいと思う。

そして、それって個人にも適用できることなんです。

一回「お洒落な人」という認識で定着すれば、次から何を着ていても”きっと良いものを着ているのだろう”と勝手に思ってもらえる。それなりのものを着ている・選べる人=一定の安心感や信頼も得られます。そうなるとラクですよね。毎回頑張って着なくても良くなるので。

わざわざ今日は上がしまむらで下がH&Mです!とか言う必要はないのだから、たとえファストファッションだったとしてもシレッとイメージを甘受しておけばいいのです。僕も職業柄そう思われていることがあって、ZARAのコートだったのに”お高い物でしょう?”と何度も何度も聞かれて言い出せなくなったことがありましたが。聞いてどうするんだろうか。

ブランド物を纏っていてもいい雰囲気にならない理由

でも、良いものを着ていてもお洒落イメージにならない人もいますね。何が違うのかというと、コンセプトがしっかりしてないんですよ。

たとえばバルミューダならどの製品も一貫したデザイン性が感じられますよね。全てを揃えてもゴチャゴチャしないどころか揃えた方が綺麗というような。ブランド品で揃えてもお洒落に見えない人は「どう見せたいか」というコンセプトが欠落しているんです。

本来は、こういう風に見せるためにはこんなアイテムやブランドが必要、という順番で選んでいくべきなんですが、アイテムやブランドありきで選んでいくと一貫性が欠けていく。結果ブランドに着られている人だったり単なる成金になってしまいます。

今は、”そこに意志が介在しているかどうか”がすごく問われる時代です。何となく、とか流行りだから、というような曖昧なものはもうお腹いっぱい。じゃあ他でもいいよね、ということになってしまう。

こういうコンセプトで作りました、こういう人に届いてほしい、こんな風に見てほしい、こんなテイストが好きです、、そういう部分ははっきりしていた方がいいし、見えた方がいい。はっきりした意志が介在していることが伝われば、そこに安心・共感してくれる人が現れ、「他ではなくこれが、この人がいい」という理由が生まれる。

それが最も分かりやすく見える、伝わるのは見た目であり、デザインやファッションだと思います。ファッションは成功してから、とか言う人も多いですが、まずそこからでしょうよ、と。認知も信頼獲得も圧倒的に早いですから。

まとめ

いい雰囲気を纏うためには、しっかりしたコンセプトを持つこと

一度獲得した”印象力”は自分をラクにする

スタイリストとして、これだけは自信を持って言えることです。クライアントを見ていて、何より自分自身でも実感することだから。

中身がしっかりしている人や企業ほど、そこに対して及び腰だったり関心が薄かったりするのが勿体ない。伸びしろ、まだまだありますよ。


バルミューダフォン、どれだけ世間に受け入れられるのかは分かりません。でもみんなiPhone基準じゃなくてもいい、という部分は同感です。

洋服も爆発的には売れないだろうけどブランドとしてはこれが必要、こんな提案をしたい、というアイテムがあるんですよ。アイデンティティ的な方向性を示すものとして。誰もが着られるデザインや最高の使い勝手ではないかも知れないけど、作らねばならないというこだわりや使命感から生まれたようなものが。

その企業の出来る範疇でそれをやったっていいじゃないですか。寄ってたかって叩かなくたって。

売れるもの売れるものと追求した結果画一化して面白くなくなり支持を失ってしまったのがファッションです。一時的にはいいかも知れないけど、やっぱりみんな一緒じゃつまらなくなり売れなくなっていった、その轍は踏んでほしくない。

人もモノも、面白いものを作ろうとする意志やチャレンジすることを評価する余裕は持っていたいな、と改めて思うところです。

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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介


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