ぴったりの「サイズ感」に出会うには
もうあっという間に4月ですね。新しい環境に臨む方や新入社員の方だったり、フレッシュな空気をまとった方に負けないようにせめて気分だけでもフレッシュに頑張りたいと思います。見た目ではもう勝たん。
今さら聞けないシリーズ、今回はサイズ感についてピックアップ。
今着ている服のサイズ感が合っているのかどうなのか、という質問は本当によく頂きます。
多くのアパレル関係者の方も言っているように、サイズ感はファッションのキモであり、一番重要なポイントと言っても過言ではありません。
どんなにいい服でも、サイズ感が合ってなかったら台無しです。ハイブランドでもサイズが合ってなかったらサイズがぴったりのプチプラに劣ります。でも世の中にはサイズ感がおかしいまま、着ている人もかなり多いと思う。
今はトレンドでオーバーサイズというのがありますが、これはあくまで「わざと」なので、正しいのはまずジャストサイズを知っていることです。ジャストを知っていないとどれが自分にとってオーバーサイズなのかを選ぶことも出来ませんし。
で、そもそもジャストサイズとはなにか、ということです。
これを定義するならば「身体のラインが最も綺麗に出るサイズ感」ということになるでしょうか。
隠すのではなく、出す。ここがポイント。
隠そうとするなら大きめサイズやボックスシルエットを着ればいいわけで、それではみんな同じシルエットになってしまう。個性ないですよね。後ろ向きなマインドですよね。
肩のハリ感、胸板の厚さ、しなやかな手首、ウエストのくびれ、ヒップのライン、、それぞれ体型にも個性があるわけで、それをいかに綺麗に、カッコよく見せるか。そこがまさに洋服やスタイリングの見せ所です。
ジャストサイズの服は、それぞれの良いところだけを拾ってくれる。逆説的に言うとポジティブさを際立たせることによって、気になるところに目を行かせない効果がある。隠すのではなく出すことで、マインドも前向きにしてくれます。
じゃあどうやってジャストサイズを見付けるのか。ポイントは3つ。
まずひとつは、サイズの表記はあてにしないことです。
サイズ表記に決まりはない
例えば「私はSサイズだから」と思っている方は服を選ぶとき当然ながらSサイズを選びますが、このサイズは「うちのブランドではこれがS」と決めているだけの
ことで、特に統一規格があるわけではありません。
だからAというブランドのSサイズがぴったりだったとしてもBのSサイズは合わないということも起こるし、特に海外のブランドはかなり基準がバラバラです。ブランドによって40表記がSだったりM相当だったりする。
以前扱ったことがあるブランドでは、スペイン人デザイナーさんのこだわりにより「うちはSサイズが1番美しく見えるからサンプルはSしか作らない!これが基準!」と普通の人はまず着られないXXS相当がSサイズということもありました。結局ドイツのバイヤーが「ドイツ人はこんなの着られないだろ!」と猛抗議して大きいサンプルも作ることになったのですが。確かにそうだよね。
だから、サイズ表記で探すというよりは「自分にぴったりのサイズ感」なブランドを見付けることの方が早いかなと思う。まずここに行けば安心、着心地も良いというブランドを見付けること。
ZARAのSサイズでは大きいけどGUのSは合うという方も居ました。僕はZARAのM、ものよってはSかなという感じです。そういうのが分かっていくと無駄にお店を回らなくて済むし、困ったらここで探そうというお店があるのとないのでは心理的な安心感も違います。
まずはサイズの合うものが多いブランドを見つけて、買い物難民から抜け出しましょう。ひとつのブランドやショップで買うことによってアイテムや印象の統一感も期待できます。
完璧に数字化した服=似合う服ではない
これも割と誤解の多いことかなと思っているのですが。
最近は自分のサイズを採寸して数字化する試みが増えています。最新のテクノロジーで簡易的に計測できたりスタイリストでも数字を元に服を選ぶケースも多いみたいですが。
それが悪いこととは言いません。でも数字は絶対じゃないというのもまた事実なんです。
というのは、ファッションは着る人の”どこを引き立たせるか”だから。
本来はMサイズなんだけどこのアイテムに限ってはLサイズでゆとりを持たせた方が高級感が出る、とか、このインナーはSを着た方が締まってキリッと見える、とか、「どう見せたいか」によって適正なサイズは変わってくるんです。だから僕はほとんど採寸していません。
数字上のサイズだけにこだわっていると、”サイズは合ってるはずなのに似合ってない”、という変な状態に陥ってしまう。散々採寸されたのに提案された服に全然納得できなかった!という話も聞いたことがあります。条件だけで結婚相手を選んでも理想通りにならない的な。
完全オーダーメイドで作る場合は細かく採寸しますが、そこは職人。お客さまは少し裾を長めにした方が綺麗に見えますよとかそのイメージなら数ミリタイトにしましょうとか、数字は把握した上で着る人が1番素敵に見えるように、ニーズを満たす微調整をしてくれます。ただ数字を測ってぴったりサイズで作っているわけではないんです。
料理と一緒で、まずはレシピ通りに作るのもいいと思います。でも自分好みの調整をしていった方がより美味しく食べられますよね。レシピは自由に変えていいんです。
「いつもとは違うサイズだけど、こっちの方が好みだな」「このサイズの方がイメージした雰囲気が出てるかも」と感じたら、それが正解。迷わずそちらを選びましょう。
試着せぬもの買うべからず
最後はこれです。試着はリアルガチで大事にして頂きたい。
試着は面倒とか店員さんとのやり取りが嫌いとかゆっくり試着の時間が取れないとか、色んな理由はあると思います。でもやっぱり試着だけは省いてほしくないし、できれば(ちゃんと知識のある)店員さんやスタイリストに見てもらってほしいのです。
ぱっと見「まぁこれでいいか」と思ったなら間違ったサイズではないのだと思う。でも全身「まぁこれでいいか」という服なのと「これがいい!」という服なのでは、見栄えや自信は大きく変わってきますよね。
正直、ダサくなきゃいい、というのではあまりに志が低い。特にビジネスでそれは致命的と言わざるを得ない。服はダサくなきゃいい仕事はミスしなきゃいい、というマインドの人に頼みたいと思うでしょうか?意識は服のサイズ感にも出るんですよ。
着てみたらイメージと違った、買ってからよく見たらシルエットに違和感がある、みたいなことはよく起きがち。試着した段階でこのサイズ感が心地いい、イメージしたビジュアルな気がする!と思えることが大事です。
自分だけでは不安なとき、より細かい部分まで見てほしいとき、店員さんやスタイリストの経験や知識が活かされます。こういうイメージで探しています、自分ではここが気になるけどどうですか?など具体的に聞いてみれば最適解を教えてくれるはずです。
いつもちょうど良いサイズ感のものを着ている人は、それまでにたくさん試着を繰り返してベストなサイズを把握している。着た分だけ誤差が修正されていくので、面倒がらずに試着してほしいなぁというのが正直な思いです。
おわりに
多少サイズ感がおかしかったとしても、即大きな問題にはなりません。そのまま暮らしていっても普段通りでしょう。
ただ、自分の良さを最大限に引き出す、ジャストフィットなサイズ感の服を着ている人と比べたとき、印象面で大きく差が出ることは間違いない。誰に会っても恥ずかしくない服を着ていると思えれば、自分自身に対する自信も違ってきます。
自分のサイズ感を知っているということは、自分を知っているということ。ベストなサイズ感が分かっていればそれをキープすることも出来ます。
とりあえずこんな感じで、というところから、今しっくりくる・ベストなサイズはどれだろう?と考えてみるだけでも一歩前進です。
サイズ感や数字の固定概念を外して、色々着てみて、写真に撮って、今のベストを探ってみてください。きっと新たな発見があるはずです。
僕はといえば、ベストな体型との一進一退の攻防が続いています。朝とお昼によく食べて夜に食べなきゃいいのよね。知ってます。でもやっぱり夜はちゃんと食べたいじゃないの。昭和の食卓はそうだったじゃないの。誰に向かって言ってるのだろうか。
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オーダーメイドスタイリスト 神崎裕介
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