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徒然ゴルフ〜練習場に潜む悪魔〜

ゴルフの練習場を
「打ちっ放し」と言う。

読んで字のごとく打ち放って終わり。

上手く名付けたもんだ。

世のアマチュアゴルファーは
皆ゴルフ上達の為に
練習場に通っているハズだが…

上級者曰く、
本当の練習をしてるのは
1割もいないだろうとのこと。

何故か?

最初は皆、色々と考えながら打つ。

腰がどうだ、
手首の角度はこうだ、
入射角がどうだとか…

ところが当然のように
良い球は打てない。

元々、技術不足なのに
隣人の視線が気になりだす。

良い球を打とうと見栄を張りだす。

そのうち
隣人より飛ばそうと
思いっ切り振り回す。

相手の承諾を得てないのに
勝手にライバルにしてしまう。

疲れる。

汗だくになる。

そして帰る。

ビールが美味い!

美味しいビールを
味わう為に練習場に行く。

完璧な自堕落ルーティン。

成程、
こりゃ上手くならんわ♪

ところが私は気付いてしまった。

上達への近道。
上達への近道とは?

隣人の視線を一切気にしない
鉄の意志を持つことである。

良い球が打てなくても
その日のテーマをしっかりこなす。

淡々と粛々と…。

心を入れ替え練習場へ向かう。

もう惑わされない。

技術向上のためだけに球を打つのだ。

スライス…フック…
高い球…低い球…

一球一球考えながら打つ。

身体ではなく、
頭に汗を掻くんだ。

そう、
良い球は出ないがこれが練習なんだと。

いい感じだ…
集中できている…

そうか、これが本当の練習なんだ。

隣の打席に若いカップルが来た。

男の子はイケメン、
女の子もカワイイ。
きっと幸せなんだろうなぁ…。

「きゃ~、
タクちゃん凄〜い!
ネットまで飛んでるよ!」

ほぉ〜、よく飛ぶなぁ〜。
体幹のしっかりした良いスイングだ。

しかし今日の私は
本当の練習に来ているのだ。

まぁ若者よ、
精々頑張ってくれたまえ。

「私もあんなに飛ばしたいな!」

「あ〜タクちゃん、
当たらないし全然飛ばな〜い」

わかるよ、その気持ち。

だけどねお嬢ちゃん、

飛ばすには地道な練習を
しなければダメなんだよ。

当てるには本当の練習を
しなければダメなんだよ。

「きゃ~!タクちゃん、
またネットまで飛んでる〜!」

「凄〜い!」

ふ〜ん、
確かに飛ぶなぁ…。

いやいや見てはダメだ。
隣人の視線など気にしてはならないのだ。

鉄の意志なのだ。

「タクちゃん!」

「タクちゃん!」

「タクちゃん!」

「格好いいー!!!」

出〜た〜!

鉄の意志を
簡単に砕くフレーズ。

「格好いい」

このワードで琴線にふれない男は
この世には存在しない。

見てろよ!タク!

(初対面だが明らか私より年下なので
敢えて呼び捨てにさせていただいた。)

エンジン全開!

持てる力を余すところなく

私は振り回した!
滅茶苦茶振り回した!

ネットを!
突き破ってやろうと!
振り回した!

当然疲れる。

汗だくになる。

帰る。

やったー!

ビールが美味い!

ゴルフ練習場恐るべし…

隣人の視線恐るべし…

未だ修行中…。

メデタシ、メデタシw

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