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球磨人吉蔵元アーカイブズ 2001〜05(1) 旧峰の露酒造

2001年12月 サイト『九州焼酎探検隊』で公開
第1話  2001.12.03 by 猛牛
2001年末の峰の露酒造株式会社(現繊月酒造)の社屋

■ダンディな堤正博社長、焼酎蔵としての企業精神を激白!

14:00。
人吉市内に突入した取材班は、最初の潜入先として『繊月』『たる繊月』で有名な峰の露酒造さんに向かった。

事務所を覗くと、お!堤正博社長がいらっしゃるではないか! さっそく突撃。

球磨焼酎の蔵元にはダンディな社長さんが多いというが、堤社長の気品ある容姿、その二枚目ぶり、さすがである。

堤社長「時代がどんなに変わろうと、うちの味をしっかりと、頑なに守っていく、そう思ってます。他分野からも本格焼酎に参入してきてますし、競争も激しい。しかし価格競争するためにクォリティを落とすなんてことは、断じて出来ない。うちの味を愛していただいている皆さんに、これからも支持していただけるよう、がんばりますよ」

歴史ある蔵、しかも企業規模も大手である同社を背負っていらっしゃる社長の気迫が、言葉ひとつひとつに溢れていた。

■御子息・博邦氏に誘われて蔵見学。極秘の新製品を発見んんん!

さて、次に潜入したのは同社の蔵である。ご案内いただいたのは堤社長の御子息である総務部課長の堤博邦氏。 まず、蔵の入口で昔仕込みに使われていた道具などを拝見した。

若くして焼酎のオーソリティとしての盛名を誇るけんじ隊員、逆に焼酎に接するのはほとんどお初というかき隊員、両者とも興味深げに博邦氏の話に聞き入っていた。

仕込み途中の焼酎の状態をじっくりと観察。巨大なタンクの中では、二次仕込み中のもろみがブクブクと泡を立てていた。

けんじ隊員「この中に首まで浸かってみたいですね・・・命がないでしょうけど(爆)」

この中に落ちると酸素が少ないため、実際に窒息死するのである。かつて淋豊嘉氏が誤って落ちたが、息を止め底まで着いてから一気に蹴上がって事なきを得たという。

さて、順路を巡ったあとに、試飲室に案内していただいた。
するとテーブルの上に見慣れない商品があるではないか?! 謎のボトルじゃ?!博邦氏に伺うと、今回新たに市場導入される新商品ということである。古酒ブレンドと樽貯蔵の長期貯蔵物の2タイプ

いぢ汚い探検隊である(自爆)、さっそく試飲させていただいた。

峰の露さんらしい上品な味わい、深み、まろやかな風味である。

しかしながら新製品であるが故に、これ以上のことは書けない。詳しく知りたい方は同社に直にお問い合わせいただきたい。

■まさに陶然!『たる繊月』『甕繊月』原酒に探検隊ノックアウト!!

ところがこれで終わったわけではなかった。博邦氏が次に開いたのは、古い土蔵造りのまさに“蔵”の扉である。

博邦氏「『たる繊月』と『甕繊月』の原酒を飲んでみて下さい」

「おおおおおおおおおおおお!!」

取材班がどよめいたのは当然であろう。古酒の貯蔵量だけでも有数の蔵である同社の、秘蔵の原酒が飲めるのであるから。

樽貯蔵物というか樫樽の臭いが体質的に苦手なわてだが、『たる繊月』は好きである。さっそく原酒をいただく・・・ん~~ん、樫樽の香りがこんなに美味とは。陶然の境地!

そして甕に寝かされた古酒。もう何十年寝ているのだろうか。これが“かめせん”の大元か!という感慨がわき起こる。飲む。けんじ隊員は一口、目が潤み、言葉が出ない。旨い、旨すぎるのだっ。


■球磨焼酎普及に果敢な『あおやぎのあ』さんを表敬訪問。

16:00。
峰の露さんをお邪魔して、次に急襲したのは人吉駅前にお店をかまえる球磨焼酎専門店『あおやぎのあ』さん。

ネット上でも販売を展開されているが、怒濤のモニター企画は“太っ腹さ”で有名となっている。当探検隊もモニタリングの機会を与えていただいたため、御礼にお邪魔することとした。

お会いできたのはサイトの管理もされている山岸浩尚氏。全国からモニター企画の応募者も多く、評判も上々とのことである。

山岸氏「酒屋ですけど、焼酎のことに詳しくはないんですよ。いろんな方に飲んでいただいて、御意見を伺いたいと思いまして」

と極めて謙虚に語る山岸氏だった。が、その後、実際はそうとうに球磨焼酎を勉強をされた強者であるという裏情報を得た。

言っちゃ悪いが、横柄な酒屋もある中で、山岸氏のそのお人柄、誠意に凛としたものを感じたんである。感服です。

(了)


■2022年追記:峰の露酒造さんは、2004年「繊月酒造株式会社」に社名を変更。そして2004年だったか、福岡でOLをされていた堤純子氏が実家に戻り、その後2016年に社長となられた。

繊月城見蔵が完成するなど、蔵の施設も21年前とは当然大きく変わったのでしょうが、まだお邪魔出来ていません。球磨盆地をのんびりとまた回ってみたいものです。



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