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トリコロールサミット ~再開後3試合を見て~ 前編

1.はじめに

 Jリーグが再開してはや3試合。どの試合も苦戦し、思ったように勝点を詰めないマリノス。「相手に対策されてるのでは?」そのように感じると共に、「それでも対策を上回ろうと改善の兆しが見える」という思いもありました。なんだかもどかしい…

 そんなとき、Bunさんから呼びかけが。「現状のマリノスは何がうまくいっていないかを座談会形式で話し合おう」

 こうして、Bunさんozamendiさん、自分を始め、マリノスの書き手さんが集まってお話をしました。その内容をざっくりまとめると共に、自身の意見などを書き連ねていこうかと思います。

2.マリノス対策ってこういうこと?

 まず、シオンコーチさんが一枚絵にまとめてくださいました。こちらを見ていきます。

 マリノスの守備面における弱点、および攻略法は記載の通りだと思います。これは昨季からずっと抱えているものなので、詳細を考えなくてもよいでしょう。ということで、お題はマリノスの攻撃面における対策です。

 相手が対マリノス用の守備をしているからうまくいかない。なんとなくそう感じています。しかし、それは具体的にどういうものなのか。ozamendiさんに思うところがあるようです。そこで、彼の思うマリノス対策が共有されました。

【フェーズ1】
 前後分断したハイプレス
【フェーズ2】
 素早いリトリートとディレイ
【フェーズ3】
 ニアゾーンへのクロス対策

 マリノスがどこでボールを保持しているかで3つのフェーズに分かれるというものです。それぞれ見ていきましょう。

■フェーズ1

マリノス対策1

・前線の選手たちはハイプレスを敢行
最優先は中央封鎖で、サイドを通される分には構わない
・ディフェンスラインを高くしてライン間を狭める
・ディフェンスラインは居残りで前後分断も辞さない

 マリノスが自陣深くにいるとき、前方の選手はハイプレスを敢行。後方の選手は居残って数的優位を保つ。前後分断も辞さない姿勢で守備を開始します。

 前の選手たちはバックパスに反応して寄せることを開始。ただし中央を通されないよう意識する。外回しされる分には構いません。また、ボールを奪いにいきますが、必ずここで奪うというより、奪えたらラッキー程度の考え。あくまで『楽に前進させないこと』が重要なようです。

 後方の選手たちはあまり前に出ていきません。というのも、ハイプレスを回避されたとき、相手3トップに対して数的優位を作りたいから。まぁ保険みたいなものです。だからといってベタっと引くのではなく、ラインは高め。中盤とのライン間を詰めることで、トップ下の受けるスペースを消します。

■フェーズ2

マリノス対策2

・前線にボールが入った時、残っていたディフェンダーがディレイして時間を稼ぐ
時間を稼いでいる間に中盤の選手たちが帰陣してコンパクトな陣形を形成

 次のフェーズはハイプレスをかわされ、前線にボールをつけられたときです。このときボールが渡るのはウイングがほとんど。というのも、ハイプレス時に中央を封鎖していたから。

 ウイングの前には、保険として残しておいたディフェンダーが立ちはだかります。このときのポイントは突っ込まず、距離を一定に保って遅らせること。スピードにのせない、ドリブルさせない。中盤の選手たちが戻るまで時間を稼ぎます。

 ディレイしてもらってる間に中盤の選手たちが帰陣。そこで初めてウイングに寄せていきます。守備人数を整えてからボール奪取を狙う安全第一な思考。ライン間を狭くすることもでき、自陣にコンパクトな陣形を再形成することもできます。

■フェーズ3

マリノス対策3

ニアに入る低いクロスを警戒する立ち位置を取る
・ディフェンダーの間はボランチが埋める
・フォワードはボランチ間を経由したサイドチェンジを防ぐ

 それでも自陣深くまで突破された場合は、クロス警戒体勢に突入します。逆サイドのサイドバックとセンターバックがゴールライン上に立つ。キーパーとの間を詰めることで、クロスのコースを消す。これでロークロスに対して前向きに対応できます

 サイドに出ていったディフェンダーとの間を空けるわけにはいかないので、そこはボランチが埋める。また、ボランチを経由したサイドチェンジをされるとスライドが間に合わないため、フォワードがこれを防ぎます。

 これらフェーズ1~3を、マリノスのボール位置によって適切に切り替えて対応。これが対マリノス用の守り方になっているようです。

3.データから検証

 では、この対策を踏まえてデータを見ていきましょう。

■チームを昨季と比較

スタッツ比較

(データ引用元:Football LAB

・クロス数が増加
・30mライン侵入、エリア侵入回数が増加
・クリア数、インターセプト数が減少

 まず目立つのはクロス数の増加。これは外回しにされ、外側から攻める頻度が上昇しているからでしょう。

 また、30mラインやペナルティエリアへの侵入回数が増加しています。これは相手がリトリートしているため、そこまで侵入できているから。また、クリア数やインターセプト数が減っています。押し込んでいるので守備の機会が減っているからでしょう。

■仲川を昨季と比較

仲川スタッツ比較

(データ引用元:sofascore
※相手のデュエル勝利は対面した左SBまたは左WBのものを使用
※各試合のデータを90分換算することはしていない

・クロスが増加
・ドリブルやデュエルの数はおよそ同じだが、成功数や勝利数が減っている

 クロス数が増加しているので、外に追いやられる頻度が多くなっていることが伺えます。また、ドリブルやデュエルについて、施行回数が大きく減っているわけではないが、成功数や勝利数は減少。勝負をしかけるも、勝てることが少なくなっていることがわかります。

 以上より、外回しに攻撃させられていること。相手が撤退してこちらのウイングに仕事をさせていないことが、ある程度裏付けられたと思います。ozamendiさんの提唱するマリノス対策とも一致することが多くありましたよね。

4.どのように対策を上回るか

 今回は引いた相手をどう崩すかにフォーカスしていきます。そこで、Bunさんが1つの方法を提案しました。

■問題点:押し込みすぎる

問題点

【問題点】
 相手を押し込みすぎ、縦のスペースが狭くなる

 選手交代で4-2-4になると、前線の選手たちは最前線に張り付いて動かなくなることがしばしばあります。相手からするとエリア内を固めれば守り切れる状況。ディフェンダーの背後も狭いですし、中盤とのライン間も狭い。その中にパスを通すことは非常に難しいです。

 また、押し込んだままサイドを変えたとしても、相手はエリア内を固めるだけなのでちょっとしか横スライドしません。これではいくらパススピードを上げても、十分間に合いますよね。相手を揺さぶることがあまりできないことになります。

■解決策:一旦引いて縦に広げる

解決策

【POINT】
 大きく後ろに下げて相手を縦に広げる

 縦に狭いのなら広げてしまいましょう。一旦最後方まで戻します。そうすると、相手は中盤やディフェンスラインを前に上げてくるはずです。これでディフェンスラインの背後や、中盤とのライン間が開くはず。上図は極端な例ですが、そこに選手が飛び込めば攻略できるでしょう。少なくとも押し込んでいる状態よりはスペースがあります。

 ボールを下げても、相手がラインを上げてこない場合があるかもしれません。そうなったらミドルシュートをお見舞いしてやりましょう。相手のプレッシャーがないので、精度と強度の高いシュートが撃てるはずです。

 押し込みすぎたら一旦下げてやり直し。これは昨季からBunさんがプレビューで何度も書いている方法です。

 このやり方以外にも押し込んだ相手を攻略する方法はあるかと思います。ぜひ、 #トリコロール集合知 で呟いてみてください。

5.おわりに

 マリノス対策ってなんぞや?というところから、その問題点、解決方法などを書いていきました。今回はファイナルサードでのことを深く掘り下げています。ミドルサードやディフェンシブサードはまた別の記事にしてまとめようかなと思っています。

 対策されたら上回ればいいだけです。再開後の3試合で落胆せず、チームの成長する姿を楽しむくらいがちょうどいいのかもしれませんね。このチームなら乗り越えられるはず。これからも期待しています。

 後編はこちら↓

6.参加者

Bunさん

ozamendiさん

ユウさん

ロッドさん

akiraさん

masaさん

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