2021年 短歌まとめ(2021/12/27投稿 はてなブログ再掲)

今年の夏、ひとつの文化に出会った。
アイドルグループに心を奪われて約1年。初めてのことばかりで新鮮で楽しい彼らの応援において、もどかしさを覚えることがひとつあった。その時思ったことをありのまま書き記す以外で、形あるものを残せない。
イラストは描けない、考察も出来ない、特化した専門知識もない。自分の感じた「好き」を表現する何かが欲しかった。貴方を応援している人がここにいるのだと、誰かに見つけて貰えずとも証を残したかった。恐らくこれまで創作をしてきた人間の性だったように思う。
そんな時巡り会ったのが、ジャニーズ短歌。衝撃だった。こんな魅力的な世界が存在するのかと。
短歌は個人的にほんの少しだけ、それこそ自分の感情表現のひとつとして詠んでみたことはあった。31字という限られた字数の中で、どこまで情景や心情を表すことができるか。その難しさと奥深さは、わずかながら経験したことがある。
これだ。私のやりたかったこと。「詠」をうたえばいいのか。感覚的なイメージ、些細なニュアンス、目を閉じて広がった景色を、全部。



以下、今年の短歌を思い出せる範囲での解説とその時思い浮かべた(であろう)イメージと共に。


虹彩がゆれてひかってきらめいた  世界で
いちばん小さな太陽
(ジャニーズ短歌「夏」 森本慎太郎)

画面いっぱいにうつった、細かな煌めきが散りばめられた大きな瞳のイメージ。
彼を太陽だと思う瞬間は、素直な性格やダイナミックなダンスなど様々あるが、あの澄んだ瞳を見つめた時が何よりも彼に太陽を重ねる瞬間、という詠。「目は口ほどに物を言う」がこんなにも当てはまる人もそういないのでは、と常日頃感じている。



中音がゆだる体を抱きしめた  貴方に微睡む
熱帯夜にて (ジャニーズ短歌「夏」田中樹)

午前0時30分、布団の中でラジオを聞きながら瞼が重くなっていく様子。
夏の暑い夜でも彼の声を聞いていると心地よくて、つい眠ってしまいそうになる安心感を覚えたことを詠んだ一首。「中音」は彼自身から語られた舞台稽古中のエピソードより。



足りないと乾く紺青歪む霧  踊る箱庭  
夢か真か (マスカラ)

MVより。上の句は「喰らえど喰らえど〜」のあたりの床に寝転び顔をしかめるシーンが渇望による歪みに見えたことから。下の句は6人のダンスシーンから(多分)



一等星ここにいるよと輝いて  光続ける
文月の君  (7月15日 森本慎太郎)

誕生日によせて。夜の空に、最初に輝きを灯す一番星みたいな人。



希望という一縷の光掴むため  飛び込む獅子よ 夜明けを告げて (NAVIGATOR 田中樹)

空白に焦点合わせて狙い撃て  ひらけた先にはまだ見ぬ世界 (NAVIGATOR 京本大我)

MVより。発売1周年記念によせて。
飛び降り突破口をつくり(ジェシー)、そこに飛び込み(樹)、ひらくために撃ち抜いて(京本)、見えた新たな空間で舞う。ラスサビまでのシーンが私にはそんな風に見えた。壮大な世界観に圧倒的されるNAVIGATORのMVは、個人的な原点でもある。



埋まらない後悔だけを喰いちぎり抜いた
まつ毛は本物だった (マスカラ)

マスカラ発売記念によせて。嘘のはがれた「彼ら」に、今残るものは何だろうか、と考えてできた詠。



白銀の鎧と剣の内側にひそんだ藍を
見つめていたい (ジャニーズ短歌「色」田中樹)

個人的に、それぞれにイメージカラーがある。尖りすぎず、けれど確実に芯の通る言動から銀色をイメージすることが多いのだが、恐らくアイドルとしての彼のイメージであって、それ以上の色は、分からない。分からないけれど、私の知る彼が彼のすべてではないということを忘れずに、もしかしたら内に秘めた別の色もあるかもしれないということを念頭に置いていたい。というある種の願望と自戒のような詠。



ffが手のひらの上を踊ってる 君はビビット
あざやかに咲く
(ジャニーズ短歌「色」森本慎太郎)

原色に近いような、ハッキリとした色合いのビビットカラーのイメージが個人的にあって、パワフルなパフォーマンスを見ていると特に感じることがあったところから。ffはビビットカラーのカラーコードに必ず付く英字。



金色の雨があがった空の下  ぽつりと落ちた
あなたの結晶  (ST 田中樹)

YouTubeに公開されているoneSTの円盤映像より。今見ると、また違う印象を抱いた。見た瞬間の私には、こう見えていたらしい。



陽光が指の隙間を落ちてゆく  焦点ぼける
泡沫の夏  (うきわ)

ドラマに出演していた方のツイートを見て。今年の夏は特別だった。



融けきらぬ誰も知らない雪原に今なお続く
無邪気な足跡 (森本慎太郎入所15周年)

昔のことをあまりよく覚えていないと語る彼の、彼でさえも知らないその当時から変わらぬ純粋さは、未だ変わらず彼の中にあり続けているように見える。



言の葉がたやすく心を撫でてしまう  私は一生さわれないけど (ジャニーズ短歌「数」田中樹)

心を動かす言葉をくれる人と、貰うことは出来るけど贈ることは出来ない自分の距離がもどかしいような、悔しいような、だけどそれがアイドルとファンの在り方なのだとも思う、そんな詠。



旅をしよう  ぼくらとみんなで何度でも
空色の道続く未来に (oneST発売記念)

予定していたすべての地を訪れることが出来なかった後悔を、あらゆる媒体で話してくれる彼らは、きっと今後、何回でも会いたいと思ってくれている人の元に会いにいけるまで、この旅を続けるのだろう。



憧れは同じはやさで背を伸ばす  対極のきみ
似ているあなた
(ジャニーズ短歌「数」番外編 しんじゅり)

正反対なようで似ているふたりの詠。先日、
ふたりの関係性の深さをより実感してから見ると、自分の詠ながら中々に沁みるものがある。



何度でもあがる狼煙が聞きたくて  あなたの
呼吸に耳をすます (NEWERA発売1周年)

耳を指さして「聞き逃すな始まりの合図」とこちらを見つめる彼が、次にどんな合図を送ってくれるのかが楽しみになった。



生まれ持つわずかばかりの曲線に
美を見いだしてくぎづけになる (田中樹)

細長く綺麗な指が魅力的だと思った詠。割と脳直で詠んだ記憶。



はじめての音を教えてくれる本  
第六章の一文字目は「」
(ジャニーズ短歌「ショウ」SixTONES)

僕僕のMVの概要欄に記載されていた「第二章」が印象的だったことから。いつか訪れる第六章は、どんな音がするのだろうか。



からっぽの大地に衝突した種(きみ)は
やがて芽となり花を咲かせる
(ジャニーズ短歌「ショウ」)

アイドルとの出会いの衝撃を詠んだ一首。花は、枯れることなく今も咲き続けている。



夢の魔法とけても幕はおろさない
僕の人生(ストーリー)おいかけてきて
(12月3日 京本大我)

舞台という幕は降りても、これからも彼の物語は続いていく。



ジャニーズ短歌は参加した際に解説を投稿しているため、そちらに詳しく書いてある(場合もある)。
思うように詠めなかった時や課題は山ほどあるが、単純に自分の感情を表現出来る新たな世界に出会えたことはとても大きかった。これからも飾らずありのままを詠めたら、と思う。
来年もどうぞよしなに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?