パナソニック覚醒

パナソニックの1事業部門であったコネクテッドソリューション(現パナソニックコネクト)の改革物語。

「こうやったら日本企業が変わった」ということを残しておくことで、次の参考にもしてもらおうという著者の思い。自身も現在担当中の大企業をどう変えたか、ということを語れるようになりたいという思いで読む。

■リーダー/コンサルタントとしての心持


改革において最も注意すべきことは、どうしても本社主導になるため現場との距離ができてしまう、本社は盛り上がって現場は冷めているということになる、事業立地に関しては自分たちの事業は何なのだ?という思いになることがある。
これは丁寧に説明していくこと、実績を作っていくことが求められるのであろう。また社員個人には成長をしてほしい、主体性をもって生きてほしい(上司がこう考えるだろうと察知してまとめるなんてことはやめてほしい)と伝えることであろう。

日本企業は社員が優秀・誠実・責任感が強いので、トップが「右を向け」というだけで全員が右を向くわけではない。この人のために頑張ってやろうというように思ってもらうことが重要。それができれば日本企業は一気に進む。
ただし、事業売却のようなやるべきことはやっていく、無慈悲さも求めあっれる。いい人だけでは変革を乗り切れない。リーダーとして新年をもって正しいことをやる、そのベースにはこうしたいという信念を持つということ。グレーターグッド。
これはコンサルタントにも共通するものであろう。顧客の同意なきには物事は進まないので、一定程度は顧客の現場を理解する必要がある。一方で第三者としてこうすべきということを信念をもって伝えなければならない、ベースとなる信念はとても重要。

■改革のために押したボタン


以下のことを実行していったとのこと。チェックポイントとして参考になる

0.ビッグピクチャーを描く
自分たちは何を目指してどこで戦うのか?(何を目指すのかという旗印とそこに向かうための戦略)を決める
ビッグピクチャーなしに一生懸命働いても意味はない。
それを描く中で、足りないものを明らかにする

1.カルチャー・マインド改革
まず変わってどうなりたいかというビッグピクチャーありき。
トップの率先垂範。あれはだめ、これはやるというのを推進室任せでなくトップ自ら判断、伝達。リーダーが断固たる姿勢を見せることがまず第一。
目的は個人・組織のパフォーマンスを最大化すること

  • フォーマリティの排除(フリーアドレス、服装カジュアル化、会議での席順)

  • 今まで普通にやってきたことの必要性見直し(週報、社内資料、決裁プロセス)

  • 直接対話の推進(1on1)

  • 透明性と説明責任・共有 (最終責任はリーダーにあることを明確にし、責任を明確にしその成果を伝える)

2.ビジネスモデル改革
ハードウェアにサービスを組合わせるビジネスに。(ソリューションシフト、ソフトウェアシフト、持続性ある収益構造へのシフト)
そのために、セールス組織(部門別収支管理⇒プロジェクト別管理)、マーケティング組織(デジタルメディアの導入等)を改革。(IT、人事も遅れている。ファイナンスも?)

3.事業立地改革
まずどの事業もバリューアップ。その上で4つに分類

  • 現場プロセス事業

  • ハード先鋭化事業
    絞り込んだ領域において競争力を徹底的に磨きハードの競争力を維持し業界のリーディングカンパニーであり続ける

  • 戦略的提携事業 (例:セキュリティシステム)
    外部パートナーの強みと掛け合わせ、必要に応じ外部資本も導入し競争力を高める

  • 縮小・終息事業
    立地が悪く利益を生み出し続けることが困難


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