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敬慕する人

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いつもお邪魔している皆様の記事から、わたしが特に思い入れのあるものを集めさせていただきました。 プロの方々も惜しみなくその作品を公開してくださるというこの環境が奇跡です。ありが…
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#言葉

悪魔と青く深い海のあいだで 《詩》

「悪魔と青く深い海のあいだで」 その水は何処までも 透明で純粋だったんだ それを知る者は誰も居ない 灯りすらない夜の闇  誰かの足音 くだらない 辻褄合わせに僕等は泣いている 銃声の音が聴こえますか また大切な何かが失われて行く 知らぬ間に 目隠しをしていた愛の調べ 不釣り合いな恋に 傷付くのが怖かった 水平線の向こうには 花は咲いていますか 僕等の話を聞いてください 貴方は今でも其処に居てくれますか それとも去って行きますか 愛してると言って

シリーズ【ふせんをはりたい、ことばたち。】 #5 「応募する」 (『夢をかなえるゾウ』の“おみくじ”より)

(過去の記事はこちらです) うちの寝室の壁には、小さなおみくじが貼ってありました。 おみくじ、と言っても神社でひいたものではなく、書店でもらったものです。 それは水野敬也さんの著書「夢をかなえるゾウ」の販促用のおみくじで、表にはひとこと、 「応募する」 と書いてありました。 何年か前に書店でもらってきて、夫が「良い言葉だから」と壁に貼りました。 (インテリアが趣味の私は正直「えーそれ貼っちゃう?」と思ったけれど、 ああ、これが共同生活というものか…と、あきらめました

言葉に 言葉で打つから 言葉で打ちのめされる

共犯者 春を呼べ 《詩》

深い混乱の中に 均等なふたつの光の存在を探した 失われて行く時間の感覚  ある種の衝動が 頭上からずれ堕ちて来る 僕は夢と想像の中に言葉を探す 其れは誰か特定の人に 向けられた言葉では無い 其処に見える憂鬱な風に包まれた 名前を持たない 消えかかった田園風景 其の僕の中にある 無名の場所を埋める為の言葉だ 疵痕も残さず切り裂いた刃  大量の現実の血が 流されたはずだった 夜と朝を隔てた場所に僕は居る 意識を研ぎ澄まし 架空の一点に瞳の焦点を結ぶ