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敬慕する人

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いつもお邪魔している皆様の記事から、わたしが特に思い入れのあるものを集めさせていただきました。 プロの方々も惜しみなくその作品を公開してくださるというこの環境が奇跡です。ありが…
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#詩

ある日の あの日〈1〉

プロフィール…プロフィール… そんなことを考える機会がこの夏あって、 私は自分がどんな人なのだろうと、 思い返すことになりました。 けれど、私には、 一般的なプロフィールらしいプロフィールに 書けるようなことは何ひとつなく…。 大学も、ということはもちろん“美大”へも 行かなかったし、 素晴らしい賞を取ったこともない、 関連した職を経てきたわけでもない…。 デパートの掃除のアルバイトをしたり、 都会の真ん中の駅でサンドイッチを売ったり、 突然、山の麓でパンを焼いてみたり、

悪魔と青く深い海のあいだで 《詩》

「悪魔と青く深い海のあいだで」 その水は何処までも 透明で純粋だったんだ それを知る者は誰も居ない 灯りすらない夜の闇  誰かの足音 くだらない 辻褄合わせに僕等は泣いている 銃声の音が聴こえますか また大切な何かが失われて行く 知らぬ間に 目隠しをしていた愛の調べ 不釣り合いな恋に 傷付くのが怖かった 水平線の向こうには 花は咲いていますか 僕等の話を聞いてください 貴方は今でも其処に居てくれますか それとも去って行きますか 愛してると言って

ALL YOU NEED IS LOVE 《詩》

「ALL YOU NEED IS LOVE」 時の海の中にひっそりと漂う 今は無き物質と其の記憶が 長く白い砂浜を音も無く歩き続ける 彼女はまだ僕の中で歩き続けている 確か随分前にも君を見かけたよ 同じ時間に同じ場所で そう 話しかけたかった 微かな波の音が聴こえた 太陽は動かず時間は止まる 時々僕は彼女に出逢う  ふとした瞬間に 何処か遠い世界にある場所で僕等は 強く繋がれている 其の場所はきっと  お互いがお互いを 許し合う事の出来る場所 私

言葉に 言葉で打つから 言葉で打ちのめされる

共犯者 春を呼べ 《詩》

深い混乱の中に 均等なふたつの光の存在を探した 失われて行く時間の感覚  ある種の衝動が 頭上からずれ堕ちて来る 僕は夢と想像の中に言葉を探す 其れは誰か特定の人に 向けられた言葉では無い 其処に見える憂鬱な風に包まれた 名前を持たない 消えかかった田園風景 其の僕の中にある 無名の場所を埋める為の言葉だ 疵痕も残さず切り裂いた刃  大量の現実の血が 流されたはずだった 夜と朝を隔てた場所に僕は居る 意識を研ぎ澄まし 架空の一点に瞳の焦点を結ぶ