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いつもお邪魔している皆様の記事から、わたしが特に思い入れのあるものを集めさせていただきました。 プロの方々も惜しみなくその作品を公開してくださるというこの環境が奇跡です。ありが…
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2022年5月の記事一覧

「僕がイラストレーターになるまでの長く曲がりくねった道」 その①

イラストレーターとして 2022年のこの5月で僕はイラストレーターになって30年が過ぎた。 僕はイラストレーターとしては遅咲きで、絵だけで飯が喰えるというプロのイラストレーターになれたのは30代も後半、40も目の前という頃だった。それから30年間、僕は職業イラストレーターとして生きて来た。ある統計によれば、10年仕事を続けられるイラストレーターは全体の10〜20%だそうだ。信憑性の程は知らないが、30年やった僕は多少は頑張ったのだろうか。既に結構どころか中々いい年だ(笑)。

色つけする時間無いのでモノクロで気分転換。 ミステリーって台詞が多くて紙面文字だらけになるけど、所々遊び心入れて飽きさせない努力してるつもり。でも人物が動けなくなるジレンマ。 まあピカ彦さんはアクションしないから(^◇^;)街中坂道で息切れするタイプだそうですからw

【短編小説】なつむし

 棚田を断ち切るようになだらかに上る一本の坂道を、一人の老婆が登っていく。丸まった背中が乳母車を押しながら、山の端に隠れそうになった夕日の最後の光に紅に染まり、ゆっくりゆっくりと登っていく。  道の両側からはカエルたちの合唱がにぎやかに響き、老婆の体を包みこんでいる。  そういえば、あの時もこんな音に包まれていた・・・。  昭和20年5月初頭。  裏山でしきりに鳴くホトトギスの声を聴きながら、菊枝は井戸端でノビルやアマドコロの根を洗っていた。配給米では父母と幼い兄弟を養