見出し画像

ほぼ筆を折っていた絵描きがイラストAIのおかげでまた絵を描けるようになった話

アレコレ荒れてるイラストAIに対する僕のスタンスとかのまとめ

筆者の背景

高校〜大学の頃に趣味でモリモリ絵を描き、就職やらであまり時間が取れなくなりフェードアウトしていった絵描き。ありがちな話。
イラストAI出る前もたまーーーーーに気が向いた時には描いてた

(AI非使用時の)画力は低くはないけど高くもない
それなりに整った絵は描けるけど「大きく破綻してない事と魅力的な事は別だよね」って感じの絵(自評。今まで僕の絵良いって思ってくれた人ゴメン)

そんな感じで自分の中の「絵を描く」と言う趣味の立ち位置が「やたら時間がかかる割に、結果に満足出来る可能性の低いコスパの悪い趣味」になってしまいフェードアウトしていた
満足いく絵が描けないならゲームやってた方が楽しいもの

そこに出てきたのが昨今のイラストAI
自分で1から描くより遥かに早く、遥かに高クオリティな絵が出力できる
これが「時間がかかる上にアウトプットに満足できない」という僕が抱えていたフラストレーションにピタリとハマった

イラストAIをどう使っているか

簡潔に言うなら「かなり整ったカラーラフの出力」
カラーラフに直接加筆していくような感じで描いてる
整っているとはいえ細部がアレだったり線がボヤけてたりディテールが描きたいイメージと違ったり自分の性癖が乗ってなかったりするのでそこを人力で詰めていく感じ
以下、AIで出力した絵とそこから描き進めて完成した絵

AIで出力した絵
完成絵
ねじれちゃんはショート派


かかった時間はAIの画像生成に30分〜1時間、そこからの加筆作業に2〜3時間くらいだったと思う
元々筆は遅い方だったのでトータル4時間で絵が完成するのがまず革命的(普段なら描き始めから完成まで日を跨ぐ)だし、出来上がった絵も自分が見てかなり満足出来る出来栄えになっている
正直めちゃくちゃ楽しい
これなら「仕事しながら捻出できる時間とエネルギーで嗜める趣味」として楽しんでいけそうだなと思った

と言った感じで、「イラストAIの台頭で筆を折る絵師が出る」とか叫ばれてる傍らで、ほぼ折れかけていた筆をAIに繋ぎ止めてもらった人間もおるんですよという話でした。

イラストAI周りの(主にネガティブな)話題に対する僕の考え雑記

『イラストAIって要はパクりじゃん』
大前提として「イラストAIがやっている事は人間と同じであり、それに対する非難は全て人間に跳ね返る」と考えている
よく「イラストAIは無断で他者の絵をパクっている」的な理解が見られるが、AIが行なっているのは「既存イラストの学習とそれに基づく新規出力」であり、コレをパクリと呼ぶのなら何かを見て学んだ人間が描く絵も全てパクリである

『絵柄に既視感がある』
『手が破綻』

絵柄に既視感があるだの手が破綻してるだのは人間が描いた絵でも起こり得る事であり、それを以てAIイラストをディスろうとしたり、あまつさえそれで人間の絵かAIの絵か見分けようとするとか流れ弾に殺される人間がいるのでマジでやめた方がいいと思う
良い絵だなと思ったら素直に良い絵だなでいいじゃん

『無断転載サイトから学習云々』
絵描く時の参考資料をGoogle画像検索で探して「今参考に見ている画像は転載などではないだろうか」と毎回気にしている人だけ石を投げなさい
とは言えこれに関しては「Danbooruで学習してるよ」と公言してしまったNovelAIにも落ち度があるとは思う
「漫画村で読んで面白かったのでファンアート描きました」みたいなこと言ったらそら燃える

『AIでのイラスト生成は何の努力もなしに行われていてけしからん』
こういう努力賛美系の話ってネット上ではむしろ嫌悪されてると思ってたんだけど…と言う話は置いておいて、AIでのイラスト生成がお手軽簡単ワンクリックみたいな認識は大きな誤りである(多分上手く生成されたイラストだけがプロンプトも省略されてアップされるせい)

描きたいイメージを的確に言語化した上でそれが上手くAIに伝わるようにプロンプトを組み、各種パラメーターを調整し、出力された絵からプロンプトや各パラメーターがどう作用したか考察し、調整を施してまた生成する…これを満足いく絵が生成されるまで繰り返す
そこには明確に試行錯誤や個人の技量が関わる領域が存在するし、その試行錯誤を「俺らがやってた事と比べたらそんなん努力とは言わん」なんて言い放つのは老害以外の何物でもない
まぁ簡単かつディテールに拘らない絵であれば適当なプロンプトでそれなりのクオリティのものが出来てしまうのも事実ではあるが、それは言わば手癖で筆を滑らせた落書きのようなものなので「気軽にやる落書きにそこまでの努力を求められても…」って話である

『AIイラストには〇〇が出来ない』
2つの答えがある
1つは「おそらく遠からず出来るようになる」
もう1つは「今AIに出来ない部分は人間がカバーすれば良い」

冒頭に載せた二次創作絵を例に取る
現状、初音ミクレベルの有名キャラクターを除いて、キャラクター名をプロンプトに投入してもそのキャラのイラストを生成したりは出来ない
しかし、そのキャラクターの特徴的な要素を人間が分析してプロンプトに落とし込めば近しいキャラの絵を生成する事は出来る
更にイラストに手を加える技術を持ち合わせている人間ならば、ディテールを詰めてさらに元のキャラに近付けていける

元々人間がやっていた事をAIに置き換えようとしているのだから、AIが出来ないとされる所は人間がやれば良いのである。

『AIで出力したイラストそのまま出すだけでAI"絵師"って(笑)』
先ほども述べたように、AIでイラストを出力する過程には、その人間の技量や作家性が介在する余地が十二分にある
「描く」と言う行為ではないものの、「絵を生み出している」と言う意味では絵師と呼んでも差し支えないんじゃないかと思う
10/09追記 : 上記について掘り下げました
https://note.com/hirazi/n/n61c5bfa65d62


おわり


記事執筆時のコーヒー代などなります。