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「てめえのケツはてめえで拭え」問題について。

歩く女性自身こと稲妻マルコです。今日は仕事がら散見する介護現場の現状とこぼれ話をしたいと思います。

ある紳士について話す。有名大学を卒業し定年まで大企業に勤め役員にまで昇進し有価証券を含め潤沢に金融資産がある。それなりに昔はハンサムだっただろうが独身貴族で悠々自適に生きてきた。新聞や映画、読書を好む知性の高い紳士という初対面の印象。彼なりに人生を楽しんできたのだろう。いわゆる勝ち組の男性についてのこぼれ話をしたい。

彼は認知症を含む持病と老化により現在は施設で生活し紙パンツを着用している。非常にプライドが高く成年後見人をつけたがらない。

銀行に行っても自分の暗証番号を忘れるようになり、最近は支払うべきお金を滞納することが多発している。滞納事案が多くなり様々な支援者が成年後見人をすすめるがご本人は非常に嫌がる。誰も代行する権限がないため取り立て屋が部屋を出入りするようになる。資産家であり独身であることが知られ詐欺師にマークされるようになる。本人は認知症の症状からか危機感なく怖がっている様子もない。

詐欺師が認知症の独居老人の金融資産を丸ごと狙おうとすることは割と散見する。認知症になると本人が詐欺師の男を歓迎し家に入れてしまう。子の出入りがない、子供がいない認知症の老人は餌食になりやすい。

こうなると学歴も職歴も関係なく、介護も必要だが成年後見人が必須だ。

自分を守る術として本格的に介護がはじまる前に成年後見人をつける方々は一定数いる。ケアマネジャーなどの計らいで知的障害や精神障害などを抱えていると早い段階で後見人をつけるケースは多い。彼らは金銭的なトラブルや破綻もなく穏やかな老年期を過ごす。介護だけの問題で済むのだ。

後見人をつけないばかりに金銭的なトラブルが日常化している上述の紳士を関わると、知性とはなんだろうと考えさせられる。人間の知性なんていうのは一時の幻に過ぎないのかと失望する。学歴も職歴も金融資産も彼のプライドと認知症の前では歯が立たない。先見の明もなかったこのご老人は最終的には失禁し自分の尻も拭けずに我儘放題だ。強面の詐欺師が出入りするようになるとケアマネジャーや施設の管理者などの支援者たちも彼のトラブルを煙たがるようになる。最低限の介護だけが滞りなく実行されるだけの毎日が続く。せめて彼に親身になる近親者が一人でもいれば話は全く変わるのだが、彼には冷蔵庫の中のペットボトルの水1本気遣ってくれる近親者もいない。

こうなると暴力団員や詐欺師の餌食にならずに済む生活保護受給者の方が、ずっと安全な老後を暮らせる。

介護現場で起きていることで混乱することはよくある。世の中は弱肉強食でできておりハイエナがたくさんいる。法には法でもって対応するしかなく、自分の身は自分で守るほかない。幸福な介護現場なんて、私はみたことがない。

介護の問題は最後はご本人の生き方や計画性、それから覚悟も大事になってくると思う。

「野垂れ死ぬ」覚悟があれば屁でもない問題だ。



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