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感情より先に涙がドバドバ出た話

私の旦那は、はっきり言って「ソウルオタ」だ。

ソウルと言っても韓国ではない。音楽の方。
ゴスペル、R&B、サザンソウル、R&R・・・評論家になれるくらいの情報量をもっている。1聞いたら100くらい返ってくるので「ちょ、待てよ」となるけど、勉強にもなる。

私はというと、10代の頃はバンドでギュインギュインしているハードロックが好きだった。洋楽も邦楽も「バンド」が好きで、要はうるさめの音楽が好きだった。(そのうるさい中にも、結構いいバラード曲があったりして、そこも良かった。)


19歳でウルフルズと出会ってからソウルを知るようになるが、一番の影響はやはり旦那だ。「ウルフルズのこの曲は、この人の曲が元やで(大阪出身)」と教えてもらって、サム・クックが大好きになった。


そんな旦那と、まだ結婚する前のこと。
私の誕生日前日に、日比谷野外音楽堂(以下、野音)で音楽イベントがあるので行こうと誘われた。
もちろん、チケットがプレゼント。

それが「JAPAN BLUES&SOUL CARNIVAL 2010」だった。
(13年前!!!!!!!!!)

「ソロモン・バークが初来日すんねんで!!」と旦那が嬉々としていたのを覚えている。
私は、旦那の膨大なCD棚にその名前があるのを知ってはいたけど、その時は「へぇ。すごいね、良かったね。」と他人事な感じだった。


ところで、「ソロモン・バーク」というシンガーをご存知だろうか?

1940年3月21日 フィラデルフィア出身
幼少期より教会で歌いはじめ、7歳頃に初めて説教をしたそう(驚愕)
10代でラジオ番組を持ってゴスペルを歌い、20歳でレコード会社と契約・・・うんぬん・・・と、そういったことは私なんかが語れるわけもなく、プロフィールは割愛させていただく。

1960年代から第一線で活躍されていた、黒人のでっぷりと太った、とにかく凄いシンガーなのだ。



代表曲は「Everybody Needs Somebody To Love」!
ローリング・ストーンズがカバーしたり、映画「ブルース・ブラザーズ」でも使用されたりしているので、ご存知の方もいると思う。


※この静止画だけでも最高!!


数々の名だたるミュージシャンに影響を与えたソロモン・バーク。
キング・ソロモン・バークと呼ばれていたようで、ここでも「キング」と呼ばせていただきたい。
(我々夫婦はそう呼んでいるので。おこがましさの極み。)


野音で見たキングは、やはりとっておきのアメリカン・サイズで、とある国の君主のような出で立ちだった。まさに、終始「玉座」に座りっぱなしだったのである。
周りに“はべらせた”綺麗なお姉さまたちに、時々、きれいな褐色の坊主頭にかいた汗をふきふきされていたのをめちゃくちゃ覚えている。

そのキングが歌いだした途端・・・だ。
いや、歌の前の「説教」(キングは、キリスト教の説教者でもあった)からだったかも。

勝手に、勝手に涙が出る…!!!なに、これ。
歌をちゃんと聴きたいのに、あとからあとから涙が出る。出まくる。
止まらない涙をぬぐうのが大変で、その印象の方が大きい。
あぁ、もったいない。

でも、あの時の気持ちを思い出すだけで、今も涙が目に溜まる。
キングの声を思い出したいのに、キングの歌を摂取すると涙が出るオートマティック化された自分しか思い出せない。
でも、心の奥はギュッとなる。

キングの歌は、声は、私の中の何かをガラッと変えてしまうほどの威力だったのだ。


キングの歌の背景や歴史や、生まれ持ったセンスや才能。
たまに見せるキュートさと、心震わす歌声。
全部が全部、大きな塊となって、なぜかこのちっぽけな日本人に全速力でぶち当たってきたのだろう。

あまりの衝撃に涙を流すことしかできず、こぼれ落ちた破片を拾うこともできず、ただただ呆然としたままキングの後ろ姿を見送った。


旦那に感謝したのは、言うまでもない。
こんなプレゼント、後にも先にもこの時だけ!(それもどうか)
というか、「へぇ。すごいね」なんて適当に返事していた自分を恥じた。

キング!日本に来てくれて、ありがとう!!
私たちの前で歌ってくれて、ありがとう!!!



そんな気持ちで迎えた2010年の我が誕生日から、4ヶ月半後。
キングは亡くなってしまった。
オランダのライブに向かう途中の機内で、心臓発作だったそうだ。

私は、あの日野音に居たことを、改めて誇りに思う。
悲しいと思うよりも、私の人生の中で「キングの歌を生で聴いて、泣くことしかできなかった」という事実が、キラキラと眩しく輝いているから。


キングの歌は、別の形となって、ずっと私の心に残る。
13年経ったけど、星になったキングに、心からありがとう。



※こういった内容は、例えばキングの誕生日(3/21)にあげるとか、命日(10/10)にあげるとかするべきなんだろうけど、気づいたら誕生日は過ぎてしまっていたし、早く書きたかったのでもう公開します!

 このことが書けて、素直に嬉しい!note、ありがとう!!










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