「お客さま」との関係性

ほぼすべての保険会社の基本方針に「お客さま第一」「お客さまによりそい」「お客さまのために」みたいな文言が入っている。

CS(顧客満足)について考えるとき、まずそのC:Customerは誰なのか、定義する必要がある。
「当然契約者でしょ」「代理店は?」「潜在顧客もいるんだからすべての人がお客さまだ」などなど。「(株式)会社はだれのものか?」みたいな話になってしまう。個人的には範囲を広げるほど文言の意味はなくなってしまうと思う(「すべての人を第一に考えます!」ってどういうこと?)ので、もっとも限定される「契約者」を「お客さま」として考えるのが適当と思う。

いずれにしても保険会社が「お客さま」を重要視して業務運営を行っていることに間違いはない。ただ現場に降りてくるときは、
「お客様が気づいていないリスクを可視化するんだ」
⇒「リスクマップ○○枚が月のノルマだ!」
⇒「なんで数できねぇんだ!保険売れって言ってるわけじゃねえだろ!」
みたいな話になることもある。
そう。スタートの時点で「お客さま」不在です。

TVでは「面倒なことはなんでもやるから安心でしょ」みたいなメッセージを訴求するCMがある。「あとは全部やりますからお客さまはお金だけ払っていてください」というのは適切な対応だろうか。「お客さま」を無知の状態にしてコントロールしやすくするのは「お客さま」の満足度向上につながるだろうか?(残念ながら一時的につながると思う)クレーム処理に費やす膨大な費用は、結局はすべて「お客さま」負担となるのに。

「お客さま」と保険会社の主張が対立しやすい場面として保険金の支払いの際がある。
お客さま:支払え 
保険会社:支払えません

なぜこのような対立構造が出来てしまうのか。保険会社の社員が自らが契約者の立場になった時「保険金」の支払いをめぐって保険会社と対立するというのは聞いたことがない。
「当たり前じゃん。社員だもん。」
「当たり前じゃん。社員だもんそのとおり。当たり前。ではその当たり前はどこから来ているか。そのとおり。当たり前。」

ではその当たり前はどこから来ているか。

・商品の補償内容を知悉している 
・どのような時に、どのようにいくら支払われるか経験している(反対に、どういう場合支払われないか知っている)

こんなところだろうか。逆に言えば、この2条件を「お客さま」が充足できれば「対立構造」は作られないのではないかと考えている。


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