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こんな症状ありませんか? それってグルテンが原因かも!(4/5)

みなさん、こんにちは。
今回のテーマは、ひどい疲労ともやもや感です。

Brain Fog(ブレインフォッグ:脳の霧)

よく寝たのに朝からひどく疲れている感じがする、頭の中がもやもやして考えがまとまらない、考える速度が遅くなったような気がする、自分がしゃべっているのがぎこちなく感じる・・・。こんな症状、思い当たりませんか。
こんな症状があっても、疲れがたまっているんだろう、最近ストレスが多いから、もうトシだから・・・と、片づけていませんか。

もしこのような症状が毎日続くとしたら、心配になってお医者さんのところへ行くでしょう。でも、たまにしか起きなかったら、やっぱり何かのせいにして、そのままにしてしまうことが多いと思います。

疲れた女性

欧米では、Brain Fog(脳の霧)と名付けられた症状が、多数の医学論文で報告されています。具体的に、次のような症状が報告されています¹⁾。なお、症状には個人差が大きく、これらの症状が単独で現れる場合もあれば、複数の症状が同時に現れる場合もあります。
・集中力の低下
・注意力の低下
・少し前のことを覚えていない
・話したり書いたりしながら、正しい言葉が出てこない
・物忘れ
・考えがまとまらない
・見当識障害(時間や場所、人間関係がわからなくなる)

Brain Fogは軽度の認知機能の低下と考えられます。

Brain Fogはグルテンが原因で起きる病気で見られる

グルテンが原因で起こるセリアック病、ノンセリアックグルテン過敏症(NCGS)と診断された人の多くが、Brain Fogの症状を示しています。アメリカでの調査では、セリアック病患者の89%、ノンセリアックグルテン過敏症患者の95%が、Brain Fogを経験しています。
Brain Fogの症状と、現れた頻度を表にまとめました²⁾。

ブレインフォッグ症状

Brain Fogが起こるメカニズム

セリアック病やノンセリアックグルテン過敏症(NCGS)の人は、自分の体にとっての異物であるグルテンが体内に入ると、それを撃退するために、炎症性サイトカイニンという物質を作ります。この炎症性サイトカイニンが次々と生産されると、血液中の炎症性サイトカイニンの濃度が上昇し、体全体に循環することになります。

脳の血管には、血管脳関門といって、異物が脳の中に入らないようにしているバリアがあります。ところが炎症性サイトカイニンが血液脳関門の上皮細胞に結合すると、このバリア機能が緩み、白血球が脳の中に入ってしまいます。白血球は脳の神経線維の炎症化と損傷を促進するため、神経伝達速度(処理速度)が低下し、認知障害が起こると考えられています³⁾。

グルテンによる神経症状

Brain Fogに関する研究はまだ始まったばかりで、原因物質と発症メカニズムが完全にわかっているわけではありませんが、この仮説によって説明することができます

Brain Fogは他の病気でも見られる症状

Brain Fogは、線維筋痛症、関節リウマチ、多発性硬化でも見られる症状です。ですから、グルテンフリーの食生活に変えたからといって、すべてのBrain Fogが解消するわけではありません。また記憶障害や見当識障害は、脳の細胞が壊れることで起こる認知症の中核症状でもあるので、症状をよく観察する必要があります。さらに、まっすぐ歩けない、動作が遅い、話すとき呂律が回らないなどの症状が現れる場合は、グルテン失調症という別の病気の可能性もあります。
症状が重い場合は、お医者さんに相談することを強くお勧めします。

Brain Fogに心当たりがあるならグルテンフリーを

グルテンを異物と認識する人、すなわち、グルテンに弱い体質の人は、本人が気づいていない人も含めると、5~6人に1人はいると推定されます。もしBrain Fogの症状に心当たりがあるのなら、一度グルテンフリーの食生活を試してみてはどうでしょうか。

グルテンフリー1

セリアック病、ノンセリアックグルテン過敏症と診断された人が、グルテンフリーの食事を摂るようになると、12か月以内にBrain Fogの症状が見られなくなったという報告があります³⁾。腹痛、下痢、便秘のような消化器症状と違って、神経症状はすぐに変化があらわれないので、数か月間、グルテンフリー生活を続ける必要があります。でも、いったん破壊された神経線維は、すぐにはもとに戻りません。神経線維の破壊が進むと、体のあちこちに痛みを生じることもあります。
とにかく、心当たりのある人は、1日でも早く、グルテンを含む食品を食べるのを控えることです。

参考文献
1) Anderson J., Gluten-Related Neurological Symptoms and Conditions, very well health (2020)
https://www.verywellhealth.com/gluten-related-neurological-symptoms-and-conditions-562317
2) Kristin N. et.al., Leffler, Neurocognitive E¬ects of Gluten Exposure: Results of a Nationwide Survey, 15th International Celiac Disease Symposium (2013), https://www.beyondceliac.org
3) Gregory W Yelland, Gluten-induced cognitive impairment (“brain fog”) in coeliac disease, Journal of Gastroenterology and Hepatology, 32(S1) 90-93 (2017)

いかがでしたか。グルテンは、お腹や皮膚だけでなく、神経にまで影響するんですね。
さて、次回は、こんな症状ありませんか? それってグルテンが原因かも! の最終回、子宮内膜症と月経困難症です。
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まとめ

・ひどい疲労、もやもや感、集中力の低下、物忘れは、Brain Fogの可能性がある。
・グルテンが血液中の炎症性サイトカイニン濃度を上昇させ、脳の神経線維が破損するため、神経伝達速度が低下することが、Brain Fogの原因。
・Brain Fogの症状に心当たりがあるなら、グルテンフリーを試してみる。

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