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法的には、香りを楽しむためのもの。アロマオイルと薬機法

“アロマテラピー”と聞くと癒される香りとマッサージ、ゆったりと心地よいリラクゼーションの時間を思い浮かべることができます。

ところが、この“アロマテラピー”という言葉を使い商品を広告するのは薬機法違反になるということはご存知でしょうか?

(実際に東京都福祉保健局ではアロマテラピーという表現を雑貨や化粧品のアロマオイルに用いることは薬機法に違反するとの見解を示しています。)

薬機法違反!なんてワードは他人事で終わりたいですよね。

この記事は、独立開業・法律に詳しい行政書士が執筆しています。アロマオイルを扱うサロン経営者様や、アロマオイルについて勉強したいと思っている方にも参考になると思いますのでどうぞ読んでみてください。


アロマテラピーは薬機法違反?

そもそもアロマテラピーとは、植物から抽出した香り成分であるエッセンシャルオイル(精油)を使って、心身のトラブルを穏やかに回復し、健康や美容に役立てていく自然療法のことを言います。

アロマテラピーという行為自体が薬機法違反にあたるわけではありませんが、アロマテラピーを行うために使用するエッセンシャルオイルが化粧品又は医薬品の場合は薬機法の規制を受けます。

また、雑貨として販売されているエッセンシャルオイルに関しても表示できる文言に関して薬機法により規制されることがあります。

アロマオイルとエッセンシャルオイル(精油)の違い


アロマオイルは植物由来の天然香料・精油や合成香料を他の化合物、油などで希釈した製品一般のことをいい

エッセンシャルオイル(精油)は植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。

アロマテラピーに使用できるのは、エッセンシャルオイル(精油)のみとされていますが、この記事ではまとめて「アロマオイル」として記載していきます。

アロマオイルとエッセンシャルの見分け方

精油(エッセンシャルオイル)とアロマオイルは外見上はかなり似ていることが多いので間違えて購入される方もいらっしゃるかもしれませんが、ポイントを押さえることで簡単に見分けることが可能です。

Point1:瓶
精油は光による品質劣化を防止するために遮光瓶に入っています。

Point2:ラベル
精油は瓶のラベルや箱に「精油」または「エッセンシャルオイル」と必ず書かれています。また、植物の学名、産地、抽出部位、抽出法も記載されています。

Point3:価格
精油は価格帯として数mlで数千円。アロマオイルと比較すると高価な場合がほとんどです。これは精油の希少性や製造コストなどが価格に影響しています。

さらに、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)では、表示基準適合精油に対し、認定制度を設けており、ラベル部分や説明書により詳しい製品情報を記載することとしています。


アロマオイルの効能効果表現

アロマオイルの効能効果を表現するにあたって、アロマオイルが化粧品の場合と雑貨の場合で答えが異なります。

化粧品の定義は、薬機法第2条3項に記載されています。

「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。


皮膚や毛髪を健やかに保つことを目的に、身体に塗って使用するという場合には化粧品として容器に法律に則った表示をしていなくてはいけません。


[アロマオイルが化粧品の場合は]
化粧品でできる効能効果表現は決められた56項目の範囲内に限られます。

「アロマの効果で肌の疲れを回復します」
「アロマオイルが肌の血行を促進します」

このよう表現は、化粧品の効能効果の範囲を超えるため薬機法に違反するとされています。

[アロマオイルが雑貨の場合は]
本来、薬機法の規制に関わるのは医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器等に限られます。

しかし、アロマオイルが雑貨であるにも関わらずあたかも化粧品かのように「肌につやを与えます」とか「髪のダメージをなくします」と広告してしまうと、それは薬機法違反に当たります。
化粧品の場合にも医薬品的効果を表現できず限定的な効果しか広告できませんが、雑貨はさらに狭い範囲での広告しかできません。

雑貨における販売の場合はあくまで香りを楽しむためのもの、という範囲でしか広告できません。



アロマオイルを販売する場合の注意点

効果効能表現以外にも、アロマオイルを販売する場合には注意が必要です。

1つは小分け販売する場合、そしてもう1つは輸入して販売する場合です。
順番に見ていきます。どちらも対象のアロマオイルが化粧品か雑貨かによって対応がわかれるためしっかり確認しましょう。

まずは小分け販売の場合です。
サロンで施術に使用したり、小分けにして販売したいといった場合

雑貨の場合には、小分けにして販売しても問題はありません。

化粧品の場合には、場合は小分け製造として製造業の許可を要するため
許可なく小分けで瓶詰めしたりができません。※例外もあり

次に輸入販売の場合です。
雑貨として使用するアロマオイルを輸入する場合には、自由に輸入販売を行うことができます。効能効果表現に気を付けながら販売を行ってください。

化粧品の場合には、薬機法の規制がかかるため、製造販売業許可の取得と併せて製造業許可の取得も必要となる場合があります。

許可の取得には、事務所内を設備として整え、責任者を配備しなくてはいけません。

販売に動くまでに要する期間は3か月から半年ほど見ておく必要があります。


まとめ

アロマテラピーやアロマを使った商品はよく目にしますが、実は法規制に絡むということはあまり知られていないようです。

特にアロマオイルの効能効果については、おそらく薬機法の規制を知らないのでしょう。割と大胆に違反している広告をよく見かけます。

取り締まりは年々強化されていますし、最近は新型コロナの流行で“免疫”などのワードを使った広告には行政も敏感になっています。


お客様の信頼を大きく損なってしまう法令違反
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