見出し画像

あはき法だけじゃない!整体院・カイロプラクティックが注意するべき薬機法・景表法

あはき法だけカバーしていればOKだと思っていませんか?

整体院・カイロプラクティックにおける広告規制は、あはき法により規制されていますが、注意するべき法律はあはき法だけではありません。


例えば、健康食品を取り扱う場合や、健康器具・医療器具を取り扱う場合には薬機法・景表法などの広告規制について考える必要があります。


この記事では、整体院・カイロプラクティック業を行う上で注意すべき法律について独立開業・法律に詳しい行政書士が解説していきます。



医業と医業類似行為の違い


整体院・カイロプラクティックが行うサービスは、医療行為ではありません。

医療行為は、医師にだけ認められている行為だからです。

例えば腰痛を治療する場合、手術や投薬は医療行為にあたり、マッサージなどの処置は医療類似行為にあたります。

医療類似行為のうち、整体院・カイロプラクティックと接骨院・鍼灸院は種類が異なるサービスとなります。


接骨院・鍼灸院は、法律で認められた医業類似行為

整体院・カイロプラクティックは、法律で認められていない医療類似行為


法律で認められたというのは、法律に基づく資格を持って行為を行うかどうかです。

具体的な資格は、以下の4つ

・あん摩マッサージ指圧師
・はり師
・きゅう師
・柔道整復師


法律に認められていないというのは、あはき法・柔整法に基づく資格を持たない者が行います。

具体例として、以下のものが挙げられます。

・整体、骨盤矯正
・カイロプラクティック
・気功
・アーユルヴェーダ
・英国式リフレクソロジー


ここで1つ、疑問が浮かびます。

法律上、医療類似行為として定められていない整体・カイロプラクティックがサービス提供できる根拠はどこにあるのだろう。

この疑問の答えは、最高裁判例にあります。
昭和35年1月27日の最高裁判決では、「医療類似行為は、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務行為でなければ禁止の対象にならない」と判断されていて

人の健康に害する恐れのない限りは、法律に基づく免許の無い者が行う医療類似行為は規制されないのです。

ただ、実際はケガや症状の悪化などの被害が報告されていて、その数は年々増加していて深刻な問題になりつつあります。

国家資格による施術の技量の担保がされていないというのが理由の一つですが法律そのものの制定が古く(制定は昭和22年)運用が時代に即していないことも一因だと考えます。

近年ではあはき法の改正のための準備が進められています。
新型コロナの影響で先延ばしにはなっていますが、改正予定があるということは意識していてもいいかもしれません。


整体院・カイロプラクティックが守るべき広告のルール


医療類似行為を行う事業者様が広告できる事項はかなり限られています。


具体的に広告していい事項として定められているのは以下の事項です。

・施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所
・業種の種類
・施術所の名称、電話番号、所在を表示する事項
・施術日又は施術時間
・休日又は夜間における施術の実態
・駐車設備に関する事項 など 


あはき法に基づく医療類似行為には当たらないので、広告のルールは適用されないのでは?という都合のよい考えは通じません。

むしろ、あはき法に基づく治療はできないので「治療」や「治る」といった表現は不適切です。「癒す」「やわらげる」といった表現を使うべきです。


施術所の名称についても「整体治療院」「整体クリニック」といった表現はできません。


健康食品の販売・医療機器の販売をしたいとき


サプリメントなどの健康食品を販売したり、マッサージ椅子などの健康器具を販売したい場合には薬機法に気を付けて広告しなくてはいけません。

「〇〇症が治る」「△△治療に」といった表現はできないので、気を付けてください。

また、例えば温感マッサージ用のクリームを販売したい場合、クリームの箱詰めや表示シールの貼付などをご自身の事業所で行いたい場合化粧品製造業許可が必要となる可能性があります。

何か新しい事業展開を迎える際には、許認可・届け出が必要かどうかを行政庁または行政書士などにお尋ねください。


薬機法・景表法等に関わる法律違反の例


医療類似行為サービスの提供を行う事業所が薬機法・景表法等の違反をした例として以下の事例があります。


薬機法(旧薬事法)違反・・・未承認ED治療薬を無許可で広告・販売し逮捕した例

景表法(景品表示法)違反・・・身長伸ばし、美顔矯正の広告における優良誤認表示による景表法違反

医師法違反・・・整体師を名乗り無資格で電気治療器を用いた治療を行い逮捕

まとめ

整体院・カイロプラクティックは、国家資格なしに開業することができることから、人気の資格となっています。

しかし、開業のためのハードルが低い分できる業務内容や広告に規制があります。

自分のビジネスだけでなく、業界全体の信頼を損なわないためにも、ルールを守った運用を心掛ける必要があります。

実際の運用が合法的に行われているのか不安に思われる方からのお問い合わせは増加しており、意識の高まりを感じています。

最初のご相談を、かなで行政書士事務所にしてみませんか?
薬機法・景表法を専門とした行政書士が丁寧に対応いたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?