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僕らは平等に虚しい

久しぶりに街へ行き、
タイコを叩いて歌った。

午前中は森の中で、
子供が喜び、大人が見守る中、
ようはゆる〜い「イベント」で歌った。

国東半島から大分市街へ移動する間、
16時からのツイキャスライブで歌った。

歌いまくっていられる日は
なんて幸せなんだろう♪

*************

路上で歌う。
街へ行く。

しかもタイコを叩くのは
本当に久しぶりだ。

大分の街は、
去年のこの日以来だ。

そう、夜に
地元の消防団の定例の
「旅行」があったので。

**********

田舎暮らしの僕たちは
「街」がけっこう特別な日となる。

街のホテルをとって、
焼肉を食べて、
おそらくメインは
お姉ちゃんのいるお店とか
風俗へ行くことなのだろう。

僕はその日本の風習には
興味ないので
別行動させてもらう約束で
参加させてもらっている。

そんな街の様子を眺めながら
誰にも相手にされない街角で
歌っている時間が
僕の18からの
アイデンティティのノスタルジィで
好きだ。

******

で、夜、
街をうろうろして、
歌いやすい場所を探す。

当初はウクレレの予定だったので
あまりうるさい場所を嫌った。

で、結局、
人気のない地下通路で歌った。

声がよく響く。
けど、誰も通らない。
そんなことわかってる。

一通り、気持ちよく歌ったら、
もうモチベーションがなくなった。

タイコ叩いて、
大きな声で歌おうかな・・・

時刻は21:30。
まだまだ明るく賑わってる「街」って
すげぇ・・・

**********

それで、
数年前に改修されて
広々と、綺麗になった
大分駅前で、
月を見上げながら歌った。

数年前と様子が違う。

警備員がうろうろしている気配が
ないのだ。

数年前は
タイコを叩くと、
真っ先に警備員に注意された。

高齢者雇用で雇われたような
おじいちゃん達だ。

・・・きっと、
もうあの頃の方々は
ヨボヨボになって
働いてはいらっしゃらない
んだろうな・・・。

そんなことを想った。

数年経って、
みんな歳をとった。

僕も歳をとった。

誰も彼もの
ライフステージに
変化があっただろうことを
この身を持って実感し
想像ができる。

世の中が変わった。
ってことだ。

********

路上や店頭で
一生懸命、迷惑を顧みず、
道行く人にアピールするより、
SNSの投稿を頑張った方がいい。
みんなそっちを見ているのだから。

路上で芸事を披露して、
少しでも多くのお金をいただこう。
と、SNSへ投稿もせず、
一期一会の投げ銭に
何を期待できるというのだろうか?

すっごい刹那的だな。
と思った。

でもその刹那より
実利ある方を選ぶ世。

そもそも
その刹那、一期一会に
実利の浪漫が消え失せた
ここ数年の世界を感じる。

「実」「身」は何処にある?

********

駅前でタイコを叩く。
歌う。

「身」はここに在る。

誰もが素通りしていく。

若者がノリノリになって
近づいてくる。

「絵をかく!」
と僕はシャウトする。

若者達も
負けじと叫ぶ。

誰かが
「何の意味もねぇ!」
みたいなセリフを
叫んでた。

ばっちりなその言葉の詳細は
忘れちゃったけど、
すげぇ・・・それだ!
と思った。

そのグループにいたように見えたけど、
いつの間にか
人が
東南アジア系のグループに変わっていた。

日本語じゃない言葉で
彼らは歌い、叫び、踊り、
去っていった。

ウクレレケースに
いくらかお金が入っていた。


30分ほど演っただろうか。

潮時感を感じ、
片付けて帰路についた。
繁華街のホテルに向かった。

まだウクレレで歌いたくて、
適所を探してうろうろした。

すると、
同じおばあさんに
よく会った。

・・・彼女は
行く場所、帰る場所がないのだろうか?

何も出来ない。

けっきょく、
誰もが、何も残せない「命」で
生きている。

移り変わらざるをえない「時」に
生きている。

*******

お金に何ができる?

命に何ができる?

「制度」に何ができる?

******

詩は
歌わないと歌われない。

何を望んでいる?

僕らは
平等に虚しい。

お姉ちゃんのいる店に行って、
「へ〜どんなお仕事されているんですか?」
とか、
お金払って、
そんなことをしても、

誰もが素通りする
街中で、
叫び、歌っても。

変わらない。

僕らは平等に虚しい。

で、
何を選ぶか。

どう
時を、この身、存在で
味わうことを望むか。

それだけか・・・

と思いながら、
僕はこの街を去る。

田舎の我が家に帰り、
地元の神事の祭りに参加し、
午後は、
娘が風邪でうなされていた時、
励ますために約束した
「元気になったら大きな公園行こうね」
の約束を果たすのだ。

また、
虚しくも
何処かで歌って生きようと
想う。


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