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「枠組み」と「即興」

日曜日に、
一緒に18年ほど、
音を鳴らし、バンドをしている
ピアニストの友人が
僕の地元に「ソロコンサート」として
やって来た。

いつもは「バンド」で一緒に音を鳴らしているので、
意外と彼のソロコンサートに
足を運ぶことはなかった。

元webデザイナーの
彼自身が作ったフライヤーを受け取り、
地元の各地、友人知人に配り、
宣伝したのは僕だ。

「プロ活動20周年ツアー」と書いてある。

僕は正直、嫉妬していた。

僕だって、同じくらいの長さ、
音楽活動をしている。
でも、いつから「プロ」になったかと
宣言するには違和感があって、
あまりそういうタイプは
好きではない。

「プロ」とはこういうものだ。
「プロ」とはこうあるべきだ。
という説教を、
「プロ」を知ってる人から
散々、若い頃聞かされてきたから
だと思う。

散々ダメ出しされてきた。

彼らは今、
どんな「プロ」として
活躍しているのだろうか?

********

そんな「プロ」の方と、
僕は一緒にバンドをさせてもらっています。

こんな僕は「プロ」なのかもしれない。

若い頃は散々ダメ出しされてきたけど、
そんな僕にダメ出ししたおじさんたちと
同じくらいの年齢になって、
「あいつら、偉そーだったな・・」と、
対等に、見下すことができる。

いや、憐れむことができる。いや、
慈しむことができる。

*******

老害であるかもしれないし、
あの頃の彼らも若くて、未熟だった。
今は人のいいおじいちゃんに
なってるかもしれない。
健康を害して、
苦しんでおられる方も多い。

*******

そんな、僕があの頃の彼らの年齢になって
いまだにちまちまと音楽にしがみついている僕に
「プロで活動されている・・・」
とか言われ、
持ち上げられて、距離を取られても、
バカにされているような気分になる。

僕は、「プロ」とか「お金を稼ぐ」ということで、
散々傷ついてきたから、
キャリアとか「装い」、
音楽のテクニックからでさえも、
ポジションを得たいとは
もう思わない。

そんな社会をやめたい。
終わらせたい。

共に生きているということ。

舞台に立つ人の地位を
上にしないでほしい。

脚光を当てなければ「仕事」にならない。
ならば、何とかして、自分も
脚光を当てなければ「仕事」にならない。

立派な装いの人、声にこそ
お金は支払われるべきだ。
という時代も終わらせよう。

うん。
それは終わっているね。

今は「うまくやる」ってことが
お金を稼ぐ主流でしょう。

・・・それもアンチです。

********

お金はもう・・・
稼がなくてもいい。

『「儲けよう」と、
ガツガツしなくなったら、
自然とお金は廻ってくるものだよ。』

そんな為になるお話もよく聞くが、
真意の違いを最近は感じている。

「お金」の性質が、
昔はもしかしたら、そういうことあった
のかもしれないが、
今は変わってるのかもしれない。

今は「儲けよう」としても、
ガツガツすることをやめても、
実際のお金も目減りしてる感じがするし、
仮に増えたとしても、
「何か」を引き換えに失うような
感じがする。

お金を稼がずとも、
生き遂げられる世を
目指すべきなのかな?って。

便利な潤滑油にならない「お金」。
潤滑油の性質を失っている「お金」に
頼らずに生きていきたいな・・って。

ここらへんの気持ちは
次のnoteで書こう。

********

そんな共演したピアニストの彼、
おそらくこのnoteをSNSでシェアしなければ
僕のnoteを追って読んだりはしていないと
思うのだけど、
「嫉妬」をして、
その嫉妬を正当化して
このnoteを終わらせたんじゃ、
あまりにもカドが立つ。

わざわざそんな悪口を言うために
書き始めたわけじゃないんです。

********

久しぶりに一緒に音を鳴らし、
酒を飲み交わし、
僕とは違うタイプの人間と
お互いに補い合っている。

響きあえる面白さ。

僕とは違った感性が故に
当たり前だけど
違う人生を生きている人がいて、
そんな違った人と、
縁あって、同じ時代を生きている。

********

彼は
「枠組み」を創り
それに合わせて構築するのが得意なのだ。

それを土台に、
どのくらい外すか、
はみ出していくのか、
土台に帰結させるのか、
また違う場所に着地させるのか・・・

「ブレインストーミング」とか
「マインドマップ」とかいう名前をつけて、
イマドキの出来る人が
利用するやり方が得意。

イノベーターとか
クリエイターとかが
重宝される今こそ、
大切な方法だとは想います。

これを知らずに
漠然と生きていても
うまく生きられない・・・。

********

そして、
こんな「枠組み」で構築する生き方にも
向き不向きが
人によってあるでしょう。

みんな違うんだから。

********

「枠組み」は
とても頼りになる拠り所
にもなるし、
そこに収めなければならない
プレッシャーにもなり得る。

********

その対処の仕方が
僕らは違うんだよね。

彼はまず「枠組み」を構築。
「コピー」や「テーマ」を与え
場に「意味」を加えたところで、
音楽で柔軟に、自由に、
即興演奏をする。

現代社会、
人が集まる「場」を創るには
必ず「テーマ」が必要である。

・・・なんてね。

******

僕はそういうのが苦手。

「枠組み」の最小単位の「言葉」
ってやつを重視しているくせに、いや、
重視しているが故かもしれない。

テーマが定まらず、
話がどんどんと脱線してしまうのだ。

まとまらない・・・でも、

まとめるのが苦手な人は
まとめなくてもいいんじゃないか?
そんな人は
そんな人として生きていければ
それでいいじゃないか?

********

現代社会、
僕みたいなタイプの方が
分が悪いと想います。

でも、
イノベーター(この言葉の意味は
あまりよく分かっていません)や
「クリエイター」と言われる人が
本当にクリエイティヴになれる時って、
「枠組み」が外れたとき
なんじゃないかな?

********

「枠組み」が外れ
もっと大きな枠組みで
世界を席巻する。

それがイノベーター、クリエイター、
ディレクター、プロデューサーの
「仕事」と呼ばれるものかもしれない。

「仕事」という枠組みで
僕らは皆、生きていかなければ
ならないのかな?

**********

僕みたいな
とりとめもない人間が、
誰かの創った「枠組み」の中に
ホイホイと収まってゆく。

でも、
こんな僕らは
じつはそんな「枠組み」には
収まりきらない「自由」を持っている。
いや、持っていない?(笑)

***********

「枠組み」を創るのが得意な人は
「枠組み」に収まらない人を求めている。
「自由な発想」が得意な人は
「枠組み・ガクブチ」で装丁してくれる人を
求めている。

***********

「一人」の中にも
この二つの人格を磨いて
頑張ることも可能だし、
「独り」の時は
頑張るしかないけど、
僕らは結局「独り」ではない。

わざわざ「難しい」と感じることを
頑張らなくたって、
それを「簡単」にこなすことが
出来る人がいる。

自分では「簡単」にやっている
何気ないことが
他人から見たら
とても「難しい」ことを
やり遂げているようにも
映っているかもしれない。

そしたら力を与えてあげよう。
そしたら力を与えてもらおう。

そして「夢」を叶えていこう。

「夢」とは何かを
あらためて考えてみよう。

********

「自分」で叶えたかった夢。
・・・叶わなかった。

でも本当は
そんなに求めていなかったようにも
感じる。

みんなが幸せでありますように。

「幸せ」って何なんだろう?
「みんな」って誰なんだろう?

***********

枠組みもなく、
僕が「僕」を開放してしまうと
このように
どこまでもまとまらない
ネバーエンディングストーリーに
なってしまう。

そこにはやっぱり「他者」が必要で、
瞬間毎に最高のバランスを保ちながら、
緩やかに、お互いの意図を
響き合わせながら、
次の流れへと舵を切るのだ。

***********

ソロコンサートにゲスト出演した時の
「即興セッション」という枠組みの中のひと時も
彼の音色に触発されて、
会場のお寺と、梅雨の気配、初夏の香り、
いろんな刺激が僕の感性を刺激して、
突拍子もない詩が
出てきてた。
「い〜の〜ち〜」とか言いながら
踊っていたような記憶がある。

あの時は、一粒一粒の音の存在、
濃厚な初夏の命の気配、
ありとあらゆる存在の気配が
たまらなくて、どうしようもなくて、
どうにかしようとして
歌ったような記憶がある。

********

翌日は、
「虹の道」と言う名前の場所で
昼間に2人コンサートをした。

アンコールをもらって、
「どうしよっか?
アレやる?コレやる?」
なんて二人で話していたら、
お客さんが「即興やってくれ」
と言われ、
僕は
「即興って『即興やります』と言って
やるのって、変だよな・・」
という、
枠組みを忌避する衝動が起きたけど、
相方が「じゃ『虹の道』をテーマに
即興しようか?」
なんて言うもんだから、
「いや、テーマを決めて、即興するってのは
そもそもおかしな話で・・・」

とか言いながら、
アドリブの即興セッションに入っていったのは
とても面白かった。

お互い、
初動が違えば、表現も変わる。

お互い、響き合いながら
同じ時を生きている。

かけがえのない友達です。


うたが、音が、言葉が、 もし心に響いてくれたなら サポートいただけたら嬉しいです。