税理士事務所を開業して個人的にムダに終わってしまったサービス教えます
税理士事務所を30歳で開業して、もちろん初めての開業のため色々なことを経験しようと思いました。
税理士事務所を開業すると、色んな方面からの営業がかかってきます。
営業電話が多すぎて、営業電話を断ることで一日が終わる、営業電話を受けるために固定電話を引いたのではと錯覚してしまうほど、営業が多いのが特徴です。
もちろんその営業の中には良いサービスもある(100に1つくらい)のですが、時間やお金のリソースは限られていますので、ある程度は事前に判断して取捨選択していくことが必要です。
私が体験したもので、個人的に参考にならなかった、不要だったものをご紹介していきます。
注意点としては、あくまでこの内容は個人的にはどう感じたかということなので、私の利用方法が悪かったり、そもそもサービスを利用するレベル・時期ではなかったということもありますので、その点はご承知いただき、本当のサービスの価値はご本人で判断して頂きたいと思います。
エフアンドエム社(経営革新等支援機関推進協議会)のサービス
認定支援機関向けのサービスで、税理士事務所が顧問先のものづくり補助金やIT導入補助金、経営力向上計画の申請を行うための書類作成や疑問に答えていただくことができるサービスです。
これ以外にも、サイボウズ社のキントーンを使った業務効率化の方法なども紹介している会社さんですが、前者の申請書類サービスについては私の事務所では行う時間がなかったこと、後者のキントーンについては職員がいない1人事務所にとってはなかなか導入すべき必要性を感じなかったため、特に導入しませんでした。
結局、このエフアンドエム社のサービスは一つも利用せず契約終了となりました。
最低契約期間が1年間だったため、毎月税別1.5万円の会費を寄付のように1年間払い続けて終了しました。
達人ソフト
達人ソフトは税務申告を行うソフトで、毎月1.6万円ほどで東京税理士共同組合を経由すると法人税、所得税、消費税、年末調整、償却資産税、電子申告など開業してから利用する税目や業務についてのソフトを利用できます。
前職のBig4系税理士法人で利用していたこともあって、達人ソフトを導入したのですが、導入してすぐにTKCに加入することとなりましたので、TKCの税務ソフトを利用することとなっていき、実際達人ソフトを利用したのは4か月ほどです。
これは達人ソフトが使いにくいとかいうことではなく、私のソフトの加入のタイミングが悪かったように思います。
利用していない残り8か月ほどは一度もソフトを開かずに料金だけ支払っていました。
ミツモア
ミツモアとは、相見積もりサイトで、税理士を探している方がいたとすると、自分の事業内容や顧問料の希望をサイトに上げると、最大5事務所が見積りを出し、希望者が自分でどの事務所と契約するか選択するというサイトです。
最初は私が事務所を構える福岡ではほとんど普及していないサービスであったため、見積りも通りやすく、また見積り時の税理士側が負担するコストも一見積りあたり700円程度でした。
次第に利用者も増加し、利用する税理士事務所も増加したため、ミツモアに支払うコストが増加し、現在は一見積りあたり3,000円ほどかかります。
ただ単に見積りを出すだけで3,000円ほどかかること
相見積もりサイトの希望者は価格が最重要事項であること
などから、私の考え方とは合わず、現在は登録だけしていますが、一切利用していません。
以前は5事務所すぐに埋まっていましたが、福岡は最近全然見積りが埋まっていないため、同様に考えている税理士事務所も多いかもしれません。
見積りさえ出さなければ、初期費用や月額利用料はかかりません。
ストリームド
ストリームドとは税理士事務所の記帳代行作業をサポートするサービスで、領収書や請求書をスキャナで取り込み送信すると、東南アジアなどにいるいわゆるパンチャーさんがデータ化してくれて、送り返してくれるサービスです。
記帳代行作業が数日で終わるのでとてもメリットがあるのですが、記帳代行作業するための領収書スキャナ取り込み作業がそもそも手間がかかることがあり、現在は利用していません。
確定申告時期などの大量に小口で領収書が来る場合などはスポットで利用しています。
株式会社KACHIELの仕訳ロイド
上記のストリームドと同様の記帳代行サービスです。
記帳代行作業をサポートしてくれるサービスなのですが、ストリームドを利用した後にこちらのサービスを利用しました。
利用した理由はストリームドよりも利用料金が安かったため、試してみたのですが、サービス開始初期だったこともあり、取り込み精度がとても低く、銀行通帳の摘要欄に入っているアルファベットのOを取引金額の0として認識していたりと、訂正作業がとても多かったです。
今後の取り込み精度が向上すれば可能性はあるかもしれませんが、全く同じサービスをストリームドでできていて、ストリームドは読み取り精度が抜群に高いのでどこまで競えるかというところでしょうか。
クラウドインボイス社の丸投げ経理代行
こちらもストリームドや仕訳ロイドと同様の記帳代行サービスです。
こちらのサービスは事前の提案時に感じたコスパが良く、領収書スキャナ取り込みを税理士事務所側でする必要がなく、領収書などをそのままクラウドインボイス社に郵送できることと、低価格で行うことができるサービスだということで利用したのですが、実際利用してみると、事前に聞いていた会計業務経験者がチェックしているということとは到底思えない仕訳の入力ミスがたくさんありました。(たとえば、月末締め、翌月10日支給の給与を未払計上せずすべて翌月10日で費用計上しているようなもの)
仕様書に事前に仕訳方法を詳細に送っていたにも関わらずこのような実態でしたので現在は利用していません。
今後は精度が向上していくかもしれません。
記帳代行サービスは正解がなく、1仕訳当たり〇〇円という報酬計算方式のため、乗り換えたりしましたが、結局は長期的に考えると精度がどこまで高いかということが大事になってきます。
パートさんを雇用して自社で記帳代行を行う従来の方法ももちろんありますが、当事務所は基本的には自計化して顧問先に仕訳を入力して頂いており、記帳代行先があまりないため、パートさんの雇用も行っていません。
アイグリッド社の新電力仲介サービス
新電力仲介とは、顧問先の電気代節約のため、福岡であれば、九州電力と直接契約している顧問先は、新電力を利用すると電気代が下がるというものです。
新電力仲介サービスを行うと、顧問先もコストが下がる、事務所も感謝され報酬が頂けるという一石二鳥のようなサービスなのですが、欠点として
税理士事務所側に顧問先から集める電気料金明細の収集作業が負担になる
税理士事務所への報酬はとても少額(1件あたり100円ほど)
ということで、工場などを保有する高圧の電気代を負担する顧問先にとっては電気代削減効果が高いのですが、低圧の電気代負担の顧問先にはさほど効果がなく、手続きの手間がかかります。
こちらのサービスは税理士事務所側の加入金などはないので、手軽に始めることはできるのですが、現在は当事務所ではご提案していません。
結びに
他にもありますが、思いつく範囲ではこれらになります。
冒頭にも書きましたが、すべて悪いサービスということでは決してなく、使い方や利用時期を考えて使うべきかと思います。
そのため、使っておられる先生方を非難するものではなく、上手い使い方をご存知の方がいらっしゃいましたら、教えて頂けますと幸いです。
私が導入する前に別の先生に聞いて、利用を踏みとどまったサービスも他にありますので、それはいずれご紹介するかもしれませんが、自分で利用せずに人から聞いたレベルで情報を提供することは良くないので今回は書きません。
結局は、自分で経験してみると勉強になりますので、失敗を恐れずサービスを使ってみることをおすすめします。
個人的な教訓としては、
・月額サービス(サブスクリプション)には最低契約期間がある場合がは解約できない期間があるので注意
・初期費用が発生するものには注意
というところでしょうか。
いずれにしても失敗は開業してからこういうネタになるのでムダではありませんので・・・
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