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飛鸞の看板商品「にこまる」を大解剖

長崎の食用米の奨励品種であるにこまるを使用した「HIRAN にこまる」は、県独自の酒米が無い中で、長崎にある蔵としての特色を出したいという想いから作ったお酒です。

今回のnoteでは、飛鸞の看板酒にこまるの味わいから誕生秘話などを五代目蔵元杜氏 森 雄太郎にお伺いしました。

製品概要
価格: ¥1,815 (720ml) / ¥3,355 (1,800ml)
アルコール度数:14%
酒米:にこまる
製法:生酛・無濾過生原酒(冬限定) / 火入れ

「にこまる」のお買い求めは全国の飛鸞販売店にて。
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飛鸞の看板酒「にこまる」の味わいとは?

ーーーこれまでのnoteでも数多く出てきたに飛鸞の定番酒「にこまる」ですが、改めてどんなお酒なのか教えてください。
森:「にこまる」は飛鸞のど真ん中に値する飛鸞の定番商品です。飛鸞の中でも、最もバランスが取れている味わいで、甘み酸味苦味旨みが全てが平均的にきれいに出ています。とにかく柔らかいのに複雑性もあり、ミルキーな甘みもあります。

ーーー定番酒ということでやはりバランスがいいのが特徴なんですね!
森:起承転結がしっかりしているタイプですね。決して派手さが強調されたわけではないですが、口に含んだ時から、甘み旨み綺麗に広がっていき、余韻は酸や複雑性のある旨みを感じられるので、すべてが詰まった味わいのバランスがきれいなんです。

撮影・編集 カワナアキ

ーーー口当たりはどんな感じですか?
森:テクスチャーは柔らかくて丸いようなイメージです。

ーーーシリーズの中ではどんな立ち位置ですか?
森:迷ったらまずは手に取ってもらえる一本にしたいですね。常に手に取れるように、冷蔵庫に常備しておきたいお酒です。飛鸞では、季節ごとに特徴的なお酒がリリースされますが、なんだかんだで最後はにこまるに戻ってくるような安定感のある定番酒といったイメージです。

ーーーサイズ感としても、飛鸞の中では珍しい一升瓶で購入できる「にこまる」ですが、やはり定番酒だからこそという意味合いなのでしょうか?
森:そうですね。「にこまる」が育たないと飛鸞というブランドが育たないと思っていているくらいです。飛鸞の看板酒「にこまる」がどれだけ皆さんに受け入れられるかが飛鸞の将来を左右するくらいに感じています。より多くの方に知ってもらうために、今後は「にこまる」だけ飲食店でも扱いやすい一升瓶を残す決断をしました。

酒米としての「にこまる」

ーーーなぜ原料米としてにこまるを採用したのですか?
森:修行から地元長崎平戸の酒蔵としての特徴を出すために、他の地域で作られている酒米を奨励品種ではないが平戸産で作るのか?それとも長崎特有のお米を作るのか?などいろいろ考えました。探し続けた結果、長崎の酒蔵としてやはり長崎ならではのお米を使いたいという思いが強く、見つけたのが食用米の「にこまる」でした。

ーーーもともと酒米ではないにこまるを使うことへの懸念はなかったんですか?
森:長崎特有のお米で、平戸でも生産者が多かったんです。酒質としても「にこまる」は粒が大きく、評価も高く、それ以上のものはなかったですね。

ーーー名前もキャッチーで素敵ですよね!
森:かわいらしいですよね。にこまるという名前の由来には「まる」っと大きい粒だけど、食べると「にこ」っと笑顔になる。という意味が込められているそうです。飛鸞の「にこまる」も同じように飲んだ方がにこっとするような存在であってほしいと思いました。

ーーーこれまで販売されてきたにこまるもすべて平戸産なんですか?
森:そうですね。一回も平戸以外のにこまるは使っていません。

平戸の「春日の棚田」

「にこまる」誕生秘話

ーーーあらためて飛鸞の看板酒「にこまる」を作るに至った背景を教えてください。
森:1年目はまず純米吟醸・純米大吟醸を作らないといけないという感覚でした。これまで自社で作っていた搾りたてのお酒をに代わる第一弾「飛鸞 搾りたて」を作りましたが、使用する酒米に関しては、お米の確保には1年ほど前から用意が必要という背景もあり、その時は与えられたお米でしか作れなかったことから山田錦で作っていたと思います。

2年目にやっと、飛鸞としての個性を出していくために初めて飛鸞の定番酒「にこまる」の開発に至りました。

撮影・編集 カワナアキ

ーーー以前のインタビューでは、一番にこまるの開発が大変だったとお伺いしましたが、どういった部分で困難を感じられましたか?
森:
限られたお米と時間で試す回数も少なく、どの酵母が良いのか?どういう溶かし方で麹を作れば良いのか、などパズルを組み立てていくような感覚で考えながら作っていたからですね。長い年月かかってようやく少しずつ理想の味わいに近づいたイメージですね。

ーーー納得のいく味わいになるまで、具体的にどのぐらいの年月がかかったんですか?
森:3~4年くらいでしょうか。
個人的に、飛鸞の中でもなかなかしっくりくる味わいにたどり着かないのが「にこまる」だったんです。
3年目に生酛に切り替えたからたといって、納得できる味わいになるわけではなかったんです。4年目(2022年)のタイミングでやっと及第点が与えられるものができた気がします。

ーーー4年目のタイミングではどんな変化があったんですか?
森:
設備の更新もそうですし、いろんな酵母を試したり配合を変えたり、製法も少しずつ変えていたからでしょうか。環境も変えながら実験も繰り返し、回数を積み重ねていく中で、ようやく実現できたので。結論、全部ですね!もちろん今でも実験は繰り返しています。

撮影・編集 カワナアキ

ーーーすでに多くの方に愛されている「にこまる」ですが、これからの理想の味わいとしてはどう考えられているんですか?
森:今年の味わいをみて考えていることとしては、もう少しメリハリが欲しいなというところですね。透明感や繊細さががありながらも甘みにも抑揚をつけたいです。

ーーーすでに美味しいお酒を醸されているのに向上心がさすがです。
森:スポーツや勉強もそうですが、ある程度努力すれば80点を取るのは簡単です。しかし、80点から90点になるまでは苦労しますよね。これまで頑張ってきて、やっとしっくりくる味わいまで持ってこれたので、さらに上を目指していく段階です。

ーーー最後に、定番酒「にこまる」を作る過程で最も大変だったことを教えていただきたいです。
森:麹づくりが一番大変だったかなと思います。「にこまる」の溶かし方が一番悩みました。ただ、食用米だからというわけではなく、どのお酒にも言えることですが、結局、実際に麹の溶かし方次第で重くなったり軽くなりすぎたりしてしまうので、自分のイメージする味わいを表現するための絶妙なバランスを見つける方法を見つけるのに苦労しました。

撮影・編集 カワナアキ

ーーー飛鸞の看板酒「にこまる」にかける思いがとても伝わってきました。ありがとうございます。
森:飛鸞の看板商品だからこそ、飛鸞ならではの味わいに到達するために、麹の溶かし方や製法におけるまで納得のいく味わいにたどり着くまで細部までこだわっています。季節商品だけ売れても仕方がないので、季節商品から飛鸞を知った方にも、定番酒である「にこまる」に戻ってきてもらうために、一番こだわりを持って向き合っていますね。

飛鸞が気になる方にはまず初めに、飛鸞のファンの方には常に側に置いておいていただきたい一本です。

「にこまる」は全国の飛鸞販売店で販売中

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飛鸞は、国内だけではなく世界に羽ばたいていくブランドを目指しております。そのため、今まさに『人の力』がより重要になる段階に差し掛かっています。

私たちの目標は、モノづくりを楽しみながら、飛鸞というブランドを成長させていくことです。10年後、20年後には、より素晴らしい景色を皆さんと共に見たいと考えております。

飛鸞を通じて、日本酒の価値を高め、業界の常識を変えていけるような酒造りを実現できればと思います。そのために、私たちと一緒に新しい挑戦を楽しみ、共に成長していける方をお待ちしております。ぜひ、奮ってご応募ください。

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