見出し画像

非日常からの帰還

 リフレッシュもかねて、小樽へ一人旅をしてきた。
 宿の公式サイトや各種サイトで見た豪華さは感じられなく、はじめは肩透かしをくらったような気持ちだったけれども、ご飯がとてもおいしかったので、よかった。
 旅の飯はとっても大事だ。飯や酒がうまけりゃ、大体のことは許せるってなもんだ。

 小樽ってのは、手軽でよい。
 札幌に住んでいる身分からすると、行きたい!と思った時に、ふらりと行ける大変身近な観光地だ。(今回は緊急事態宣言もあり、予定より大分後ろ倒れたけれども)

 ふらりと小樽に行ったなどと友達や同僚なんかに言えば、大抵の場合「どんな所に行ったの」「何をしてきたの」という質問が、決まって返ってくる。
 ので、基本的には世間話において小樽に行ったという話は、しないようにしている。何せ、特に何もしていないのだから、話しようがないのだ。
 喫茶店や宿でシャーロックホームズの緋色の研究を読んでいた、なんて正直に言えば「何でわざわざ小樽で?」と十中八九返ってくるに決まっている。ホームズでなくとも、それくらいは想像がつく。

 小樽はコロナが流行る前までは年に一度は行っていたし、観光地らしい観光地もそれなりに行った。何より私自身、観光地らしい観光地というものにあまり興味が無いのもあって、THE観光名所…という場所には、ほとんど行かない。(水族館は好きだけど)

 んじゃ何で行ってるのかというと、単純に非日常の空間に身を置きたいからだ。
 そんでもって一人で行く理由は、退屈を楽しみたいからなのだ。

 カンカン照りの中、運河沿いを歩いたり、やや観光地から外れた人っ子一人いないところをひたすら歩いてみたり、昼から酒を飲んだり、地元の人しかいかない喫茶店で本を読んだり、する事といったらこの程度なのだ。

 一人が好きな人間は、一人で自由に使える時間というものが本当に大切で、私はとりわけ、一人の自由時間を、非日常的な空間で、どこにいても出来るような事をしたり、退屈に過ごしたりするのが、特に贅沢なもののように思うのだ。

 そして何よりも一番好きなのが、そんな非日常の空間から、いつものくたびれた我が家に帰ってきた瞬間だ。
 窓を開け放ち、少しこもった空気が入れ替わる瞬間、最も心が満たされるのである。

サポートいただけましたら、食後のデザートがほんのちょっぴり豪華になります(๑╹◡╹)