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新美育文先生の債権法の試験に寝坊した(前編)

あのころ、明治大学法学部では、単位が取れず留年して、企業の内定を断らざるを得なかった、という事態が少なからず起こっていた。

最難関の講義は、新美育文教授の債権法だった。

避けられるものなら避けて通りたいが、それができない。

必修科目だった。

しかも6単位。

つまり1年半授業を受けて、試験1回。

それを落とすと、チャンスはあと1回だけ。

たしか2年の最初からスタートして、3年の7月に試験。
それを落とすと1年半後の4年の学年末にラストチャンスがやってくる。

3年の7月を迎えた。普通、勝負の試験は学年末、1月とか真冬に迎えるが、
債権法だけは夏真っ盛りの7月にやってくる。

どこからか、慶應の池田真朗先生の「スタートライン債権法」という本がわかりやすい、と聞きつけてその本を買い、けっこうまともにがんばって勉強した。

そして迎えた試験前日、というか日付変わっているからもう当日か。

たしか試験開始は午前10時。

私は朝5時に、2時間ほど仮眠を取ろうと横になった。

それが最後。
それがいけなかった。

目が覚めた。周りは明るかった。

目覚まし時計を見た。

愕然とした。

午前9時51分だった。

ゲームオーバー。

明治大学駿河台キャンパス、つまりお茶の水までは1時間はかかる。

もちろん身支度だって、どう見積もっても10分はかかる。


終わった。

チーン

私は何の罪もない目覚まし時計を思い切り投げた。

そんなあの頃だった(近藤真彦風)(笑)




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