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読書の感想

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読んだ本の感想を書きます。
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記事一覧

食欲と長寿に関わる食事の謎を解明してゆく:サイエンスノンフィクション「食欲人」読書感想

 「食欲人」デイヴィッド・ローベンハイマー (著), スティーヴン・J・シンプソン (著), 櫻井 祐子 (翻訳)を読みました。  私たちの食欲について書かれているサイエンスノンフィクションです。私たちはなぜ肥満になってもなお食べ過ぎてしまうのか。そんな食欲の謎に対するひとつの答えが書かれていました。    この本の著者らによると、食欲にも、なんと長寿にも「タンパク質の摂取量」が大事な鍵として関わるというのです。1日の中で気にすべきは、カロリーよりもどれだけのタンパク質を摂

デジタル時代の完璧な失踪は可能か:「VANISH 自己消失リアルゲーム」ノンフィクション読書感想

 ノンフィクション「VANISH 自己消失 デジタル時代に「完璧な失踪」は可能か(WIRED Single Stories 013)」を読みました。  前作、「GONE 行方不明 自分を消し去る失踪者たち(WIRED Single Stories 012)」では故意に失踪した現代の人たちについて、実際に起こった事件などが特集されていました。  しかし、今作ではそれらを受けて「WIRED」が故意に失踪した人を探すリアルゲームを企画し実行した記事でした。1か月間逃げ切れば失踪

現代で自分を消し去る失踪者になるということ:ノンフィクション記事「GONE 行方不明」を読みました

 この現実世界で故意に行方不明になることは可能か? ノンフィクション「GONE 行方不明 自分を消し去る失踪者たち(WIRED Single Stories 012)」を読みました。  現代で故意に自分を消し去ろうとした人たちは、どうなるのか。短い記事の中に、故意に失踪した人々のいくつかの物語や昔と現代のやり方の違い、追跡者との攻防について書かれていました。(アメリカの)失踪者が割と衝動的に、計画を実行に移しているというのも私にとっては以外な事実でした。  読了後の感想、「

「ミステリー「暗号」の作り方」読了:小説執筆アイデアのための刺激に

「ミステリー「暗号」の作り方」を読みました。  暗号の作り方だけを簡潔に体系立ててまとめています。執筆中の方が暗号の謎を作りたいときにざっと見ると、アイデアを考えるための刺激として役立ちそうです。  ミステリー執筆中の方には作品作りの参考になる内容ですが、ミステリー好きの方には謎解きのヒントになるかもしれません。簡単に見抜けない方が、作品を楽しめるような気もしますが……😅  この本は、kindle unlimited対象作品です。サブスクされている方は、気軽に読めます

「ある行旅死亡人の物語」―孤独死から解き明かされる身元不明の女性の半生と、自分の人生について考える時間

 ノンフィクション、「ある行旅死亡人の物語」を手に取りました。ある孤独死をした身元不明の女性の人生に焦点を当てたこの作品は、彼女が残したわずかな痕跡から、記者たちがどうやって彼女の身元と半生を解き明かしていったのかを描いています。興味をお持ちの方は、ネット上で公開されている原稿もご一読いただけます。  (無料で全文読めました)↓  警察も探偵も、彼女の身元を明らかに出来きませんでした。なぜなら、彼女は住民登録がされておらず、銀行の通帳を作成したときに残るはずの資料も何故かな

『史上最強の人生戦略マニュアル』読書感想: 勝間和代さんおすすめの人生戦略本を読んでみた

 経済評論家の勝間和代さんがおすすめされていたので、「史上最強の人生戦略マニュアル」という本を読んでみました。  いつも勝間さんがyoutubeの動画などでお話をされている内容とこの本に書かれている内容は本質的に近い、または同じでした。勝間さん自身も「最も私が影響受けた本の一つでもある」と言われています。  この本は、誰もが陥りがちな「問題に対して自分が正しければ、その問題は自然と解決する」という考え方を、誤った思い込みだと指摘しています。「今の自分の現状=自分の選択や

『公募ガイド』長編小説書き方入門特集の読書感想 :創作プロセスのステップアップを目指す

 雑誌「公募ガイド」で、長編小説書き方特集を読んだ(こちらは、kindle unlimitedで読めたので、ありがたかった)。  長編小説をかき上げるためのプランの立て方、構成やプロットの作り方、文章作成時に気を付けること、落とし穴、推敲などについて、分かりやすくまとめてある。  今、私自身は長編作品を書こうとしている。解決すべきメインの問題(謎)を決めたところだ。 参考資料などを読みながら、構成と、メインとサブのプロットを作っていくところ。  この公募ガイドの特集は簡潔

プロが明かすエンタメ小説のコツ: 『エンタテイメントの作り方』読書感想

「エンタテイメントの作り方」をAudibleで聴いた。日本ホラー小説大賞を受賞した「黒い家」などの人気小説を書かれた、作家の貴志祐介さんが書かれている。(ちなみに、kindle unlimitedでも読むことができる)  小説の書き方というよりは、タイトル通りエンタテイメント小説を創るときに注意する点について書かれていた。貴志さんのこれまでの作品を例として具体的に挙げてくださっているのも、聞いていて分かりやすい。また、その作品を読んでみたくなる。  例えば、自分

変化を乗り越えるヒント - 『チーズはどこへ消えた?』の教訓(読書感想)

「チーズはどこへ消えた?」を読んだ。話題になっていたことは知っていたが、これまで読んだことが無かった。発売は2000年11月30日とあったので、23年前の本だ。しかし、今読んでも得られるものはあったと思う。  ビジネス書や自己啓発本を読んできた人からすると、特に目新しい内容はないように感じるかもしれない。環境に変化が起こったとき、行動するか、行動しないか。その結果、何が待ち受けているのかを分かりやすい短い物語として描いている。  それでも、この本には他の本には無い特徴が

前田裕二の「メモの魔術」を読んだ感想:アウトプットを深める新しい形

 「メモの魔術」を読みました。起業家・前田裕二さんのメモ術について書かれています。  とにかくこの本のイイタイコトは、「色んなことにアンテナをはってメモを取り、それらを抽象化し、ジブンゴトに当てはめると何が言えるかをとことん書き出す」に尽きると思います。  あとは前田さんとはどのような人生を歩んでこられたのかとか、どんな考えを持っておられる方なのかを少し覗いて見ることができます。  実は初めAudibleで通して聴いたのですが、さらっと内容が流れてしまったので、本を買って

お金と夢をつかむ考え方を学ぶ:「まんがでわかる 年収200万円からの貯金生活宣言」読書感想

「まんがでわかる 年収200万円からの貯金生活宣言」を読みました。作家の石田衣良さんがyoutubeチャンネルの番組内で、面白かったとおっしゃっていたので興味を持ったことがきっかけです。  収入を増やすことは今すぐに実現化することが難しいので、支出を減らすという面にスポットライトを当てています。  例えば、この本では支出を消費、浪費、投資の3つに分けてみることが勧められています。浪費もゼロにすることはなく、月収の5%までならOKとしている所も現実的です。継続できることを第

問いの力は人生を変える:「独学の地図」読書感想文

 「独学の地図」という本をAudibleで聴いた。家事をしながらで聴いているので、さ~っと内容が流れていってしまうのだけど😅、最も印象に残ったのは「問いには2つある」ということ。1つは「人から与えられた問い」。もう一つは、「自ら作る問い」。  これはどういうことかというと、本文中に分かりやすい例で書かれていた。例えば学校で先生から出される問題は与えられた問いになり、夏休みの自由研究は自ら立てる問いになる。  自ら立てる問いというのは、本当に大事だと思う。自分は何を知りたいの

孤立していると感じる夜に : 「絶望名言」読書感想文

 NHKのラジオ深夜便の番組を文庫としてまとめたもの「絶望名言」を読了しました。これは古今東西の文学作品の中から、絶望を書いた言葉を紹介し、生きるヒントを探す番組です。 「いくら生きたいきたいと思っても、死が救いに思われるほど辛い現実がある」  そんな言葉が飛び出すほど、絶望の名言と体験を深く掘っていく内容になっています。カフカ、ドストエフスキー、べートーヴェン、ゴッホ、芥川龍之介、中島敦などなど。  文学の中の絶望名言やその背景を知ることで、「ああ、人生がとても苦しい

8月前半に読んだ本、7冊のご紹介

 8月前半はお盆休みがあったことや引っ越し先が決まって読書する時間が十分に取れたこと、読書術の本を読んだことで読書に投資する感覚が変ったことがありました。その影響で、読書量がとても増えて嬉しいです。  それでは早速、8月前半の7冊のご紹介をしていきます! ①「死をポケットに入れて」 チャールズ・ブコウスキー著(河出文庫)  作家、ブコウスキーの晩年の考えや感じたことを生々しく描いたエッセイ。彼の日常の小さなエピソードから大きな哲学に至るまでの、鋭いそして独自の洞察を知るこ