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Cultural Awareness Training

勤務先は空港業務は勿論、地元地域一帯のツーリズムの業務を担う会社で、神聖なる先住民アボリジニの土地で仕事をする以上、彼らの歴史を知るのはとても重要、入社したらマストのトレーニングがあります。「Cultural Awareness」このトレーニング、オーストラリアにいる全ての人が受けるべきだと思いました。

Stolen Generation 

講師は2人、アボリジニのおじちゃんとおばあちゃん。おばあちゃんは実際に「Stolen generation」の被害者でした。簡単に説明すると、当時アボリジニの親権は否定され、強制的に親から引き離され、多くは、性的、肉体的、精神的虐待を受けていた。その時代、人類は文明的な階層によって区分することができると考えられていて、ヨーロッパ人は文明のレベルにおいて優れており、アボリジニは比較的に劣っていると仮定されていた為これらの思想の極端な支持者たちは混血の子供たちが増加することは人種の純潔への脅威であると考え、アボリジニの子供たちを両親から隔離する政策が取られた、とのこと。

72歳のおばあちゃん講師、彼女も彼女のお母さんも、おばあちゃんも、ひいおばあちゃんも4世代に渡って子供の時に親元から引き離されたそう。ある日突然警察が来て「ドライブに行くからついておいで」と言われそのまま収容施設へ。親はやってもいない虐待やネグレクトなどの容疑をかけられて「合法的に」子供を連れ去るそう。両親がどんなに訴えても面会もさせてもらえず、どこにいるのかも教えてもらえず、挙げ句の果てには死んでないのに死んだと嘘をつかれたりした結果、講師のおばあちゃんがお母さんと面会できたのは6歳で連れ去られたまま時を経て30歳過ぎてから。お父さんは軍人で戦争にも駆り出されて国のために命まで懸けたのに、娘を連れ去られて政府に反発した結果、軍人としての称号を剥奪されるという威厳も尊厳も無視。

どうしたらこんなひどいことができる?受講者の中には泣いている人もいたけど、私は終始怒り心頭で、ムカついて頭が痛くなるほど。こんなにもオーストラリアに対してのガッカリするとは思いませんでした。

40 Billion dollars 

4兆円。アボリジニへの補助金として政府が出しているお金、実際にはアボリジニ個人には届いていないそう。おじちゃん講師は「こんだけの額が全てのアボリジニに還元されてたら今ここで講師として働いてねーよ!笑」と言ってました。アボリジニに還元されるのは8%のみ、しかも申請して許可が降りないとダメ。残りの92%は、某大手鉱山系会社と某大手スーパーが、アボリジニを雇いますとか、アボリジニの為にお金を出します、とかで助成金としてかっさらっていってるそう。

一連の話を聞いて思ったのは、もともとは彼らの大地なのに土足で踏み込んできた挙句こんな扱い受けたらさ、そらアボリジニの皆さんやる気も失くすし(Lazy blackとか言われるらしい)、白人オーストラリア人を恨んで当たり前だわ。

オーストラリアに住む以上、この歴史は教えられるべきだし、息子が学校で教えられる生ぬるいソフトな歴史だけじゃなくて、ねじ曲げられることなくアボリジニの方々からもお話を聞いたり私が受けたトレーニングのような機会を教育の現場にも取り入れてもらいたいな、と思いました。かなり過激な内容も含むので、対象年齢には気を付けないといけないと思うけど。

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