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平日の怪獣
時間を過ぎても戻らないので
少し涼しくなった裏庭の、
サビた、まる椅子に腰掛けて
しばらく風をやり過ごしてから
あの穴を覗くことにした
遠くに人の住む街がみえる
ここを吹き抜ける風は,その街の吹き溜まりで
窮屈な音をたてながら引き換えそうとしている
そのわずかな残響も行き交う車のクラクションでかき消されてしまった
ふと軽い眩暈がしたので
怪獣はそっと穴に蓋をした
まんじりともしない月が見ている
その反射で光る扉が
そっと開いた
今日の月はなんだか妙だね
人の服を脱ぎながら,見慣れた顔がそういった
駅のホームには透明のガラスで出来た部屋があってね。
待合室というのかな。
そこは誰にも見つからないから
しばらく本を読んでいてね。
すっかり時間を忘れてしまった
もう充分休んだから
今日は僕がお皿を洗おう
後ろ姿が語りかける
まんじりともしない月が見ている
遠くに明日を引き込んで
窓からうつろな灯がきえた
ハエが静かにとびさった
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