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節税を思い立ったら読むnote:前編

 医者である知人から、”職業が医者であることから、医療関連は何でも質問されることがある”と、聞かされたことがあります。なるほど、呼吸器科専門の医者でも、消化器科の質問をしても答えてくれそうですしね。そう言えば、税理士である職業上、しばしば聞かれることがあります。”節税の入門的なお話を聞かせて”。

 税法の世界も広いので、”節税”と言っても何から手を付けて良いか、迷われると思います。これこそ10人の税理士に聞いて、10通りの回答がある”十人十色”状態です。そこでいったん、”交通をテーマにする節税”、”相続をテーマにする節税”、と2つの切り口で、前編・後編と2部に分けてnote記事にしてみました。前編では”交通をテーマにする節税”を取り上げます。

1.通勤手当

 ”交通をテーマにする節税”と言って、まず思い浮かぶのが”通勤手当”ではないでしょうか。例えば事業を始めて、従業員を雇う。従業員などの自宅から職場への移動に対して支払われる手当のことですね。実際に従業員の移動時に支出した”交通費”と異なり、通勤手当は給与と合せて支給されます。つまり交通費のように、実際に従業員から立替え請求されなくても、給与同様、事業のもうけ(=所得)からマイナスすることができる訳です。

 他方で給与の側面を見てみますと、手当は給与所得として、基本的に支給額に応じた所得税が発生します。しかし通勤手当の場合、非課税限度額まで所得税も課税されないという特典があります。しかも2016年度の税制改正により、給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が10万円から15万円へと引き上げられています。

 ただし就業規則等を整理することの要件もあります。税金を少なくするためには、それなりの努力も必要という事ですね。近年、テレワークのような新しい生活様式が進み、通勤手当を見直す企業も出てきていますが、一方で、”定期券代など定額を支給しているため、特別な対応はしない”企業も存在し、今でも通勤手当は福利厚生の一つとして、有効な手段として存在します。

2.節税につながる準備

 ”節税というマジックで、劇的に税金が少なくなる方法はないの?”・・・後編の相続をテーマにする節税では、それこそ”相続税等に特化した税理士・会計事務所”が多く存在するように、節税スキームは稀(?)にあります。しかし、”劇的に税金が少なくなるマジック”のような夢物語は存在せず、前述の通勤手当でもありましたように、”税務上の特典を受けるには書類整理が必要”という訳ですね。税法の世界ではインチキは許されず、同じ経済的実体の取引であれば、課税金額も同じようにする考えが根本にあり、書類整理等、地道な努力が必要になってくると考えています。

 他方で税を取り立てる側(国税)の立場上、納税者の取引を見る際、この取引の経済的実体をとても重視するという話も聞いたことがあります。つまり、”契約書などの文書(形式)はさておき・・・、実体はどうか?”を見る訳です。国税での実務を積まれたOB・OGの方が税理士になる際、現役時代あまりにも実体重視だったため、登録時の研修で改めて、憲法・民法・行政法の基本講義を勉強するのも、何だか納得のいく話ですよね。

3.医療費控除

 この記事を書いている2月12日現在、確定申告に向けて、皆さんご多忙の日々をお過ごしの事と思います。最後に医療費控除について述べていきたいと思います。

 ”医療費控除と交通のテーマって何?”との声も聞こえてきそうですが、つまるところ、”医療費控除の対象となる交通費”の事です。知っている人は知っている、でも知らないと損をしてしまうお話です。通院時の電話やバスの交通費は医療費控除の対象になりますが、基本的にタクシーは対象外という事もあり、個々のご事情・背景により判断に迷われた際は、国税HPご確認のうえ、税務署にご相談されることをおススメします。

 また医療従事者で当noteを読んで頂いている方もいらっしゃると思います。ちょっとおせっかいかもしれませんが、患者の方に”医療費控除の対象となる交通費”のお話をされてみてはと思います。大方、”そんなこと知っているよ!”との反応かもしれませんが、中には確定申告に全く携わったことも無いサラリーマンの方から、”へぇ~?!知らなかった・・・”との反応もあるかもしれません。このnote記事を通じて、何らかの気付きになれば嬉しいです。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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