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地域活性化はなんのためか

平井貴大です。
山口大学医学部医学科3年生で、株式会社Lognite代表取締役並びに株式会社UBE COL代表取締役を務めています。

医療や地域経済・振興、若者や学生などをテーマに情報発信するのを目的にnoteでの投稿を続けています。

ここでの投稿活動をきっかけに、思いを共有できる皆様と事業や活動をともにできるようになりましたら幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

故郷を維持する連帯を生む機構とは

先月(6月)末時点で、人口2万1000人余りの江田島市。いまから約50年前の1975年、合併前の4町を合計した人口は4万3000人余りだったということです。父の実家があり、幼少期は夏休みなどで帰省していました。同年代の親戚は、全員が市外で生活しています。豊かな自然が残る島。一方、商業施設や飲食店、働き口などは多くなく、若い世代の流出に歯止めがかからないのは、全国の「田舎」と呼ばれる自治体が抱える現状と変わりありません。

一部は将来的に地元・江田島に「Uターン」し、農業などを通じて地域振興に取り組みたいと話していますが、全体に対してはごく少数です。そこで各自治体や地域が取り組んでいるのが、この減少速度を小さくする事業や活動です。

島の入り口で開業したオシャレ空間

幼少期から30年にわたって平均して1年に1度は帰省してきた江田島。ことし(2023年)3月から、島の入り口、海岸沿いに「オシャレ空間」が誕生していました。

江田島市大柿町「ハジマリノテラス」

大柿町にある「ハジマリノテラス」は、瀬戸内海を眺めることができるテラスが併設されたカフェと、海産物など島の土産物を売る販売所の機能を持った施設。幼少期に昆虫採集に勤しんだ私には違和感さえ与える「オシャレ空間」でした。また服装などから島外から観光で訪れたと見られる客で、席が埋まっていました。

なんのための「地域活性化」か

かつて取材した長崎県五島市は、2020年までに市内への転入者が市外への転出者を上回る「社会増」が2年連続で達成されるなど、離島として全国的にも目立つ業績を残しています。
一方、これも取材した長崎市は、若者の人口流出が全国的にも著しい自治体で、これに歯止めをかけられるかどうかが取材者としての関心事でした。人口という「数字」に関心を寄せるのは、当時取材を通じて関わっていた行政職員にも共通していました。

コンクリートが洗練された印象を与えるテラス席

しかし報道機関を退職し、一市民として地域振興に携わって感じるのは「人口以外で町の状況を測る必要性」です。きょう江田島市を訪れる中で改めて感じたのは、やはり「田舎」では、人口減少に歯止めをかけるのはもちろん、その速度を緩めるのでさえ、現実的には厳しいと言わざるを得ないのが現状だということです。

人口にだけ着目し続けていると、導き出されるのは「人口減少には歯止めがかからない」とか「田舎はダメだ」などという消極的な見方です。その自治体や地域が消滅してもいいなら、緩やかに終活していくのを見守るというのも選択肢として認められます。

ただその自治体や地域に関わる人が「生まれ育った故郷で人生の幕を閉じたい」とか「いつか帰郷してスローライフを送りたい」「移住して憧れの離島生活を満喫したい」などという思いを抱く可能性があるうちは、その受け皿は維持され続けるのが望ましいでしょう。これを測る数値目標や、この思いを地域政治や地域設計、いわゆる「まちづくり」に反映させられる制度が求められているのではないでしょうか。

次回以降も、医療や地域経済・振興、若者や学生などをテーマに投稿を続けていきます。引き続きどうぞ宜しくお願いします。

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