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ブルース覚書⑦ウォッシュタブ・ベースはどこから来たか

ジャグバンドなどで使われるウォッシュタブ・ベース。ウッドベースの代用品と思っていたが、とんでもない勘違いかもしれない。コントラバスが、ダブル・ベースと呼ばれ(ウッド・ベースは和製英語だそう)指弾きがデフォルトの楽器として広まるのは、20世紀初め。ウォッシュタブ・ベースは19世紀終わりには存在していたようだから、むしろ、ウォッシュタブ・ベースの指弾きでベースを出すスタイルが、コントラバスに導入され、エレキベースにまで受け継がれていると考えるべきではないか。すべてのベース・ギターはウォッシュ・タブの息子なのだ!

もちろん、クラッシック音楽のピッチカート奏法の影響も否定できないが、ウォッシュタブ・ベースを経由して、指弾き低音弦楽器に別のイマジネーションが入り込んでいたとすると、ブラジルでビリンバウに発展したような、アフリカ由来のミュージカル・ボウ(弓を使った弦楽器)との関係も浮かび上がる(ウィッシュタブ・ベースのネックと弦は、ミュージカル・ボウに似ている)。ちなみに、西アフリカで楽器の共鳴体として使われることが多い瓢箪が、水回りの日用品の材料でもあったことを考えると、アフリカ出身の奴隷にとって、金盥という日用品を楽器に使うことは、ぼくたちが思っているほど、意外なことではなかったのかもしれない。

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