なぜ程よく止められないのか？

「なぜ程よく止められないのか？」問題に、しばしば直面します。「なぜ程よく止められないのか？」問題というのは、自分が良いと思ったことをやり過ぎてしまう問題です。そしてこれは、社会の問題ではなく、私の個人的な問題なのです。

本当に月に何度も「なぜ程よく止められないのか？」と思います。いや、週に何度もと言っても過言ではありません。人生で何度「なぜ程よく止められないのか？」と思ってきたことか。それほど「なぜ程よく止められないのか？」と頻繁に思っているのです。

例えば、私は毎日のようにウォーキングをしています。もう毎日の習慣になっているので、ウォーキングをしないと気持ちが悪いんです。そして、ウォーキングをすると体調も精神も安定します。お腹の調子が悪かったり、なんか風邪ひきそうだったり、やる気がなかったり、不安感があったり、ちょっと抑うつ的な時でも、ウォーキングをしているうちにスッキリするんです。

私は近くの公園でウォーキングしているのですが、大体1回で3〜4周するんです。1周するのに20分ぐらいかかりますので、1回のウォーキングで60〜80分をかけています。

しかしです。異常に体調が悪い時や本当に抑うつ的な時に、ウォーキングでその症状を解消しようとして、6〜7周してしまうんです。私は真剣に「3〜4周でも十分効果があるんだから、6〜7周もすればすべての悩みは吹き飛ぶ！」ぐらいに思ってウォーキングしてしまうんです。

するとどうでしょう。6〜7周というのは120〜140分です。そんな長い間真剣に歩くと、ものすごく疲れて、家についた頃には卒倒しそうになります。吐き気がして、気を失いそうになって、立っていられなくなります。本気で「救急搬送して欲しい」と思うんです。バカですね。

これが「なぜ程よく止められないのか？」問題の一例です。良いと思った事を、やり過ぎてしまうのです。今までの人生でも数々の「なぜ程よく止められないのか？」をして来ました。もう日常茶飯事です。

健康のために身体を柔らかくしようとストレッチを初めて、毎日相撲の股割りバリに足を広げていたら、ある時から股関節がものすごく痛くなり、ストレッチすら出来なくなってしまいやめました。もちろん、身体が柔らかくなることもなく、それっきりストレッチもやっていません。なぜ身体を痛めるまでやってしまうのか。

仕事の撮影も自分でするようになり、撮影機材も買うようになり、いろんな周辺機器を買い集めるようになりました。すると、小さなカメラバッグでは収まらないようになりました。思い切って今までの倍以上の大きさのカメラバッグを買い、準備万端にして全てをそこに入れて撮影に行ったんです。そしたら、カメラバッグが重すぎて撮影どころじゃありませんでした。「こんなの持ち歩けるか！」と自分に激怒しました。なぜ自分の持てる重さに留められなかったのか。

映画のアイデアを考えているうちに、あるテーマにたどり着き、そのテーマについて深く調べたくなりました。私はそういう時にAmazonで検索して、同じテーマの本を一気にたくさん買ってしまうんです。数日後に家に大量に本が届きますが、その頃にはもうそのテーマに興味は無くなっています。なぜ「とりあえず」の一冊を買えないのか。いやなぜ、テーマが確定してから買うようにしないのか。

こんなのを書き始めたら止まりません。

私は派手な服が好きなので、派手なジャージや派手なパンツを買っているうちに、少々の派手さでは満足行かなくなり、普通の人では買わない派手な服を買うようになってしまいました。オシャレに着るには、上か下のどちらかは超シンプルにしないとダメなんですが、私は上も下も派手にしてしまい、おまけに靴も派手で、さらにヒゲで坊主でメガネをしているので、前から来た人は私と目を合わせずに除けて行くのです。なぜワンポイントの派手で止められないのか。美大で色彩論を習わなかったのか。てかオマエ、元々デザイナーだろ。

外食ばかりが続いて野菜が足りないと思ったら、バケツ一杯分ぐらいのキャベツの千切りを食べたりします。バケツ一杯は大げさかも知れませんが、千切りキャベツの5人用を2袋一気に食べたりします。そうするとですね、外食続きで乱れた腸の調子が整うどころか、大きく下痢をするんです。夜中にお腹が痛くなって、迷走神経反射で倒れそうなぐらいの下痢をする訳です。これをバカと言わずして何と言いましょう。

もちろんこの「なぜ程よく止められないのか？」が功を奏している部分もあるのも分かっています。短編映画を20年ぐらい毎年撮り続けられたのは、程よく止められなかった事が功を奏したんだと思います。徹底的に映画祭に出してきたのも、程よく止めなかった事が功を奏しています。

しかしです。分かっていながら程よく止められない自分に、腹が立ちすぎるんです。分かっているから余計に腹が立つんです。同じ過ちを何度も繰り返して来ているんです。もはや執行猶予なんて付きませんよ。一発で実刑です。常習性があり過ぎるんです。ホント、腹立ちます。