気象病は実在するのか？

天気が悪くなるとお腹が痛くなるのに気づいたのは、大学生の頃でした。友人の一人が「雨が降ってるからお腹が痛いんだよ。」と言ったんです。私は雨と腹痛に関連があるなどという話に驚きました。それ以来、雨が降る前や雨が降っている時にお腹が痛くなることに気づいたんです。

そして今や、私はお腹の調子が悪くなるといつも、「頭痛ーる」という気圧の状態が分かるアプリで気圧を見る様になりました。案の定、消化不良みたいな胃部不快感がある時に頭痛ーるで気圧を見てみると、気圧の低下が激しい爆弾のマークだったりするんです。

さらに、お腹の調子だけではありません。得も言われぬ体調不良の時も爆弾マークだったりするんです。得も言われぬ体調不良というのは、お腹が痛いわけでも、頭痛がするわけでも、吐き気がするわけでも、疲労感があるわけでもないのですが、絶望的に体調不良の状態です。発熱しているわけでもなく、悪寒がするわけでもなく、風邪をひいた感じでもないのですが、血の気が引くような体調不良だったりするんです。

今や私は、気象病の信者と言っても過言ではありません。

一方で、本当に気象病などあるんだろうか？とも思う事もあるんです。気象病について調べてみても、「自律神経」みたいな言葉が出て来て、結局つかみどころのない解説だったりするんです。

「自律神経が乱れる」とは、西洋医学的にどういうことなのか、すごく興味があるのですが、解説の下の方に行くと漢方薬が出てきたりして、やっぱり科学的な解説にたどり着かないんです。

世界中の人々の不定愁訴（原因不明の体調不良）に、自律神経の乱れが関わっているとしたら、それを治すクスリを開発したら大儲け出来そうな気もするのですが、乱れた自律神経を整える特効薬など聞いたことがありません。

さらに、乱れた自律神経を整えるには呼吸が大事、などとも書いてあるんです。こうなってくるともう、何が何だか分からなくなってきます。もちろん、呼吸法によって脈拍の数が減ったり、血圧が下がったり、実際に自律神経の働きの一部をコントロール出来る事は知っています。むしろ私は呼吸法の信者でもありますから。

私はたまに、酸素飽和度と脈拍を測る機器であるパルスオキシメーターを指に挟んだ状態で、ゆっくり呼吸をして、どのぐらい脈拍が減るのか？という遊びすらしています。私は昔から脈拍が少ないので、ものすごく脈拍が下がります。1分間に60回ぐらいの状態から、1分もあれば45回ぐらいに持っていけます。全身の力を抜いて、フーっと長く息を吐くんです。顔の力も抜いちゃってますから、人に見せられた表情じゃありません。

呼吸法でその程度の自律神経のコントロールが出来るのは知っているのですが、呼吸法では腹痛は治りませんし、絶望的な体調不良も治りません。

そして、私は「雨が降る直前や雨が降っている時に体調不良になる」と言いましたが、実は、雨が降っている事を知ったり、もうすぐ雨が降ると天気予報で知ったり、今まさに爆弾マークの低気圧が来ていることをアプリで見て知ってから、体調不良になっているんじゃないかと思うこともあるんです。

まさに「病は気から」です。気象病というものがあると知ってしまったがために、天候不良時に体調不良になるという、パブロフの犬状態なんじゃないかと思う事もあるんです。

真実はどっちなんでしょうね。気象病は実在するのか？あるいは、気象病という病名を作ったことで、体調不良を意識するようになり、それに反応して実際に体調不良になってしまうのか？

ちょっと話はズレるんですが、「私が時計を見た時、いつもゾロ目なんだよね。」とか「パッと見たクルマのナンバーが、いつもゾロ目なんだよ。」とか、そんな話を聞きませんでしょうか？

それは、偶然ゾロ目を見てしまう確率が異様に高いのではなく、ゾロ目じゃない数列を見ても意識に残らないからなんだと思うんです。そして、ゾロ目を見た時にだけ意識が反応してしまうから、いつもゾロ目ばかり見ていると思ってしまうんだろうと思うんです。

気象病もそれに近い反応をしているんじゃなかろうかと思うんです。体調不良なんかいくらでもあるのに、雨が降っている時や、気圧が下がっている時の体調不良が意識に残ってしまう。すると「ああ、やっぱり雨が降っているからお腹が痛いんだ。」とか「爆弾マークの低気圧が来てるから絶望的な体調不良なんだ。」とか、そういう風に意識が、天気と体調を強く関連付けをしてしまうんじゃなかろうかと。

という仮説を立てるとすると、やっぱり気象病など幻想なんじゃないかとも思うんです。iPS細胞などと言っている時代に、気象病が解明されてないなんて、どうにも腑に落ちないんです。

そして、私の希望はと言いますと、「気象病はあります！」と偉い人に断言して欲しい派です。なぜなら「病は気から」という言葉は、自分を責める言葉なんです。人を責める言葉でもあります。気の持ち様が悪いから体調不良になるんだ、と言われているのと同じですから。精神力が弱いから体調不良になるんだ、と言われているのと同じなんです。

どうせ定期的に体調不良が来るんだったら、その原因を外に置きたいんです。「自分のせい」というのが、一番体調を不良にさせる思考回路でもありますから。