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こんな簡単な事がなぜ出来ない?

今や緊急事態ではありますが、それはまた別のnoteに書くとして、ちょっと抽象的なことについて書いてみようと思います。

訓練したり修練したりして何かを身に着けた人は、「こんな簡単な事がなぜ出来ない?」と思ってますよね?藪から棒にですけど。

例えば、料理でもデッサンでもいいんですけど、数年かけて訓練して身につけた人は、何の苦も無く80点ぐらいまで持っていけると思うんです。もはや不味く作ることが出来ない。下手に描くことが出来ない状態なんだと思います。

そして、あまりにも簡単に80点まで持っていけるので、それが出来ない人に対して「こんな簡単な事がなぜ出来ない?」と思ってしまうと思うんです。

大変な訓練してをして身につけたはずなのに、どうやって何を訓練したのかあんまり覚えてないと思うんです。「何となく大変だった記憶はあるけど、それが出来なかった感覚は思い出せない。」という感覚なんだと思うんです。勝手に決めつけちゃってますけど、きっとそうなんです。

例えば、映像で言うとAfterEffectsというソフトがあるんです。私はこれを半年ぐらいみっちり独学で覚えました。まだ20代の頃ですね。6cmぐらいの分厚さのあるマニュアルの1ページ目からやっていきましたが、何度も挫折しかけました。その時、IllustratorもPhotoshopもプロとして使いこなしていましたが、AfterEffectsは同じAdobeのくせにインターフェイスや仕組みが全然違うんです。たぶん、Adobeがどこかの会社からAfterEffectsを買収したからなんだと思います。

何度も何度も「このソフトは無理だ…」と思いました。私はいくつかの3DCGソフトやDTMのソフトで挫折した事があるんです。3DCGのソフトは入り口だけかじってちょっとは使えるようになりましたが、マッピングや人物のモデリングあたりで完全に挫折して、二度と3DCGソフト使わなくなりました。

DTMのソフトはCubaseというソフトです。Cubaseに関しては、インストールしてソフトを立ち上げて、ちょっと触っただけで挫折しました。なぜ挫折したかと言うと、音楽用語を一切知らなかったので、インターフェイスが日本語だろうが、マニュアルを読もうが、さっぱり意味が分からなかったんです。マニュアルの1ページ目から分かりませんでした。MIDI音源とかリズムマシンとか買ってたんですけど、音楽ソフトに近寄るのが怖くなって、全て売り払いました。音楽ソフトは今でも恐怖でしかないです。

そうやっていろなソフトを挫折したんですが、AfterEffectsは何度もへこたれながらも習得できたんです。もう頭がおかしくなるほど食らいついた覚えがあります。素材の置き換えの仕方を調べるだけで丸一日かかったりしてました。丸い図形データを、四角い図形データに差し替えるだけの事をです。

そしてその後、AfterEffectsで生活するようになりました。まだ使える人が少なかったので、仕事がたくさんありました。若くて時間もあったので、ソフトの隅から隅まで試しました。「文字がバーンと出てきてシュワッと消えて余韻が残る」ぐらいの事なら、10分もかからずに出来るようになりました。

それから20年ぐらい経ってますけど、今でも何の苦も無く使っています。右手で箸を持って、左手でお茶碗を持ってご飯を食べるように。そして教えても出来ない人を見てこう思うんです。「こんな簡単な事がなぜ出来ない?」

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