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堀部圭亮&平林勇・春のオンライン短編映画祭!

絶賛公開中の『SHELL and JOINT』を記念して、「堀部圭亮&平林勇・春のオンライン短編映画祭」を開催したいと思います。私が堀部さんと一緒に作った作品を一堂に集めてみました。と言って、堀部さんには何の断りもなく始めてしまったのですが。もっと言うと、私が作ってる作品は「春の」なんていう、こんなに爽やかなタイトルは似合わないのですが。


まずはこれ。『aramaki』(2009年)という作品です。堀部さんの一人芝居。セリフなし。ワンカット。完全に『SHELL and JOINT』に繋がる作品です。この作品は、ベルリン国際映画祭の短編コンペ部門に選ばれました。その頃の私は気合が入っていたので、映画祭の最初から最後までベルリンに行き、短編コンペ部門の全作品を見ました。その時に短編金熊賞を獲ったのが『Händelse vid bank』という作品。後に『ザ・スクエア 思いやりの聖域』でカンヌ映画祭でパルムドールを獲るリューベン・オストルンド監督の作品でした。

aramaki


2つ目の作品はこれ。『Shikasha』(2010年)という作品。『aramaki』の次に撮った作品がこの作品でした。『Shikasha』は不思議な作品で、最初のアイデアを思いついた瞬間も、そこからノートに書いてどうやって構成して行ったかも、キレイに思い出すことが出来る作品です。私の経験上、撮影に入る前の行程をはっきり覚えている作品は、いい作品になっている確率が高いです。『Shikasha』は、カンヌ映画祭の監督週間で上映されました。監督週間に決まった時、直感でスケジュールを決めてチケットを取ったら、見事にそのスケジュールから外れ、上映を観る事なく帰ってきました。2人目の子供が生まれるタイミングだったからです。その時、「カンヌなんてまた来れるよ。」と思っていましたが、そんなはずありません。行けない行けない。そんな簡単に行けるわけ無いんです。調子に乗ってたな〜

Shikasha


そして3本目は『Octopus』(2015年)という作品。上の2本とは打って変わってフザけた作品です。メタファーも行間もコンセプトもありません。日本の映像業界の「あるある」を描いた作品になります。コメディにして大げさに描いている様に見えますが、我々の業界ではこんな事が日常茶飯事です。大げさでも何でも無い。ドキュメンタリー、再現ビデオと言っても過言ではありません。もしどこかに「下痢国際短編映画祭」という下痢をテーマにした映画祭があったとしたら、銀下痢賞ぐらい貰えるかもしれません。

Octopus


そして、私が権利を持ってない『BABIN』(2008年)という作品があるんです。文化庁がやっている「ndjc 若手映画作家育成プロジェクト2007」というプロジェクトで作った作品になります。堀部さんと作った「作品」は、これが最初だったんです。このプロジェクトでは作った後に劇場での試写会があり、国内のいろんな映画関係者の方々からアンケート結果を頂けるんです。いや〜散々でしたね。「こんな作品、日本では誰も評価しない。」「あんな事やらされている役者がかわいそう。」「キミは海外で映画を撮ればいい。」などなど。その後の懇親会でも嫌味を言われたので、思いっきりオッサンに言い返したのを覚えています。たぶん、それなりに地位がある方だったと思いますが。そこから私の「見返してやる!」スイッチが入ったので、結果的には良かったです。この作品はロカルノ国際映画祭の短編コンペ部門で上映されて2つの賞を頂きました。『BABIN』は有料で、青山シアターさんで観ることが出来ます。

BABIN

https://aoyama-theater.jp/pg/2986


そして、短編映画ではないのですが、ネスレさんと作った作品が『上田家の食卓』(2019年)というブランデッドムービーです。こちらは「意味不明」とか「難解」とか「え?」と思うことなく御覧いただける、家族モノの短編作品になります。一話が5分程度で出来てまして、5本のシリーズです。5本トータルで100万回以上再生されているかと思います。もうホントにヒネらず素直にストレートに作ってますので、「またどうせよく分かんないんでしょ?」とか思わず、お気軽に御覧ください。

上田家の食卓


そして、ネットでは観ることが出来ない作品に『ぐらがくる』(2018年)という作品があるんです。これは横浜市民防災センター内の災害シアターでのみ観ることが出来る作品です。横浜市民防災センターは、震度7まで体験出来る地震シュミレーターがあったり、一度行ってみると本当に災害について理解することが出来る施設なんです。この作品も、ヒネリを入れると趣旨が伝わらなくなりますので、素直にストレートに描いた作品です。本篇は横浜市民防災センターで観て頂くことにして、予告編だけでもご覧頂けたらと思います。

ぐらがくる


堀部さんとはいろんな作品でご一緒させていただきましたが、堀部さんと私が一番最初にやった作品があります。それが『夕虹の光』という医療ドラマんです。2005年〜2007年ぐらいに作ったんだと思います。なぜうろ覚えかと言いますと、お蔵入りしてしまったからなんです。この作品は当時ではまだ珍しかった、シリーズモノのWebムービーでした。7分程度の作品の10本シリーズだったか、10分程度の作品の7本シリーズだったか忘れてしまいましたが、合わせて長編映画並の尺のある作品でした。私が監督をして、脚本はなんと『宮本から君へ』や『あゝ、荒野 』の港岳彦さんなんです。あの頃私は、港さんに書いてもらった脚本に思いっきり手を入れていた記憶があります。大変申し訳ございませんでした。


この様に、私は堀部さんとたくさんの作品を作ってきましたが、その頂点に君臨するのが、いま劇場公開中の『SHELL and JOINT』になります。この「堀部圭亮&平林勇・春のオンライン短編映画祭」を観てから『SHELL and JOINT』を観ることで、また別の違った角度から作品を観ることが出来ると思っております。よろしくお願いいたします。



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