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映画『SHELL and JOINT』の近況

緊急事態宣言で上映が中止になってから、『SHELL and JOINT』についての発信が少なくなっていたので、この辺で一度、近況をまとめてみます。

まずは今月、6月9日(火)〜14日(日)に開催された「ニッポンコネクション」で上映されました。ニッポンコネクションは、世界最大の日本映画祭と言われている映画祭で、毎年ドイツのフランクフルトで開催されています。今年は新型コロナウイルスの影響で、初めてオンラインで開催されました。

ニッポンコネクションは10年以上前に、一度だけ行ったことがあるのですが、凄く思い出深い映画祭です。初日に日本から来たゲストが集まったことがありまして、たまたま若松孝二監督の近くに座ってしまい、そのエネルギーに圧倒されました。短編映画で映画祭に参加していた私は、場違いな気がして「擬態」してましたね。

その後、若松孝二監督とはベルリン国際映画祭の時に開催された、ドイツ大使館でのパーティでも一緒でした。吉永小百合さんの左に山田洋次監督が座り、右に若松孝二監督が座ってました。『キャタピラー』もベルリンで観ましたね。さらにその後のぴあフィルムフェスティバルで私の短編映画特集をしてもらった時に、若松孝二監督の特集もやってました。若松孝二監督とは、何かとご縁を感じてましたが、お話したことは一度もありません。常に私が「擬態」してたからでしょうね。

ニッポンコネクションはもう終わっているので、『SHELL and JOINT』の本篇は配信されていませんが、リモートでのQ&Aは残っています。

7月17日(金)〜30日(木)に開催されるのが、「JAPAN CUTS」です。ニューヨークで開催される日本映画祭です。こちらも毎年ニューヨークで開催されていましたが、今年はオンライン配信になりました。北米でのみの配信になります。『SHELL and JOINT』は、「Experimental Spotlight」という、実験的な作品のカテゴリーに入っています。

私は初期の作品が「イメージフォーラム・フェスティバル」で上映されたり、賞をもらったりもしたので、実験映画出身みたいな気分だったりもしています。とはいえ、実験映画を追求している気はあまり無く、私が作りたいカタチで作品を作ると、実験映画のカテゴリーに入ってしまう様な感じです。今回の『SHELL and JOINT』も実験映画としては作ってないのですが、実験映画のカテゴリーに入っていて、面白いなと思いました。「JAPAN  CUTS」は、北米のみでの配信になりますので、日本からは観る事は出来ません。

しかし!

実は、今ならネット配信で『SHELL and JOINT』を観ることが出来るんです。コロナ渦で劇場での上映が厳しくなっている今、ビデオマーケットさんが「おうち映画館」というサイトを特設して、そこで上映されています。「おうち映画館」は、完全に元に戻らない劇場の状況に対して、配信サービスとして何が出来るかを考えて作られたサイトだそうです。

一方で、『SHELL and JOINT』は、ワイドレンズの引きのカットが多いので、大きなスクリーンで観て欲しいとも思ってます。どこかの劇場で上映して欲しいな、と思っていたところ、「宇都宮ヒカリ座」さんで、9月19日(土)から上映してもらえる事になりました。

宇都宮ヒカリ座さんのラインナップを見てみると、これぞミニシアターというラインナップですね。こちらで上映させてもらえるなんて、とても嬉しいです。上映が始まったら観に行ってみます。

具体的に発表出来るものはこんな感じです。相変わらず、映画祭からの落選メールはしばしば来ていますが、去年の落選メールとは質が違うんです。2019年にも大量の落選メールが来ましたが、その殆どは、私たちが自ら進んでエントリーした映画祭なんです。でも、最近来る落選メールは、映画祭側からオファーがあってエントリーしてるものばかりなんです。

「SHELL and JOINTという素晴らしい映画があるって聞いたんだ!でもまだ観てないからスクリーナーのリンクを送ってくれるかな?たぶんウチの映画祭にピッタリだと思うんだ!よろしくな!絶対たぞ!」みたいに、最初のメールはテンション高めなんです。

そして、数カ月後に落選のメールが来るんです。オファーの時は「Dear Isamu Hirabayashi」から始まったメールも、落選の時には「Dear Filmmaker」になってます。かなり他人行儀ですね。そして「悲しいお知らせがあります。あなたの作品は今回の映画祭には選ばれませんでした。新作での健闘を祈ります。」みたいに、大体ものすごく簡素なメールになって返ってきます。死んだ魚の目をしたメールですね。棒読みと言ってもいいでしょう。

例えると、「あなたは本当に素敵な方です!タイプです!好きです!一度でいいからデートして下さい!」と言われて、まあ気分も悪くないし、とりあえずご飯でも食べようと思って行ったら「やっぱり何か違う感じがして…会うのはこれっきりにしましょう…いい出会いがあるといいですね…」と一方的に言われた感じと言いますか。いやいやいや。え?いやいやいやいや。まあ、そんな落選メールが最近は多いです。

あ、そういえば、秋開催のカナダの映画祭からテンション高めに「コングラチュレーション!SHELL and JOINT最高!今年最大の発見!ウチの映画祭に選んでおいたから!いいよね?いいよね?よろしく〜!」というメールも来ました。もちろん上映してもらうことはとても嬉しいので、即答でOKの返事をしましたが、実は去年、その映画祭には正式にエントリーしていて落とされているんです。

こういう事は、短編映画でもしばしばありました。私は割とギリギリを攻めた作品を作る傾向が強いんですが、そうすると予備審査を通らなんだと思います。予備審査は若い人や経験の浅い人がやっていたりして、ある程度数が絞られてからじゃないと、目の肥えた人の目に触れられないんです。私の作品は、バランスが悪いことが多いので、そこを突破しづらいんだと思います。でも、映画祭界隈もそれほど大きくないですから、噂が広まることで、敗者復活出来るのはいい事ですね。

これからも定期的に『SHELL and JOINT』の報告をしていきたいと思います。

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