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『SHELL and JOINT』の2020年夏

映画『SHELL and JOINT』の近況をお知らせさせて頂きます。

まず、カナダのモントリオールで開催される映画祭「Festival du Nouveau Cinéma」での上映が決まりました。今年は10月7日〜18日にかけて開催されるのですが、新型コロナウイルスの影響でオンライン開催になっています。カナダ限定での配信になる予定です。

上映されるのは「TEMPS Ø」という部門で、その14本の中には、園子温監督やギャスパー・ノエ監督の作品もあるので、だいぶ変わった映画を集めた部門なんじゃないかと思われます。少し前に、塚本晋也監督の『野火』もこの部門で上映されたことがあると、映画ジャーナリストの中山治美さんにFacebookで教えていただきました。特別上映として、デニス・ホッパー監督の1980年の『アウト・オブ・ブルー』という作品も上映されます。

『SHELL and JOINT』の解説には、ロイ・アンダーソン監督、ウッディ・アレン監督、ヴェルナー・ヘルツォーク監督を足して割った作品、みたいな感じで書かれています。『SHELL and JOINT』は、映画祭が書く解説に他の監督の名前が出てくる事が多いです。スラムダンス映画祭の解説には、アーティストのマシュー・バーニーの名前もありました。例えが無いと、説明がしづらい作品なんでしょうね。

「Festival du Nouveau Cinéma」では、私が思っているよりも、レベルの高い部門に選ばれた気がしています。

https://nouveaucinema.ca/en/news/news/temps-the-titles-revealed

今回は、どこかで『SHELL and JOINT』を観たプログラマーの方から、ぜひ上映したいという連絡を頂きました。実は、私はこの映画祭を初めて知ったのではなく、去年、『SHELL and JOINT』をエントリーしていて落ちているんです。短編部門はアカデミー賞公認になっているので、今までも短編を何本もエントリーしてきて、何本か上映もされています。

正式にエントリーして落ちて、翌年にその映画祭からオファーがある事は、短編映画でも何度もありました。映画祭は何千本もの作品から、10分の1や100分の1まで絞らなければならないですから、予備的な審査をする人の好みなんかでもかなり当落が左右されるんだと思います。

札幌国際短編映画祭の久保さんも言ってましたが、エントリーしたら積極的に教えて欲しいと言ってました。海外の監督なんかは、かなりアピールしてくるそうです。

日本人の美学として、「作品が良ければ、必ず結果はついてくる。」みたいなところがありますが、映画祭も生き馬の目を抜く世界です。あらゆる手段を使って選ばれることに全力を尽くすべきだとも思います。まったく公平な世界ではありませんから。

私はベルリン国際映画祭には短編映画が何度か選ばれた事がありますので、表向きの正式な締切を過ぎてから、作品を受け付けてくれた事が何度もありました。しかも、予備審査を経ずに、ダイレクトにトップのディレクターが観てくれます。ものすごい不公平だと思いますが、良い作品を取りこぼしたくない映画祭側からしたら、ものすごく重要な行程でもあります。

ちょっと話はズレましたが、去年正式に落選した映画祭からオファーが来たという、面白いパターンで上映が決まりました。

2つ目の映画祭は、ペルーのリマで開催される「LIMA ALTERNA INTERNATIONAL FILM FESTIVAL」という映画祭でも上映されることになりました。9月18日〜27日ですが、こちらも新型コロナウイルスの影響のため、ペルー限定のオンラインでの配信になります。

この映画祭は今年が第一回の開催になります。こちらも映画祭側から上映のオファーを頂きました。そしてなんと、インターナショナルコンペ部門での上映になります。コンペ部門はスラムダンス映画祭以来です。15本の中から、Best FilmとSpecial Mentionの2本が選ばれるそうです。

ザッとリストを見てみると、70分台や80分台の作品が多い中、154分という『SHELL and JOINT』の長尺が際立っています。良いのか悪いのか分かりませんけど。

そして、もっと詳しくリストを見ていくと、今年のベルリン国際映画祭で上映された作品が5本。去年のカンヌ映画祭監督週間で上映された作品が2本、去年のベネチア国際映画祭で上映された作品が1本、去年のロカルノ国際映画祭で上映された作品が1本。その他もレベルの高い映画祭で上映された作品ばかりです。割とガチンコですね。受賞出来る気がしません。たぶん、かなり映画祭通の方が立ち上げた映画祭だと思われます。そういう方に見つけられて、オファーと頂くことはすごく嬉しいことでもあります。

新型コロナが無ければ、確実にリマに行きましたけどね。私は『SHELL and JOINT』を持って、世界中を飛び回る予定でしたが、新型コロナのせいで行けなくなってしまいました。しかしまあ、来年以降もどうなってしまうんでしょうか。そろそろ機内食食べたいです。

そして、まだ正式発表されてないので、詳細は書けないのですが、スペインとインドの映画祭にも決まっています。年内にオンライン配信での開催になります。

日本国内では、「宇都宮ヒカリ座」さんで、9月19日(土)から上映が始まります。

そして、ちょっと嬉しかったのは、「新藤兼人賞」の事務局の方からプレビュー用のDVDを送って欲しいと連絡があったことです。ノミネートされた訳でも、受賞した訳でもありませんけど、国内でも『SHELL and JOINT』の存在を知ってくれている人がいたのか、という意味で感慨深く、嬉しかったんです。

また東京の劇場で上映したいんですけどね〜。

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