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人生6度目ぐらいの胃カメラ

前回のnoteで、ここのところ一ヶ月ぐらい、胃の調子が悪くて絶望しているという、どうでもいい記事を書きました。

今週、お盆休みも明けたので、病院に行ったんです。その病院はネットで調べてみると、すごく腕のいい医者がいて、胃カメラも数ヶ月待ちとのことでした。

私は昨日、初診でその病院に行きました。私は胃カメラが死ぬほど嫌いなので、数ヶ月待ちはちょうど良かったんです。数ヶ月待つ間に人間ドックに行ってバリウムを飲むし、何かあればそこで分かるだろうと思っていました。

私は診察で自分の症状を全部言ったんですが、これと言った診断はされず、「とりあえず胃カメラやります?」と言われました。私は数ヶ月先なら覚悟も決まるだろうと思い「はい」と答えました。

受付で胃カメラの予約を入れることになりました。私は早くても10月ぐらいだろうと思い、「いま出来る一番早いタイミングでお願いします。」と言いました、すると受付の方は「じゃあ、明日の朝ですね。」と言いました。

私はつんのめった感じになりました。分かりますかね?つんのめった感じ。サバンナで目を細めて5km先のインパラを探していたら、突然目の前に現れてビックリした感じと言いますか。100メートル走で「ヨーイドン!」と一歩足を踏み出したら、ゴキブリホイホイみたいな粘着に足がひっついちゃった感じと言いますか。まあそんな感じですよ。

「9時半と10時とどっちがいいですか?」と聞かれたので、9時半にしましたよ。もうどうにでもなれの精神ですよ。私、やる時はやるんです。開き直ったら強いですよ。

そんなこんなで、今日の朝、胃カメラで検査をして来たんです。私は死ぬほど胃カメラが嫌いなんですが、それはたくさんの経験を経て嫌いになりました。

一番最初は高校生の頃だったか、大学生の頃だったか忘れちゃいましたが、胃カメラで検査中もゲーゲー吐きまくって、終わってから数ヶ月ノドが痛かったんです。たぶん、ノドにチカラが入りすぎちゃって傷が出来たんでしょうね。

社会人になってからも何度も胃カメラをやって来ました。何度やっても死ぬほど嫌いでしたが、鼻から胃カメラを入れた時、すごく楽な時があったんです。「これなら毎年やってもいい!」とすら思いましたが、翌年に鼻からやったら、やっぱりゲーゲーしてダメでした。

私はもう胃カメラは絶対にやりたくないと思ってましたが、歳を重ねるにつれて、避けては通れないとも思っていました。いつかその日が来るんだろうと思ってました。その日が今日だったんです。しかも突然に。

私は朝から水一杯も飲まずに病院に行きました。

私は胃カメラが死ぬほど嫌いなんですが、昨日「鎮静剤を使うんで、クルマで来ないでください。」と言われたんです。私は今まで一度も鎮静剤を使っての胃カメラをやったことがなかったんです。

普通なら鎮静剤を使ってやってくれて嬉しい、と思うのかも知れませんが、私は一度医療ミスで麻酔の事故にあったことがあるので、「麻酔」とか「鎮静」とかが胃カメラ以上に死ぬほど嫌いなんです。死んでも嫌いと言っても過言ではありません。

その麻酔の事故では、虫垂炎の手術の下半身麻酔が効きすぎて、麻酔がどんどん上に上がってきて、息が吸えなくなったんです。その時、心の底から本気で「あ、自分はこうやって死ぬんだ。」と思ったんです。その2ヶ月後にPTSD的なパニック発作が出たりして大変だったんです。15年ぐらい前ですかね。

それ以来、麻酔はしてないんです。歯の治療でも歯科医の先生に麻酔無しでやってもらうので大変なんです。麻酔するぐらいなら、グキッと神経に響く方がマシとすら思ってるんです。

だから今日の緊張感は、胃カメラ以上に、鎮静剤の方にありました。死ぬほど嫌いな胃カメラにかぶせるように、死んでも嫌いな鎮静剤があるという、気持ちはもう死刑台です。

でも、私は自分で言うのもあれですけど、自分の中に心理療法士みたいなのがいて、そんな時どうするか割と冷静に考えて実践します。

自分が恐怖や不安に押しつぶされそうな時は、自分自身を運転しているパイロット自身も、恐怖や不安に押しつぶされそうになっていて、主観的にしか物事を考えられないので、私は自分の目の前に、もうひとりの自分を置きます。

そしてその自分に話しかけるんです。「え?何が怖いの?」みたいに。まるで他人に話しかけるみたいにです。そうするともうひとりの自分は言うんです。「だって、鎮静剤ってどうなるか分からないから怖いじゃん。このまま生き返らなかったら怖いじゃん。」とか言うんです。目の前にいるオジサンが。

そして私は目の前の私に言うんです。「バカじゃないの。ヒゲで坊主のオマエみたいな中年が、バカなこと言ってんじゃないよ。オマエの気持ちとかどうでもいいから、機械的にやってこい。こんなのは流れ作業なんだから。スーパーのレジに並ぶのと同じ。つべこべ言ってんじゃないよ!」

私はこれを半笑いで言ってやります。すると目の前の私は「だよね」とニヤリとします。これでかなり客観的になれます。自分を他人化する感じですね。

そして名前が呼ばれ、内視鏡室に入りました。躊躇する暇などなく、メガネとマスクを外し、小さな紙コップで何か飲まされ、ベッドに寝かされ、手に点滴の針を刺されました。口にマウスピースみたいなのを入れられた時に5回ほどゲーッとしましたが、その後の記憶はありません。たぶん、点滴から鎮静剤が入ったんでしょうね。

起こされた時には全て終わっていて、歩いて隣の部屋に行き、ベッドで寝ました。周りでは先に胃カメラを終えたオジサンたちが、デカいいびきをかいて寝ていました。

落ち着いたところで診察室に呼ばれましたが、結果は特に異常無しでした。実はまだその時も、鎮静剤が効いていて、ボーッとしちゃってましたが。

でも、胃の異常は無し、そして胃カメラをクリア出来た、さらに鎮静剤もクリア出来た、という3つが同時にクリア出来たんです。なんとも嬉しい日になりました。

死ぬほど嫌いだった胃カメラも、これほど楽なら半年に一回やってもいいと思いました。さらに鎮静剤もクリア出来たので、麻酔に対する恐怖も無くなりました。

そして処方されたクスリは、胃薬的な抗精神病薬みたいなものでした。「え?気持ちの問題だったの?」と思いましたが、まあコロナストレスと、長い梅雨の湿度ストレスと、いろいろあったのかも知れません。

私自身としては毎日同じ様な生活で、しっかり運動もして、規則正しくストレスの無い生活をしていたと思ってましたけど、今まで散々不規則な生活をしてきたから、逆にそれがストレスだったんですかね。

意識と無意識とあって、この無意識ってのがやっかいなんですよね。自分の意識上に上がってこない問題が、無意識の中に隠れていたりして。だから、意識上はストレスを感じてなくても、無意識がストレスを感じている可能性があって、しかもそれにはなかなか気づけないんです。

私は本当に酷い身体的な症状が続いた時に、いよいよおかしいと思って検査をするんですけど、大体異常無しなんです。たぶん、無意識のストレスを感じて身体に症状として出るんでしょうけど、無意識のストレスはいまだに気づけませんね。いや〜、ここは本当に難しいです。

と、長々書きましたが、今日は人生がひとつ進んだ感じがした日になりました。

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