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レビュー届きました!⑤

コント活動「ぱっぷこーんと」を一緒にやっている、パップコーンの松谷さんからレビューが届きました!これはまた、これまでレビューを書いて頂いた方とは別の視点で、本当に面白いです!

読んでいて、何となく自分の好きなやり方に気づかされました。たぶん「ガチガチに構図を決めて放置」が好きなんでしょうねえ。そうだそうだ。絶対にそうに違いないです。

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平林勇監督の初長編作品「Shell & Joint」が間も無く公開されると言う事で、僭越ながらMacを起ちあげてキーボードを打たせて頂いております。

松谷ヒロキと申します。

芸人として活動しつつ、映像のクリエイターとしても仕事をしたりしています。

著名な方々が書いているこの映画のレビューの中に、レビュー自体もあまり書いた事がなく、著名でもない僕が入り込んでしまっていいものかと思っておりますが、そうも言っていられませんね。

さて「Shell & Joint」のレビューです。

平林監督の作品はこれしか見たことがありません。

短編映画を主に撮られていたという事は聞いておりましたが、どれも見れていません。

なのでまず、平林勇という人間との出会いからこの映画を考えてみたいと思います。

平林監督に初めてお会いしたのは渋谷の居酒屋。

俳優活動をしたりしなかったりしているパップコーンのメンバーの須田が、たまたまBMWのブランデッドムービーの主演を務めることになり、これもたまたま映画のレセプション的なところで監督と出会い、興味を持ってくれたようです。

監督は以前から「コントを作ってみたい」という願望を持っていたので、一緒に何かやりませんかとのことでした。

それで一緒に「ぱっぷこーんと」という企画を一緒にやらせてもらっているのですが、監督の演出は独特でした。

一般的なコントを作ってみたい、という方とは違い(一般的なコントを作る人って何だろう)

とにかく放置プレイなんです。

お題をくれたりする時もありましたが、それすらも最近はなく、じゃあ喋ってみましょうかとカメラの録画ボタンを押すだけ。

演出しない演出と言いますか。

観察すると言いますか。

不思議な監督だなあと思っておりました。

そんな監督が最初に会った居酒屋で「初めて長編映画撮ったんですけど、長すぎて公開してくれるところがないんですよー、ハッハッハ!」

と言っていた映画が、映画祭での公開が決まったのが10月くらい。

そして国内での公開も決まり、これは僕らパップコーンがあげチンなのではないかと思ったり思わなかったり。

いや、関係ないですねスイマセン。

とにかく嬉しかったです。

「Shell & Joint」は映画祭が決まる前に観させて頂きました。

話には聞いていましたが観たことないなあと思ったのと、この監督が僕らを演出する上で何を考えているのか、その思考、思想みたいなものを感じておきたいと思ったのです。

動画のリンクを頂き、家に帰ってプロジェクターで観ました。

結論から言いますと、監督がますます分からなくなりました。

それと同時に、あの僕らを前にした目と言いますか、視線、視点みたいなものはこの映画を撮ってる監督だなあやっぱりとも思ったのです。

僕は映画と言えば、勝手なイメージで主人公がいてセリフを喋って、事件が起きたりSEXしたりして音楽が鳴ってバイバイ的なものかと思い込んでいたんだなあと。

そんな映画も好きですよ。

ただこの映画にはストーリーなんてものはありません。

いや、あるか。ナシよりのアリでアリよりのナシくらいの感じではストーリーはあります。

ただそれらは短いシーンで前のシーンを踏まえたりするわけじゃないんです。

次々と映し出されるシーンは監督が観察している虫かごのように感じます。

それはスクリーンの四角がそう見えるのか、精緻な構図がそう思わせるのか。

ただどれもがバラバラではなく、絶妙に関係していないようであり関係している。

透明水彩の塗り重ねのような。

色々な色を重ねたものが、2時間30分後には頭に残るような。

セリフや伏線やオチなどはなく、あるのは監督が見ているこの世界への視点です。

かと思えばゴキブリのマペットくん達には「THEセリフ」を喋らせていたり。

監督の生に対する愛なのかな。

肯定も否定もせず、グロテスクだとか気持ち悪いとかそういった感覚は勝手に思い込んでいるものなのかと。

水槽のグソクムシの大群が美しい。

カプセルのウジ虫も美しい。

過剰に演出された演出やシーンの方が余程グロテスクなんだと思わせてくれるくらい、この映画は美しさで満ちています。

こんなタイプの映画を日本で上映する機会がもっと増えるべきだと思いました。

映画はもっと自由なんだ、表現はもっと自由でいいんだと思わせてくれる映画です。

あのメガネの奥で、そんな風に世界を見ている。

この映画は監督の目を追体験出来ます。

ぜひ行く前にシーフードレストランを予約してから行くのをお勧めします。

100倍は美味しく食べれますよ。

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松谷ヒロキさんのnoteはこちらです。

https://note.com/mattsun69

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